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リスクオフがさらに強まるか

2025/04/07 09:27

【ポイント】
・主要国の株価は一段と下落するか
・関税について新たな報道が出てくるか
・原油安が一段と進む場合、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナはさらに下押しも

(欧米市場レビュー)

4日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は147.384円、米ドル/カナダドルは1.42356ドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.09236ドル、英ポンド/米ドルは1.28545ドル、豪ドル/米ドルは0.59836米ドル、NZドル/米ドルは0.55481米ドルへと下落しました。欧州株や米国株が大きく下落するなかでリスクオフ(リスク回避)が強まったことが、米ドルの支援材料になりました。

対米ドルを除いても堅調。米ドルと同じくリスクオフが円の支援材料となり、一時ユーロ/円は158.984円、豪ドル/円は87.376円、NZドル/円は81.067円へと下落。豪ドル/円とNZドル/円は23年3月以来の安値をつけました。

豪ドル/NZドルは一時1.07670NZドルへと下落し、24年6月以来の安値を記録しました。中国政府は米国の相互関税への対抗として「米国からの輸入品すべてに34%の追加関税を10日から課す」と発表。豪州とNZのいずれも中国を最大の輸出先としており、両国とも中国景気の影響を受けやすいと考えられます。ただ、主力輸出品は豪州が鉄鉱石や石炭、NZは粉ミルクなどの乳製品です。豪ドル/NZドルが大きく下落したのは、仮に中国の景気が悪化した場合、豪州の方がその影響をより受けやすいと市場は見なしたのかもしれません。

(本日の相場見通し)

4日の米株式市場では主要な株価指数が総じて下落。ダウは前日比2,231.07ドル安(-5.50%)の38,314.86ドル、ナスダックは同962.82ポイント安(-5.82%)の15,587.79ポイント、S&P500は同322.44ポイント安(-5.97%)の5,074.08ポイントで取引を終了しました。中国政府が米国の相互関税への対抗措置を発表したことで両国の貿易戦争が激化するとの懸念が強まり、米国株への下押し圧力となりました。

本日は、主要国の株価動向に注目です。本日の日経平均は前営業日比625.61円安の33,154.97円で寄り付いた後、下げ幅を拡大しています(午前9時24分時点で2,900円程度)。日経平均が引き続き軟調に推移する、あるいは中国株や欧州株、米国株が下落すれば、リスクオフが一段と強まりそうです。その場合、豪ドル/円やNZドル/円などには下落圧力が加わる可能性があります。

関税をめぐる追加報道には引き続き要注意です。トランプ政権は米東部時間5日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、相互関税のうち一律10%の基本関税を発動しました。さらに9日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に、約60カ国・地域を対象に相互関税の税率を上乗せする措置を発動する予定です。

「EU(欧州連合)は対米報復関税の第1弾を数日以内に発表する」との報道があります。EUに限らず、新たな報道によって貿易摩擦が世界的に激化するとの懸念が強まる場合、リスクオフへとつながる可能性があります。

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原油価格が下落しています。米WTI原油先物の5月物は4日、前日比4.96ドル安(7.4%)安の1バレル=61.99ドルで取引を終了。中心限月の清算値(終値に相当)としては、21年4月以来4年ぶりの安値をつけました。足もとの原油安の主な要因として、貿易摩擦の激化によって世界の景気が悪化するとの懸念が挙げられます。

ノルウェーは原油を主力輸出品とすることから、原油安はノルウェークローネにとってマイナス材料です。原油安が一段と進む場合、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナには引き続き下落圧力が加わりやすいと考えられます。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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