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【株価指数】停戦交渉、トランプ関税・減税、日銀金融政策

2025/02/17 07:24

【ポイント】
・ロシア・ウクライナ戦争の停戦(和平)交渉が米露間でスタート
・トランプ関税や減税に関して新たな動きはみられるか
・日銀の利上げ観測などから日本の長期金利は上昇するか

(先週のレビュー)

主要株価指数は、米トランプ政権の関税政策に振り回されて、方向感の出にくい展開でした。ただ、そうしたなかでも、米大手ハイテク株は比較的好調で、S&P5001月の最高値に接近し、ナスダック100は高値を更新しました。また、ロシア・ウクライナ戦争の終結期待や企業業績の好調から欧州株は堅調に推移し、FTSE100は高値を更新しました。

トランプ政権は鉄鋼・アルミに対する25%関税を決定。一方で、相互関税を決定したものの、関税を国ごとにカスタムメイドする、実施は4月以降になるとの発表などを受けて一部で安心感が広がりました。

米株価指数は、金融政策に関する観測の変化やそれを受けた長期金利(10年物国債利回り)の動向にも影響を受けました。パウエルFRB議長は議会証言で利下げを急がないとの見解を表明。1月CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ったことで、利下げ観測が後退。長期金利は上昇しました。しかし、その後に発表された1月PPI(生産者物価指数)がインフレの落ち着きを示唆、さらには同小売売上高が弱めだったことで、長期金利は大幅に低下しました。


(今週の相場材料)

ロシア・ウクライナ戦争に関する米国とロシアの停戦(和平)交渉がサウジアラビアで開催される予定です。停戦のためにどのような条件が打ち出されるのか、また当事国であるウクライナがどの程度関与できるのか、全くできないのか、予断を許しません。停戦交渉が前進すれば、どういった形かにもよりますが、世界的なリスクオフの後退や、欧州におけるエネルギー価格の落ち着きにつながる可能性はあります(≒株高要因)。

トランプ関税の行方についても引き続き相場材料となりそう。2月4日には対中国10%追加関税が発動され、中国は10日から報復関税を適用しています。対カナダ・対メキシコの関税は3月4日まで猶予されています。また、相互関税は4月以降の適用になりそうです。ただ、その間に様々な交渉(取引?)が行われる可能性があり、また、対EUやその他の国への関税についても何らかの動きがあるかもしれません。

一方、議会の協力が必要なトランプ減税に関して、動きは鈍いようです。民主党の協力なしで減税を実現させる唯一の方法が予算調整法案に盛り込むこと。ただ、その前提となる予算決議(予算の大枠を決める設計図)が難航しているようです。主導権を握る共和党内でも、予算調整法案を、国境警備強化費用や国防費増加と、減税やデットシーリング(債務上限)引上げの2つに分けたい上院と、すべてを含む1本にしたい下院とで足並みが揃わないからです。現在の継続(つなぎ)予算は3月14日に失効します。それまでに予算に関連して何らかの動きは出るでしょうか。

日銀の金融政策に関する思惑も株価の材料になるかもしれません。17日には日本の昨年10-12月期GDP、21日には1月全国CPIが発表され、19日には日銀内のタカ派と目される高田審議委員の講演があります。日本の長期金利はジリジリと上昇を続けており、先週には約14年ぶりの高水準を付けました。利上げ観測が高まって長期金利が一段と上昇するようなら、為替円高をもたらすなどして日経平均の重石になるかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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