メキシコペソとカナダドルが急伸、関税の発動延期とのニュースで
2025/02/04 09:03
【ポイント】
・トランプ大統領は対メキシコ関税の発動を1カ月遅らせると表明
・対カナダ関税の発動は30日間延期されることになったとカナダ首相が投稿
・米JOLTSで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
3日、欧米時間の外為市場では、米国による関税発動が延期されるとのニュースでメキシコペソとカナダドルが急反発。一時、カナダドル/円は107.427円、メキシコペソ/円は7.589円へと上昇し、米ドル/カナダドルは1.43856カナダドルへと下落しました。
トランプ大統領はSNSに「シェインバウム・メキシコ大統領と電話会談し、対メキシコ関税の発動を1カ月遅らせることで合意した」と投稿。また、トルドー・カナダ首相は「トランプ大統領と電話会談し、対カナダ関税は少なくとも30日間延期されることになった」とSNSに投稿しました。それぞれメキシコペソとカナダドルの上昇要因となりました。
トランプ大統領は1日に、「カナダとメキシコからの輸入品に25%(カナダについては原油などエネルギーの税率は10%)の関税を課す」大統領令に署名していました。
トランプ大統領は対メキシコ関税の発動を遅らせる理由として、フェンタニル(合成麻薬)や不法移民の米国への流入を防ぐためにメキシコが国境に1万人の兵を派遣するなど、国境警備を強化することでメキシコ政府と合意したためと説明しました。
(本日の相場見通し)
米国によって高率の関税が課されることへの懸念から、足もとでメキシコペソやカナダドルには下押し圧力が加わっていました。引き続きメキシコとカナダに対する関税についてのニュースに注意は必要なものの、上述の通り対メキシコ関税と対カナダ関税の発動がひとまず見送られたことで、メキシコペソやカナダドルは底堅く推移する可能性があります。
トランプ米大統領は1日に「中国からの輸入品に追加で10%の関税を4日から課す」との大統領令にも署名しました。追加の関税は米東部時間4日午前0時1分(日本時間同日午後2時1分)から徴収される予定です。中国に対する追加関税が実行されるのかどうか注目です。
仮に対メキシコと対カナダと同様に対中追加関税の発動も見送られれば、世界的な貿易戦争への懸念が後退するとともに、リスクオン(リスク選好)の動きが強まる可能性があります。リスクオンが強まる場合、円が軟調に推移してクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)が堅調に推移しそうです。
トランプ大統領は2日、EU(欧州連合)からの輸入品への関税について「近いうちに課す」と述べました。対EU関税について新たなニュースが出てくれば、ユーロが反応する可能性があります。
※ユーロ/米ドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[トランプ関税、次の矛先はEU?ユーロ/米ドルは方向感模索の相場付き]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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米国の24年12月JOLTS(労働動態調査)が発表されます(日本時間24:00)。JOLTSの求人件数の市場予想は800.0万件と、前月の809.8万件から減少するとみられています。
市場では、FRB(米連邦準備理事会)は3月と5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置いて、6月のFOMCで利下げを行うとの見方が優勢です。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げの確率は、3月18-19日のFOMCで約13%、5月6-7日のFOMCまでで3割強、6月17-18日のFOMCまでで約6割です。
JOLTS求人件数が市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が後退しそうです。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円は上昇し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下落する可能性があります。
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