GDP発表後に米ドル/円やクロス円が下落
2025/02/17 09:04
【ポイント】
・GDPの結果によって日銀の追加利上げ観測が市場で強まるか
・米政権による関税をめぐる報道には引き続き要注意
・ウクライナ停戦交渉への期待が市場で一段と高まるか
・米国とカナダが祝日で流動性が低下、値動きの増幅に注意は必要
(欧米市場レビュー)
14日、欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は151.997円、米ドル/カナダドルは1.41475カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.05089ドル、英ポンド/米ドルは1.26255ドル、豪ドル/米ドルは0.63622米ドルへと上昇。米ドル/カナダドルは24年12月12日以来およそ2カ月ぶりの安値をつけ、豪ドル/米ドルは24年12月17日以来およそ2カ月ぶりの高値を記録しました。米国の1月小売売上高が市場予想よりも弱い結果だったことが、米ドルに対する下押し圧力となりました。
小売売上高の結果は以下の通り。( )は市場予想です。
・小売売上高(前月比):マイナス0.9%(マイナス0.1%)
・小売売上高(除自動車。前月比):マイナス0.4%(プラス0.3%)
(本日の相場見通し)
日本時間本日午前8時50分、日本の24年10-12月期GDP(国内総生産)速報値が発表されました。
GDP速報値の結果は前期比年率換算2.8%と、市場予想の1.0%を上回りました。GDPの結果発表後に米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円)が下落しました。
日銀の追加利上げ観測が市場で強まる可能性があり、その場合には米ドル/円やクロス円は引き続き軟調に推移しそうです。
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トランプ政権による関税についての報道には引き続き要注意です。トランプ政権はカナダとメキシコに対する25%の関税(カナダについては原油などエネルギーの税率は10%)を3月4日に、全貿易相手国を対象とする鉄鋼・アルミの25%の追加関税を3月12日に発動する予定です。
トランプ大統領は2月13日、貿易相手国が米国製品に課している関税と同じ税率の関税を課す相互関税の導入検討を指示する覚書に署名しました。商務省やUSTR(米通商代表部)が各国の関税措置や貿易関係などを調査し、その調査報告を踏まえて貿易相手国ごとに相互関税を課すかどうかや関税率が決定されます。相互関税が発動されるのは4月以降になるようです。
トランプ大統領はまた、2月14日に「米国に輸入される自動車に対して4月2日頃から関税を課すことを検討している」とも述べました。
関税について追加報道が出てくれば、市場が反応しそうです。その場合、関税の影響を受けやすい国の通貨には下落圧力が加わる可能性があります。
「米国とロシアの政府当局者が数日中にウクライナ戦争の停戦に向けた協議をサウジアラビアで開始する」、「早ければ2月末にトランプ大統領とロシアのプーチン大統領の首脳会談が行われる可能性がある」との報道があります。新たな報道によって停戦協議が前進するとの期待が一段と強まる場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが後退するかもしれません。
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本日は米国とカナダが祝日のため、外為市場では参加者が減少して流動性が低下します。突発的なニュースや仕掛け的な動きが出てきた場合には値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。
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