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【株価指数】引き続き「関税」が重要材料。米予算関連にも注目!?

2025/03/10 08:08

【ポイント】
・10日に中国が報復関税発動、12日に米国の鉄鋼・アルミ関税発効
・14日に米継続(つなぎ)予算期限切れ、シャットダウンは回避されるか
・FRBは18-19日にFOMCを控えてブラックアウト期間入り

(先週のレビュー)

主要株価指数は軟調。トランプ政権の関税にまつわるニュースが引き続き相場材料となりました。3日には翌日の対カナダ・メキシコ(・中国)関税の発動が確認されて、S&P500が今年最大の下げを記録するなど、株価の下げを演出しました。対カナダ・メキシコで自動車関税の1カ月延期やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に準拠した製品への関税免除(4月2日まで)などを受けて株価が上昇する場面はありました。しかし、総じてみれば、トランプ政権の通商政策は世界的な貿易縮小懸念から株価の大きな重石となっているようです。

米景気に対する懸念も根強くありました。7日発表の2月雇用統計は雇用の底堅さを示唆したものの、失業率が上昇したこともあり、懸念は払しょくされず。ただ、直後にパウエルFRB議長が景気に対して楽観的な見解を示したことで、株価は小反発しました。

日本や欧州では金利上昇やそれに伴う通貨高も株価の下押し要因となりました。日本では、日銀の利上げ観測が強まり、長期金利(10年物国債利回り)は09年6月以来となる1.5%超に。トランプ大統領の円安けん制発言もあり、米ドル/円は7日に昨年10月以来となる一時146円台を示現しました。日経平均は3月に入って昨年10月以降の中心的な変動レンジだった3万8,000円~4万円を下回って推移しています。
ドイツでは、首相就任が確実視されるCDU/CSU(キリスト教民主社会同盟)のメルツ党首が財政ルールを修正して防衛費増大を示唆したことで、長期金利は5日に1日の下げ幅としては35年間で最大を記録しました。FTSE100は3日に最高値を更新したものの、その後は英ポンドや長期金利の上昇などにより下落基調でした。


(今週の相場材料)

今週も、主要株価指数は不安定な展開となりそうです。引き続き関税関連の動きが予定されており、新たなニュース出現の可能性も含めて要注意でしょう。また、14日には米国の継続(つなぎ)予算が期限切れとなります。14日は、株価指数先物・オプション3月限の特別清算値(メジャーSQ)算出日でもあります。

中国は10日、米国の農産物などに最大15%の関税を課す報復措置を発動しました。中国はカナダに対しても食品等を中心とした報復関税を29日に発動する予定です。12日には、米国が鉄鋼・アルミニウムへの25%関税を発動する予定。

米議会では15日以降をカバーする予算案が審議されます。下院共和党は国防費以外の歳出を削減する年度末(25年9月末)までの予算案を発表しました。民主党は反対の姿勢をみせており、15日以降の予算措置が成立しなければ、短期間であってもシャットダウン(政府機能の一部停止)が発生する可能性があります。

経済指標は、12日の2月米CPIを除けば、あまり大きなものはありません。FRBは18-19日にFOMCが予定されており、先週末からブラックアウト期間(中銀関係者が政策会合を控えて目先の金融政策に関する発言を封印する期間)に入っています。パウエルFRB議長は利下げを急がない旨を繰り返しており、市場の米金融政策に関する見方に大きな変化はないかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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