トランプ大統領が対カナダ関税と対メキシコ関税に言及
2025/02/25 09:05
【ポイント】
・日本の長期金利が上昇するか
・米消費者信頼感指数で市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・トランプ政権による関税をめぐる報道に注意
(欧米市場レビュー)
24日、欧米時間の外為市場ではカナダドルが軟調に推移。米ドル/カナダドルは一時1.42632カナダドルへと上昇しました。トランプ米大統領がカナダとメキシコに対する関税について「予定通り」と述べ、3月4日から両国に高率の関税を課す考えを示したことがカナダドルの重石となりました。
※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、重要な“分水嶺(ぶんすいれい)”に接近!今後の注目点は?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは堅調に推移し、一時0.95881スウェーデンクローナへと上昇しました。原油価格の反発がノルウェークローネの支援材料となりました。
原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物の中心限月の4月物は、前営業日比0.30ドル高(0.43%)の1バレル=70.70ドルで取引を終了。WTI原油先物 21日に中心限月の清算値(終値に相当)として、およそ2カ月ぶりの安値をつけていました。
米ドル/円やユーロ/円、ユーロ/米ドルは方向感の乏しい展開。米ドル/円は149円台、ユーロ/円は156円台、ユーロ/米ドルは1.04ドル後半を中心とした値動きとなりました。
メキシコの2月前半CPI(消費者物価指数)が発表され、結果は総合指数が前年比3.74%、食品・エネルギー・農畜産物を除いたコア指数は同3.63%でした。コア指数は市場予想の3.61%を上回ったものの(総合指数は市場予想通り)、メキシコペソに大きな反応はみられませんでした。
(本日の相場見通し)
日銀の追加利上げ観測から日本の長期金利(10年物国債利回り)が上昇傾向となっています。長期金利は21日に一時1.45%へと上昇し、09年11月以来の高い水準をつけました。ただその後、日銀の植田総裁が衆院予算委員会で、長期金利が急上昇する例外的な状況では「機動的に国債買入れの増額等を実施する」と述べたことで、長期金利は低下しました(21日の東京市場は1.42%で終了)。
本日は日本の長期金利の動向に注目です。長期金利が再び上昇する場合には円が堅調に推移して、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は下値を試す展開になる可能性があります。
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米国の2月消費者信頼感指数が本日発表されます(日本時間24:00)。市場予想は102.5と、前月の104.1から低下するとみられています。
21日に発表された米国の2月S&Pグローバルサービス業PMI(購買担当者景気指数)や2月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)が市場予想を下回る結果だったことで、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が強まりました。
CMEグループのFedWatchツールによると、米国時間24日時点で市場が織り込む利下げ確率は3月が5%、5月までで約3割、6月までで6割強、7月までで7割強です。20日時点の確率は3月が3%、5月までで約2割、6月までで約5割、7月までで約6割でした。
本日発表の消費者信頼感指数が市場予想を下回る結果になれば、FRBの利下げ観測が強まる可能性があります。利下げ観測が強まることは米ドルにとってマイナスになると考えられます。
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トランプ米政権による関税をめぐる報道には注意が必要です。
トランプ政権はカナダとメキシコからの輸入品に対して25%(カナダのエネルギー資源は10%)の関税を3月4日から課す計画です。また、全ての貿易相手を対象に25%の鉄鋼・アルミの追加関税を3月12日に導入する方針を示しており、貿易相手が米国製品に課している関税と同じ税率の関税を課す「相互関税」の導入を検討しています。自動車・半導体・医薬品などに高率の関税を課す可能性も示しています。
トランプ政権による関税について新たな報道が出てくれば、市場が反応しそうです。その場合、高率の関税が課される可能性が高まる国の通貨には下落圧力が加わると考えられます。
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