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米景気は失速?? GDPの大幅マイナス予測は一時的か

2025/03/04 07:27

【ポイント】
・米景気鈍化を示す経済指標が増加
・GDPNowは1-3月期GDPを-2.8%と予測
・トランプ関税発効前の駆け込み的輸入増が大きく、すぐに減少に転じそう
・ただ個人消費の大幅な減速は気になるところ、目先的には雇用統計が重要か

米景気への懸念が強まっています。2月28日に発表された1月PCE(個人消費支出)はインフレ分を考慮した実質ベースで前月比-0.5%と落ち込みました。3日に発表された2月ISM製造業景況指数は50.3と辛うじて製造業活動の拡大/縮小の境界とされる50を上回ったものの、市場予想(50.7)や前月(50.9)を下回りました。

ISM

3日時点のアトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)は、1-3月期GDPを前期比年率-2.8%と大幅な落ち込みを予測しています。米景気がこのまま失速するようだと、大幅な株安や長期金利の低下、さらには米ドル(とりわけ対円)の下落を招きかねません。

GDPNow

もっとも、1-3月期GDPの大幅なマイナス予測は今後に修正される、あるいは少なくとも4-6月期はプラスに転じることで「2四半期連続でマイナス成長」と簡便的に定義されるリセッション(景気後退)は避けられる可能性が高そうです。

第1に、1-3月期の経済指標のうち3分の1程度しか発表されておらず、残りの3分の2によって予測は大きく変わり得るでしょう。

第2に、1-3月期GDP予測を大きく押し下げているのは純輸出(=輸出-輸入)です。それだけでGDPを3.57%分押し下げる計算です(=寄与度)。これはトランプ関税の発効前の駆け込み的な輸入急増が原因です。トランプ関税が発効して輸入にブレーキがかかれば、今度は純輸出がGDPを押し上げることになりそうです。

第3に、1月PCE(個人消費支出)は昨年11-12月に非常に好調だった反動で減少したものとみられます。2-3月に増加基調に転じれば、GDPの押し上げに寄与しそうです。

米PCE

もちろん、米景気が個人消費を中心に減速している可能性は高く、雇用が減少に転じたり、株価の下落が続いたりするようなら景気後退が現実味を増す可能性は否定できません。

今後の状況を注意深く見守る必要がありそうです。目先的には7日発表の2月雇用統計が重要となりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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