マネースクエア マーケット情報

独米金利差によるユーロ/米ドルの推計

2025/02/28 08:25

【ポイント】
・ユーロ/米ドルは独米短期金利差と高い相関
・今年に入ってユーロ/米ドルの実勢値が下振れ、トランプ要因か
・いずれは金利差縮小がユーロ/米ドルの上昇要因に?

ユーロ/米ドルは1月13日に一時1.01733ドルを付けた後、上昇基調にありましたが、昨日27日はトランプ関税のニュースなどで大きく下げました。

以下では、ドイツと米国の短期金利(2年物国債利回り)の差を用いてユーロ/米ドルの推計を行いました。ユーロ/米ドルは長期金利(10年物国債利回り)の差以上に短期金利差との相関が高いようです(※)。

※90年代半ばごろまで、米ドル/円は米貿易赤字、ユーロ(マルク)/米ドルは短期金利差が大きな相場材料でした。米ドル/円に関しては日米貿易不均衡/貿易摩擦が大きなテーマでした。一方、米独間には大きな不均衡は存在せず、短期金利差に着目した資本移動が大きな要因だったと考えられます。

独米金利差とユーロドル


■米ドル/円の推計については、2月14日付け「日米金利差による米ドル/円の新たな推計」をご覧ください。

******
24年一年間(週足)における独米短期金利差を用いて、ユーロ/米ドルを推計しました。推計式は以下の通り。

     <ユーロ/米ドル>=1.2158+0.074*<独米短期金利差>
     ただし、独米短期金利差=2年物国債利回り(ドイツ-米国)
      推計期間:24年1月5日-12月27日(週次) R2=0.88

25年に入って、ユーロ/米ドルの実勢値は推計値を下回って推移しています。これは、トランプ政権の誕生によって、欧州(ユーロ圏)の軍事負担増大や安全保障問題、さらには関税などがユーロの重石になっているためかもしれません。ドイツ総選挙に絡んだ政治の不透明感が影響している可能性もありそうです。

ユーロドルの推計

ユーロドルの推計

足もとにおけるユーロ/米ドルの実勢値と推計値とのかい離が一時的なもので、いずれどちらかに収れんするのか。それとも、かい離が継続してユーロ/米ドルと独米金利差が新たな関係を構築するのか、引き続きモニターしていきたいと思います。

目先的には、3月6日のECB理事会(利下げの可能性大)、ウクライナ停戦(和平)の行方(6日にEUサミット)、対EUトランプ関税の行方などが相場材料となりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ