カナダドルが軟調、関税への懸念や政治の先行き不透明感が重石
2025/01/06 08:52
【ポイント】
・米PMIやFRB理事の講演で市場のFRB金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
3日、欧米時間の外為市場では、カナダドルが軟調に推移。米ドル/カナダドルは一時1.44589カナダドルへと上昇し、24年12月19日以来およそ2週間ぶりの高値を記録。カナダドル/円は108.578円へと下落する場面がありました。米国のトランプ次期大統領による対カナダ関税への懸念やカナダ政治の先行き不透明感が、カナダドル安圧力となりました。
トランプ次期大統領は、1月20日に大統領就任後ただちにカナダ(とメキシコ)からの輸入品すべてに25%の関税を課す考えを表明しています。カナダでは24年12月16日にフリーランド副首相兼財務相(当時)が辞任して以降、トルドー首相への退陣圧力が強まっています。
米ドルも弱含み。一時、米ドル/円は156.884円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.03042ドル、英ポンド/米ドルは1.24287ドル、豪ドル/米ドルは0.62197米ドルへと上昇しました。週末ということもあってポジション調整が中心と考えられます。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の24年12月S&Pグローバルサービス業PMI(購買担当者景気指数)改定値が発表されます(日本時間23:45)。
サービス業PMI改定値の市場予想は58.5と、速報値と同じになるとみられています。市場予想からかい離する結果になれば、市場が反応しそう。市場予想を上回る結果だった場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す展開になる可能性があります。
FRB(米連邦準備制度理事会)のクック理事が「経済見通しと金融安定」について講演する予定です(日本時間23:15)。
FRBは24年9月・11月・12月の3会合連続で利下げを実施しました。市場ではFRBの利下げペースは今後鈍化すると予想されており、CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げの確率は、次回1月28-29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で1割程度、次々回の3月18-19日のFOMCまでで5割程度、さらにその次の5月6-7日のFOMCまでで6割程度です(日本時間6日08:07時点)。
前回のFOMC以降、クック理事の発言は伝わっていません。クック理事の講演により、FRBの利下げペースは今後鈍化するとの市場の観測が一段と強まれば、米ドル高材料になりそうです。
加藤財務相や三村財務官が為替の動向に関して発言すれば、市場が反応するかもしれません。加藤財務相は24年12月27日に足もとの“円安”について「一方的で急激な動きがみられる」、「為替市場の動きを憂慮しており、行き過ぎた動きには適切に対応する」と発言。三村財務官は12月20日に「為替の動向を憂慮しており、行き過ぎた動きには適切に対応する」と述べました。加藤財務相や三村財務官が改めて“円安”をけん制すれば、米ドル/円は上値が重くなる可能性があります。
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英国の12月S&Pグローバル総合PMI改定値とサービス部門PMI改定値が本日発表されます(日本時間18:30)。
2日に発表された製造業PMI改定値は47.0と市場予想の47.3を下回り、その結果を受けて2日は英ポンドが軟調に推移しました。
総合とサービス部門PMIの市場予想はそれぞれ51.4と50.5です。製造業に続いてサービス部門なども市場予想を下回る結果になれば、英景気の先行きをめぐる懸念が強まるとともに、英ポンドが軟調に推移して、英ポンド/米ドルには下落圧力が、ユーロ/英ポンドには上昇圧力が加わる可能性があります。ユーロ/英ポンドは、24年11月19日高値の0.83705ポンドが目先の上値メドです。
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