トランプ政権による関税をめぐる追加報道に要注意
2025/02/27 09:10
【ポイント】
・米政権によるカナダとメキシコに対する関税発動は4月2日に延期!?
・米経済指標で米景気減速への懸念が一段と強まるか
(欧米市場レビュー)
26日、欧米時間の外為市場ではユーロが軟調に推移。一時ユーロ/円は156.022円、ユーロ/英ポンドは0.82599ポンドへと下落しました。米国のトランプ大統領がEU(欧州連合)からの輸入品に対する関税について「(税率は)25%。近く発表する」と述べたことが、ユーロの重石となりました。
カナダドルとメキシコペソも関税をめぐる報道に反応しました。
トランプ政権はカナダとメキシコからの輸入品に25%(カナダのエネルギー資源は10%)の関税を課す考えを示しています。関税の発動日は2月4日の予定でしたが、カナダとメキシコが米国との国境警備を強化する方針を示したことで3月4日に1カ月間延期されました。
トランプ大統領は26日、両国に対する関税は「4月2日に発動されるだろう」と述べました。関税の発動が再延期されるとの期待からカナダドルとメキシコペソが急伸し、米ドル/カナダドルは一時1.43000カナダドルを割り込みました。
しかしその後、ホワイトハウス当局者が「3月4日の発動日はなお有効だ」と述べると、カナダドルとメキシコペソは上げ幅を縮小。米ドル/カナダドルは1.43カナダドル台半ばへと上昇しました。
(本日の相場見通し)
本日は引き続き、トランプ政権による関税をめぐる報道に要注意です。追加報道によって対カナダ関税や対メキシコ関税の発動再延期への期待が市場で一段と高まれば、カナダドルやメキシコペソは堅調に推移しそうです。
追加報道を受けて高率の関税が課される可能性がある国の通貨には下落圧力が加わると考えられます。
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本日は、米国の24年10-12月期GDP(国内総生産)改定値、先週分の新規失業保険申請件数、1月耐久財受注、1月中古住宅販売保留指数が発表されます。これら経済指標の結果が材料になりそうです。
市場予想は以下の通りです。( )は前回(GDPは速報値)の実績です。
・GDP改定値(前期比年率):2.3%(2.3%)
・新規失業保険申請件数:22.1万件(21.9万件)
・耐久財受注(前月比):プラス2.0%(マイナス2.2%)
・中古住宅販売保留指数(前月比):マイナス0.9%(マイナス5.5%)
先週発表された2月S&Pグローバルサービス業PMI(購買担当者景気指数)速報値や2月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値などの弱い結果により、市場では米景気減速への懸念が強まっています。
本日発表されるGDP改定値なども市場予想と比べて弱い結果になれば、米景気減速への懸念は一段と強まるかもしれません。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上値を試す展開になりそう。英ポンド/米ドルは、200日移動平均線(本日時点で1.27855ドルに位置)が目先の上値メドです。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、今年も『3月安』となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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