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米FOMC議事録:スタグフレーションの懸念増大⁉

2025/04/10 08:10

【ポイント】
・インフレの上振れリスク、景気の下振れリスクを強く意識
・「不透明性」が大きいなかで、金融当局は事態を見守るのみ!?

米FOMC議事録(3/18-19開催分)によれば、内部でスタグフレーションの懸念が増大しているようでした。「スタグフレーション」との言葉は一度も使われませんでしたが、インフレの上振れリスクと景気の下振れリスクを強く意識した内容でした。

議事録中には、「関税」が18回、「不透明」が21回出てきます。前回1月28-29日開催分の議事録では「関税」が1回、「不透明」が12回でした。

参加者の多くは、足もとの景気が比較的堅調ななかでインフレの2%目標への接近が足踏みしていると評価。「景気下振れ」よりも「インフレ上振れ」のリスクをより強く意識していたように見受けられます。その点は、「透明さを強調したうえで、過半数の参加者は、(関税や移民規制を含む)様々な要因からくる潜在的なインフレ圧力は想定していたより持続する可能性があると指摘した」との一文に表れています。

結論として、「政府の政策に関する不透明性が高いので、慎重なアプローチをとるのが適切」であり、「インフレや経済活動の見通しがもっとはっきりするまで待つ余裕がある」とされました。

今回の議事録で特徴的なのは、金融政策に関する議論のなかで、ハト派とタカ派の見解の相違がほとんどみられなかったことです。もっとも、これは方針が定まっているということではなく、「不透明性」の大きさを示しているだけかもしれません。「インフレが持続する一方で、景気や雇用の見通しが悪化すれば、FOMCは難しい判断を迫られる」との指摘もありました。

今回の関税のようにトランプ政権で朝令暮改が繰り返されれば、金融当局は事態を見守る(事後対応する)しかないのかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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