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【株価指数】4月2日、トランプ関税発動へ

2025/03/31 07:05

【ポイント】
・自動車関税の発表を受けて日米株価は大幅下落
・4月2日のトランプ関税の内容は? 土壇場で変更あり?
・米経済指標がリセッション懸念を高めないかにも要注意!

(先週のレビュー)

世界の株式市場は引き続きトランプ政権の関税政策に振り回されました。前週末にトランプ大統領が関税に関して多くの国に軽減措置を認める可能性があると発言、週初には関税が柔軟に運用されるとの期待が一時高まりました。しかし、26日、トランプ大統領が25%の自動車関税を例外なく4月2日に発動することを表明すると、それを嫌気して主要株価は週末にかけて大幅に下落しました。

日経平均は、週前半は揉み合い。26日には植田日銀総裁が物価目標の達成まで「あとわずか」と発言すると、長期金利が上昇しましたが、株価も上昇。その後、トランプ政権の関税に関する懸念から28日に大きく下落、日経平均は一時3万7,000円を割り込みました。

NYダウS&P500ナスダック100は、週末のトランプ発言を受けて上昇して始まったものの、その後は軟調。コンファレンスボードの消費者信頼感指数が大きく低下して、米景気の先行きに対する懸念が高まりました。トランプ大統領は関税が米経済を強くすると主張していますが、少なくとも短期的には輸入に依存する米企業や消費者にとってマイナスだし、貿易相手国の報復措置に打撃を受けることもありそうです。

FTSE100は揉み合いながら、日経平均やNYダウのような大幅な下落はありませんでした。英経済がトランプ関税から受ける直接的な影響は限定的とみられたようです。


(今週の相場材料)

最大の注目材料は、2日に予定されているトランプ関税がどうなるかでしょう。自動車関税に加えて相互関税が発動されるようですが、その対象国・地域や税率はどうなるのか。即時発動か、それとも猶予期間が与えられるのか。そして、直前の交渉で内容が変更されるか、などまだまだ不確定要素は多そうです。

ホワイトハウス(商務省や通商代表部=USTR?)の公式発表のみならず、トランプ大統領のSNSでの発信などにも注意は必要でしょう。場合によっては日本市場が真っ先に反応する時間帯になるかもしれません。また、貿易相手国の対抗措置によっては米企業が打撃を受けるケースも考えられるでしょう。

3月28日に発表された米国の2月PCE(個人消費支出)は軟調でした。消費者信頼感も軟調に推移しており、GDP(=経済規模)の7割近くを占める個人消費の低迷は大いに懸念すべきところでしょう。

28日時点のGDPNow(短期予測モデル)によれば、今年1-3月のGDPは前期比年率-2.8%とマイナス成長が予測されています。そうした状況が続けばリセッション(景気後退)の観測が高まりそうです。

今週はISM製造業・非製造業景況指数雇用統計など3月の米経済指標が発表されます。それらが景気の弱さを示唆するようなら、株価にとって大きなマイナスとなりかねないでしょう。

日本では1-3月期日銀短観が発表されます。トランプ関税の影響がどの程度出るのか、日銀の利上げ観測が一段と高まる(≒長期金利が上昇する)要因となるのか、こちらも注目でしょう。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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