トランプ関税発動で米ドル安!? ECBの反応は?
2025/03/05 07:17
【ポイント】
・4日のNY市場では株価が下落し、長期金利が低下
・トランプ関税によりFRBの利下げ観測高まる
・金融政策見通しの差はユーロ/米ドルの重石ではなくなった!?
・6日のECB理事会および総裁会見でどんなメッセージが出てくるか
4日、米国の対カナダ・メキシコ・中国関税が発動されました。これを受けて、NYダウは一時800ドル超下落、長期金利(10年物国債利回り)は低下し、米ドルは下落しました(※)。
※ただし、長期金利は反発に転じ、米ドル/円も150円近辺まで上昇しました(日本時間5日午前7時現在)。
トランプ大統領が関税賦課の意向を示すと、対象国の通貨が対米ドルで下落する傾向がありましたが、足もとでは米ドルのマイナス材料にもなっています。米景気に対する懸念が強まるなかで、「関税」がFRBの利下げ観測を高めているからです。結局のところ、トランプ政権が打ち出した(打ち出す)関税や報復措置の影響を全て受けるのが米国ということなのかもしれません。
4日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は25年中に0.25%×2.8回の利下げを織り込んでいます。これがわずか10営業日前の2月18日には0.25%×1.3回でした。つまり、市場のメインシナリオ(確率5割超)が、25年中に「利下げ1回」から「利下げ3回」へと変化したわけです。

このところ、ユーロが比較的堅調に推移しています。ECBは慎重に利下げを続けるものとみられますが、利下げの打ち止めが少しずつ意識されているのかもしれません。4日時点のOISに基づけば、市場が織り込むECBの25年中の利下げは3.4回。FRBよりも前倒しで利下げが行われるとの見通しですが、25年末までの利下げ幅(見通し)に大きな差はありません。つまり、米国とユーロ圏の金融政策見通しの差がこれまでのようにはユーロ/米ドルの重石にはならない、25年後半にフォーカスすればむしろユーロ/米ドルの上昇要因ということかもしれません。

もっとも、米国のEU(欧州連合)に対する関税が打ち出されるのはこれからです。ウクライナ支援や(NATOなど)安全保障関連の支出が増加して財政負担が大きくなる可能性もあります(それらは長期金利の上昇要因ですが、通貨ユーロにとってマイナスか)。足もとで、ユーロ圏経済やECBの金融政策に関する不透明感は増しています。6日のECB理事会では0.25%の利下げがほぼ確実視されていますが、金融政策の先行きに関して、理事会やラガルド総裁の会見でどのようなメッセージが出てくるか、大いに注目されます。
・4日のNY市場では株価が下落し、長期金利が低下
・トランプ関税によりFRBの利下げ観測高まる
・金融政策見通しの差はユーロ/米ドルの重石ではなくなった!?
・6日のECB理事会および総裁会見でどんなメッセージが出てくるか
4日、米国の対カナダ・メキシコ・中国関税が発動されました。これを受けて、NYダウは一時800ドル超下落、長期金利(10年物国債利回り)は低下し、米ドルは下落しました(※)。
※ただし、長期金利は反発に転じ、米ドル/円も150円近辺まで上昇しました(日本時間5日午前7時現在)。
トランプ大統領が関税賦課の意向を示すと、対象国の通貨が対米ドルで下落する傾向がありましたが、足もとでは米ドルのマイナス材料にもなっています。米景気に対する懸念が強まるなかで、「関税」がFRBの利下げ観測を高めているからです。結局のところ、トランプ政権が打ち出した(打ち出す)関税や報復措置の影響を全て受けるのが米国ということなのかもしれません。
4日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は25年中に0.25%×2.8回の利下げを織り込んでいます。これがわずか10営業日前の2月18日には0.25%×1.3回でした。つまり、市場のメインシナリオ(確率5割超)が、25年中に「利下げ1回」から「利下げ3回」へと変化したわけです。

このところ、ユーロが比較的堅調に推移しています。ECBは慎重に利下げを続けるものとみられますが、利下げの打ち止めが少しずつ意識されているのかもしれません。4日時点のOISに基づけば、市場が織り込むECBの25年中の利下げは3.4回。FRBよりも前倒しで利下げが行われるとの見通しですが、25年末までの利下げ幅(見通し)に大きな差はありません。つまり、米国とユーロ圏の金融政策見通しの差がこれまでのようにはユーロ/米ドルの重石にはならない、25年後半にフォーカスすればむしろユーロ/米ドルの上昇要因ということかもしれません。

もっとも、米国のEU(欧州連合)に対する関税が打ち出されるのはこれからです。ウクライナ支援や(NATOなど)安全保障関連の支出が増加して財政負担が大きくなる可能性もあります(それらは長期金利の上昇要因ですが、通貨ユーロにとってマイナスか)。足もとで、ユーロ圏経済やECBの金融政策に関する不透明感は増しています。6日のECB理事会では0.25%の利下げがほぼ確実視されていますが、金融政策の先行きに関して、理事会やラガルド総裁の会見でどのようなメッセージが出てくるか、大いに注目されます。
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