マネースクエア マーケット情報

日米金利差による米ドル/円の新たな推計

2025/02/14 08:04

【ポイント】
・米ドル/円と日米長期金利差の高い相関は継続
・米長期金利はトランプ関税や財政政策が材料に!?
・日本の長期金利は日銀の利上げ観測が材料か

マーケットが関税引き上げの有無など米トランプ政権の政策によって振り回されるなか、米ドル/円と日米長期金利差の高い相関は維持されているようです。

24年11月1日-25年1月31日の期間における日米長期金利差を用いて、米ドル/円を推計しました。推計式は以下の通り。

     (米ドル/円)=97.88+16.96*(日米長期金利差)
    推計期間:24年11月1日-25年1月31日 決定係数R2=0.83

2月13日時点の米長期金利は4.5288%、日本の長期金利は1.353%で、金利差は3.1758%。これを上記推計式に投入すれば、米ドル/円の推計値は151.76円と算出できます。

米ドル円の推計

仮に、日米長期金利差が3.0%まで縮小すれば(米長期金利の低下や日本の長期金利の上昇、あるいはその両方)、米ドル/円の推計値は148.77円と150円を割り込みます。また、日米長期金利差が3.4%まで拡大すれば、米ドル/円の推計値は155.56円となります。
米ドル円と長期金利差

米長期金利は1月中旬に4.80%でピークアウトし、2月7日の雇用統計発表直後に一時4.4%を割り込みましたが、そこから反発。ただ、12日にはCPIを受けて大きく上昇、13日にはPPIや相互関税がすぐには発動されないとの報道などで低下・・・と、方向感の定まらない状況です。今後は、関税によるインフレ圧力をどうみるか、議会が減税などをどう実現するかなどが相場材料になりそうです。

一方、日本の長期金利はジリジリと上昇基調が続いています。日銀の利上げ観測が高まっているからでしょう。13日には一時1.38%に接近しましたが、これは約14年ぶりの高水準でした。日銀の田村審議委員は6日の講演後の記者会見で、政策金利は25年度後半に最低1%まで引き上げる必要があるとの見解を示しました。仮にそうなるのであれば、長期金利はいずれ1.50%-2.00%か、それ以上に上昇しても不思議ではないでしょう。

来週は、17日に日本の昨年10-12月期GDP、21日に1月全国CPIの発表があり、19日には高田審議委員が講演します。それらが長期金利の材料になる可能性があります。

日米長期金利
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ