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ノルゲバンクは利下げを先送り、リクスバンクとの政策金利差はやがて縮小へ

2025/03/28 07:39

【ポイント】
・ノルゲバンクは前回予告していた利下げを見送り
・足もとのインフレが加速したことで利下げは時期尚早と判断
・25年中には利下げを行う意向、市場は8月までの利下げをほぼ織り込む
・ノルウェーとスウェーデンの政策金利差はやがて縮小へ

ノルゲバンク(ノルウェー中銀)は27日の政策会合で現状維持を決定しました。政策金利は23年12月に最後の利上げが行われてから4.5%に据え置かれています。

ノルゲバンクは前回1月会合の声明で、「利下げのタイミングは間もなく近づいてくる」としたうえで、「政策金利は3月に引き下げられる可能性が高い」とのバーチェ総裁のコメントを引用して事実上3月の利下げを予告していました。

しかし、基調的インフレ率(CPI-ATE:税制改革やエネルギー製品を除いた基礎CPI)が今年1-2月に2カ月連続で伸びを高めたことで利下げ見送りの判断となったようです。今回の声明では、バーチェ総裁が「インフレが加速しており、予想を大きく上回っている。政策金利が時期尚早に引き下げられれば、インフレは加速し続けるかもしれない」とコメント。

ノルウェーとスウェーデンのインフレ率

もっとも、声明は「今後の経済の展開には不確実性があるものの、政策金利は25年中に引き下げられる可能性が最も高い」との判断が示されました。

ノルゲバンクの金融政策報告では、現在4.5%の政策金利が28年にかけて中立水準とみられる3.0%に引き下げられるとの見通しが示されました(1月時点では中立水準到達は27年の見通し)。

27日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は8月会合までにノルゲバンクの0.25%利下げを9割近く織り込んでいます。

ノルウェーとスウェーデンの政策金利差は縮小へ
リクスバンク(スウェーデン中銀)は3月20日の会合で政策金利を2.25%に据え置くとともに、利下げ打ち止めの意向を表明しました。まだ少し時間がかかるかもしれませんが、これまで拡大してきた両国の政策金利差(ノルゲバンク>リクスバンク)は縮小していく見通しです。NOK/SEK(ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ)にはやがて政策金利面から下押し圧力が加わりそうです。

ノルウェーとスウェーデンの政策金利
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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