トランプ大統領は「対カナダ・対メキシコ関税は3月4日に発動」と表明
2025/02/28 09:15
【ポイント】
・関税について追加報道が出てくれば市場が反応しそう
・米PCEデフレーターで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
27日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は150.114円、米ドル/カナダドルは1.44444カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.03971ドル、英ポンド/米ドルは1.25991ドルへと下落しました。トランプ米大統領のSNSへの投稿が米ドルの支援材料となりました。
トランプ大統領はSNSに「メキシコとカナダからの輸入品に対する関税(25%。カナダのエネルギー資源は10%)を予定通り3月4日に発動する」、「同じ日に中国からの輸入品に対する関税をさらに10%引き上げる」と投稿しました。高率の関税が発動されれば、輸入物価の上昇を通じて米国内のインフレ圧力が高まるとの見方が市場にはあります。
トランプ大統領は26日の閣議で、メキシコとカナダに対する関税について記者団から質問された際に「4月2日に発動する」と答えました。この発言を受けて市場では、対メキシコ関税と対カナダ関税の発動は3月4日から再延期されるとの期待が高まりました。しかし、ホワイトハウス高官によれば、4月2日というのは両国を含めて全貿易相手を対象とする相互関税のことだったようです。
(本日の相場見通し)
本日引き続き、トランプ政権による関税をめぐる報道に要注意です。
トランプ大統領は上述の関税の他にも、全ての貿易相手を対象とした25%の鉄鋼・アルミの追加関税を3月12日に発動する方針を示しており、26日には「EU(欧州連合)からの輸入品に対する関税(税率は25%)を近く発表する」と述べました。貿易相手が米国製品に課している関税と同じ税率の関税を課す相互関税の導入や、自動車・半導体・医薬品などに関税を課す可能性も示しています。
追加報道が出てくれば市場が反応しそうです。高率の関税が課される対象となる国の通貨には下落圧力が加わるとみられる一方で、米ドルは堅調に推移しそうです。
リスクオフ(リスク回避)も強まるかもしれません。その場合、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円が下押しする可能性があります。
週末に追加報道が出てきた場合、3月3日(月)に窓あけ(金曜日の終値と月曜日の始値に著しい差が生じること)する可能性もあります。
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米国の1月PCE(個人消費支出)デフレーターが本日発表されます(日本時間22:30)。この結果が材料になる可能性があります。
PCEデフレーターの市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
<総合>
・前月比:0.3%(0.3%)
・前年比:2.5%(2.6%)
<コア>
・前月比:0.3%(0.2%)
・前年比:2.6%(2.8%)
最近の米経済指標の弱い結果を受け、市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)の追加利下げ観測が強まっています。CMEのFedWatchツールによると、米国時間26日時点で市場が織り込む利下げの確率は、3月が5%、5月までで3割弱、6月までで約7割、7月までで約8割です。20日時点ではそれぞれ、3%、約2割、約5割、約6割でした。
PCEデフレーターが市場予想を下回る結果になれば、FRBの追加利下げ観測が一段と強まるとともに、米ドルにとってマイナスになりそうです。
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