【株価指数】日米英金融政策、EUサミット、「関税戦争」
2025/03/17 07:57
【ポイント】
・株式市場は、トランプ関税や貿易相手の対抗措置に振り回される展開
・日本では長期金利上昇や円高、米国では景況感悪化が株価の重石に
・日米の金融政策やトランプ氏の関税発言(あれば)に注目
(先週のレビュー)
主要株価指数は先週に続き軟調ななか、国によってやや違いがありました。日経平均は揉み合い。NYダウ、S&P500、ナスダック100はいずれも大きく下げた後、14日に小反発。FTSE100は週前半に下落し、後半に反発しました。
鉄鋼・アルミ関税の発動などトランプ政権の関税やそれらへの対抗措置を巡る動きが引き続き株式市場を揺さぶりました。さらに、米国では、経済指標の軟調、DOGE(政府効率化省)による連邦政府縮小の動き、予算を巡るシャットダウン(政府機能一部停止)への警戒感などから景況感が悪化して、株価の重石となりました。ただ、14日の期限直前に年度末までの継続予算が成立する見通しとなり、株式市場のセンチメント改善に寄与したようです。
日本では、春闘の結果が良好との見方、植田日銀総裁が追加利上げに積極的な姿勢をみせて長期金利上昇を容認するかの発言をしたことなどから、円に上昇圧力が加わり易い展開でした。米ドル/円は週初に一時146円台半ばまで下落。「円高」やトランプ関税への懸念から輸出関連株が軟調でした。日経平均は昨年10月以降3万8,000円~4万円を中心に推移していましたが、3月に入って3万6,000円~3万8,000円へレンジシフトしたようにみえます。
英国の1月GDPは3カ月ぶりに前月比マイナスでした。それでも、英長期金利の低下や米株の反発もあって、FTSE100は14日に大きく反発。ただし、前週末を下回っての越週となりました。
(今週の相場材料)
今週は、米FRB(連邦準備制度理事会)や日銀、BOE(英中央銀行)などの政策会合が開催されます。いずれも現状維持が予想されています。5月以降の追加措置(日銀は利上げ、その他は利下げ)に関してどのようなヒントが示されるでしょうか。それとも、関税などを巡り不透明感が強いことや都度判断することが強調されるでしょうか。
今回の米FOMC(連邦公開市場委員会)では3カ月に1度の経済・金融見通しが公表されます。「ドット・プロット(参加者の25-27年末時点の政策金利予想の集計)」が示す政策金利の軌道を市場はどう受け止めるか。パウエルFRB議長の記者会見では、関税、政府削減、(今後議会が審議する)減税などトランプ政権の経済政策に関する見解が問われそうです。FOMC前には小売売上高や住宅着工件数、鉱工業生産など2月のデータが発表されます。
日銀の金融政策決定会合について、市場では7月の利上げ予想が有力です。それに向けての地ならしは行われるでしょうか。植田総裁の記者会見では、日銀が重視する賃金動向に関する判断や米国に関する見解が示されるでしょうか。17年ぶりの高値圏にある長期金利(10年物国債利回り)が一段と上昇するようなら、円高や株安を招くかもしれません。ただ、「急な金利上昇には(例外的に)国債買入れの増額で対応する」とのメッセージが繰り返されそうです。
英MPC(金融政策委員会)では、現状維持を前提とすれば、その票決にも注目です。前回2月に0.25%利下げを決定した際には、7人の委員のうち2人が0.50%の利下げを主張しました。足もとでは景気の軟調が継続する一方で、賃金やCPI(消費者物価指数)はやや上振れしています。市場がMPCの決定を「タカ派的」と判断すれば、利下げ観測が後退して、英ポンド高や株安につながりそうです。
4月2日には米国の相互関税発動やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に関連する関税適用除外の解消などが予定されています。その前に、トランプ大統領が何らかのメッセージを発しないか、各国・地域からの応酬はないか、なども注意する必要がありそうです(時間帯によっては東京市場が直撃を受ける可能性もあります)。
20-21日にはEUサミット(欧州連合首脳会議)が開催されます。そこでの議題は、ウクライナ支援や域内の安全保障・防衛費増額などが中心となりそうです。トランプ政権が仕掛ける「貿易戦争」への対抗措置なども話し合われるかもしれません。地政学リスクに絡んで、リスクオン/オフの市場センチメントが変化すれば、株価にも影響が生じるかもしれません。
・株式市場は、トランプ関税や貿易相手の対抗措置に振り回される展開
・日本では長期金利上昇や円高、米国では景況感悪化が株価の重石に
・日米の金融政策やトランプ氏の関税発言(あれば)に注目
(先週のレビュー)
主要株価指数は先週に続き軟調ななか、国によってやや違いがありました。日経平均は揉み合い。NYダウ、S&P500、ナスダック100はいずれも大きく下げた後、14日に小反発。FTSE100は週前半に下落し、後半に反発しました。
鉄鋼・アルミ関税の発動などトランプ政権の関税やそれらへの対抗措置を巡る動きが引き続き株式市場を揺さぶりました。さらに、米国では、経済指標の軟調、DOGE(政府効率化省)による連邦政府縮小の動き、予算を巡るシャットダウン(政府機能一部停止)への警戒感などから景況感が悪化して、株価の重石となりました。ただ、14日の期限直前に年度末までの継続予算が成立する見通しとなり、株式市場のセンチメント改善に寄与したようです。
日本では、春闘の結果が良好との見方、植田日銀総裁が追加利上げに積極的な姿勢をみせて長期金利上昇を容認するかの発言をしたことなどから、円に上昇圧力が加わり易い展開でした。米ドル/円は週初に一時146円台半ばまで下落。「円高」やトランプ関税への懸念から輸出関連株が軟調でした。日経平均は昨年10月以降3万8,000円~4万円を中心に推移していましたが、3月に入って3万6,000円~3万8,000円へレンジシフトしたようにみえます。
英国の1月GDPは3カ月ぶりに前月比マイナスでした。それでも、英長期金利の低下や米株の反発もあって、FTSE100は14日に大きく反発。ただし、前週末を下回っての越週となりました。
(今週の相場材料)
今週は、米FRB(連邦準備制度理事会)や日銀、BOE(英中央銀行)などの政策会合が開催されます。いずれも現状維持が予想されています。5月以降の追加措置(日銀は利上げ、その他は利下げ)に関してどのようなヒントが示されるでしょうか。それとも、関税などを巡り不透明感が強いことや都度判断することが強調されるでしょうか。
今回の米FOMC(連邦公開市場委員会)では3カ月に1度の経済・金融見通しが公表されます。「ドット・プロット(参加者の25-27年末時点の政策金利予想の集計)」が示す政策金利の軌道を市場はどう受け止めるか。パウエルFRB議長の記者会見では、関税、政府削減、(今後議会が審議する)減税などトランプ政権の経済政策に関する見解が問われそうです。FOMC前には小売売上高や住宅着工件数、鉱工業生産など2月のデータが発表されます。
日銀の金融政策決定会合について、市場では7月の利上げ予想が有力です。それに向けての地ならしは行われるでしょうか。植田総裁の記者会見では、日銀が重視する賃金動向に関する判断や米国に関する見解が示されるでしょうか。17年ぶりの高値圏にある長期金利(10年物国債利回り)が一段と上昇するようなら、円高や株安を招くかもしれません。ただ、「急な金利上昇には(例外的に)国債買入れの増額で対応する」とのメッセージが繰り返されそうです。
英MPC(金融政策委員会)では、現状維持を前提とすれば、その票決にも注目です。前回2月に0.25%利下げを決定した際には、7人の委員のうち2人が0.50%の利下げを主張しました。足もとでは景気の軟調が継続する一方で、賃金やCPI(消費者物価指数)はやや上振れしています。市場がMPCの決定を「タカ派的」と判断すれば、利下げ観測が後退して、英ポンド高や株安につながりそうです。
4月2日には米国の相互関税発動やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に関連する関税適用除外の解消などが予定されています。その前に、トランプ大統領が何らかのメッセージを発しないか、各国・地域からの応酬はないか、なども注意する必要がありそうです(時間帯によっては東京市場が直撃を受ける可能性もあります)。
20-21日にはEUサミット(欧州連合首脳会議)が開催されます。そこでの議題は、ウクライナ支援や域内の安全保障・防衛費増額などが中心となりそうです。トランプ政権が仕掛ける「貿易戦争」への対抗措置なども話し合われるかもしれません。地政学リスクに絡んで、リスクオン/オフの市場センチメントが変化すれば、株価にも影響が生じるかもしれません。
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