カナダドルとメキシコペソが急落
2025/02/03 09:11
【ポイント】
・米大統領がカナダとメキシコ・中国に対して関税を課す大統領令に署名
・世界的な貿易戦争への懸念からリスクオフが強まる可能性も
(欧米市場レビュー)
1月31日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は155.174円、米ドル/カナダドルは1.45565カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.03492ドル、英ポンド/米ドルは1.23800ドル、豪ドル/米ドルは0.61948米ドルへと下落しました。米ホワイトハウスのレビット報道官が記者会見で「カナダとメキシコに25%の関税を、中国には10%の追加関税を2月1日に課す」と述べたことが、米ドルの支援材料となりました。市場では、「関税が発動されれば、輸入物価の上昇を通じて米国内でインフレ圧力が強まる」との見方があります。
(本日の相場見通し)
米国のトランプ大統領は米東部時間2月1日(日本時間2日)、「カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課し(カナダについては原油などエネルギーの税率は10%とする)、中国からの輸入品に追加で10%の関税を課す」との大統領令に署名しました。関税の徴収は4日午前0時1分(日本時間同日午後2時1分)に始まります。
これに対してカナダのトルドー首相は「米国からの輸入品に合計1550億カナダドル相当(米国からの輸入総額の3分の1)に25%の関税を課す」と表明しました。4日に300億カナダドル相当を対象に発動し、3週間後に対象を1550億カナダドル相当に拡大(1250億カナダドル相当を追加)します。
メキシコのシェインバウム大統領も「対抗措置をとる」と表明。3日にシェインバウム大統領が記者会見をして対応を説明するとの報道があります。
中国商務省はWTO(世界貿易機関)に提訴する方針を示すとともに「相応の対抗装置をとる」考えを示しました。
メキシコは輸出全体の8割強、カナダは同4分の3が米国向けです。米国が高率の関税を課すことにより、メキシコ経済とカナダ経済は大きな打撃を受ける可能性があります。本日3日午前(日本時間)の外為市場ではカナダドルとメキシコペソが急落。対米ドルでカナダドルは03年4月以来およそ22年ぶり、メキシコペソは22年3月以来およそ3年ぶりの安値をつけました。カナダドルやメキシコペソは引き続き軟調に推移(米ドル/カナダドルは堅調に推移)するかもしれません。
※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、トランプ関税発動で22年ぶりとなる歴史的高値を示現!]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
世界的な貿易戦争に発展するとの懸念からリスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まることも考えられます。リスクオフが強まるには円が堅調に推移して、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円は下値を試す展開になりそうです。
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