米雇用統計に注目! カナダドルはカナダ雇用統計にも反応か
2025/02/07 09:23
【ポイント】
・米雇用統計で市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・カナダ雇用統計でBOCの利下げ観測が強まるか
・中国による対米追加関税をめぐり新たな報道が出てくるか
(欧米市場レビュー)
6日、欧米時間の外為市場では、英ポンドが軟調に推移。英ポンド/円は一時188.045円へと下落して24年9月19日以来の安値を記録し、ユーロ/英ポンドは0.83729ポンドへと上昇する場面がありました。
BOE(英中銀)は0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を4.75%から4.50%へと引き下げました。0.25%利下げするとの決定は7対2で、決定に反対した2人のメンバーは0.50%の利下げを行うことを支持しました。0.25%の利下げは市場予想通りだったものの、会合でより大幅な利下げを支持したメンバーがいたことが英ポンド安材料となりました。
※BOE会合については、本日7日の『ファンダメ・ポイント』[英中銀の利下げは25年中にあと2回? それとも3回?]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
円は堅調。一時、米ドル/円は151.191円、ユーロ/円は157.034円、豪ドル/円は94.973円、NZドル/円は85.661円へと下落し、米ドル/円は24年12月11日以来、ユーロ/円は同12月4日以来の安値をつけました。日銀の田村審議委員のタカ派的な発言が円の支援材料となりました。
田村審議委員は長野県金融経済懇談会で挨拶し、「25年度後半には少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価の上振れリスクを抑え、物価安定の目標を持続的・安定的に達成する上で必要だ」、「物価の上振れリスクがある中、短期金利が中立水準を下回っていると物価をさらに押し上げてしまう」などと述べました。
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BOM(メキシコ中銀)は0.50%の利下げを行うことを決定。政策金利を10.00%から9.50%へと引き下げました。利下げは5会合連続で、24年3月以降で6回目。0.50%の利下げは4対1で決定され、ヒース副総裁が0.25%の利下げを主張して決定に反対しました。
BOMは声明で先行きの金融政策について、「インフレ環境は、(景気)抑制的な金融政策スタンスを維持しつつも、利下げサイクルの継続を可能にすると予想している」とし、「同程度の調整を検討する可能性がある」と表明。次回3月27日の会合でも0.50%の利下げが行われる可能性を示しました。
BOMの政策会合の結果に対してメキシコペソは反応薄でした。
(本日の相場見通し)
米国の25年1月雇用統計が本日発表されます(日本時間22:30)。この結果に市場が反応しそうです。
雇用統計の市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・非農業部門雇用者数(前月比):17.0万人増(25.6万人増)
・失業率:4.1%(4.1%)
・平均時給(前月比):0.3%(0.3%)
・平均時給(前年比):3.8%(3.9%)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うとの見方が優勢です(3月と5月のFOMCは政策金利の据え置きを予想)。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げの確率は3月18-19日のFOMCで約15%、5月6-7日のFOMCまでで約4割、6月17-18日のFOMCまでで6割強です。
今回の雇用統計では年次改定があり、23年以降の雇用の増加ペースが修正される可能性があります。これらの修正や今回25年1月分の結果を受けて、市場の金融政策見通しがどう変化するかが注目されます。FRBの利下げ観測が後退する場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円には上昇圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには下落圧力が加わる可能性があります。
※年次改定について詳しくは、5日の『ファンダメ・ポイント』[【徹底解説】米雇用統計の年次改定について]をご覧ください。
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米国と同じ時間にカナダの1月雇用統計が発表されます。
カナダの雇用統計の市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・失業率:6.8%(6.7%)
・雇用者数(前月比):2.50万人増(9.09万人増)
BOC(カナダ中銀)は前回1月29日の政策会合まで6回連続で利下げを実施しました。前回会合時の声明では、従来の「政策金利のさらなる引き下げの必要性を会合ごとに判断していく」が削除され、フォワードガイダンス(先行きの金融政策に関する示唆)は示されませんでした。このことについてマックレム総裁は会合後の会見で、米国による対カナダ関税発動の可能性など「不確実なことが多いため」と説明しました。
市場では、次回3月12日のBOC会合で0.25%の利下げが行わるとの見方が優勢です。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む次回会合の確率は、0.25%の利下げが7割弱、政策金利の据え置きが3割強です。
カナダの雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、BOCの利下げ観測が強まると考えられます。その場合、カナダドルが軟調に推移しそうです。
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中国は、10日に対米追加関税を発動する予定です。米国から輸入する石炭やLNG(液化天然ガス)の関税を15%引き上げ、原油・農業機械・一部自動車などの関税を10%引き上げる計画です。
関税をめぐり追加報道が出てくれば、市場が反応しそうです。追加報道が週末に出てきた場合、月曜日(10日)に窓開け(週明けの始値が前週末の終値と大きくかい離すること)する可能性もあるため要注意です。
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