米ISM製造業景況指数が材料になりそう
2025/01/03 09:20
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
【ポイント】
・ISM製造業景況指数でFRBの追加利下げ観測が一段と後退するか
・レーン専務理事はECBの利下げペースについてのヒントを提供するか
(欧米市場レビュー)
2日、欧米時間の外為市場では、英ポンドが軟調に推移。一時、英ポンド/米ドルは1.23494ドルへと下落し、英ポンド/円は194.170円へと下落し、ユーロ/英ポンドは0.83203ポンドへと上昇。英ポンド/米ドルは24年4月下旬以来の安値をつけました。英国の24年12月S&Pグローバル製造業PMI(購買担当者景気指数)改定値が47.0と、市場予想の47.3を下回ったことが、英ポンドの重石となりました。
米ドルは堅調。ユーロ/米ドルは一時1.02196ドルへと下落し、22年11月以来の安値を記録。米ドル/カナダドルは1.44357ドルへと上昇する場面がありました。米国の前週分の新規失業保険申請件数や12月S&Pグローバル製造業PMI改定値がいずれも市場予想よりも強い結果だったほか、米国の主要な株価指数が軟調に推移する中でリスクオフ(リスク回避)の動きが強まったことが、米ドルの支援材料となりました。新規失業保険申請件数の結果は21.1万件、製造業PMI改定値の結果は49.4。市場予想はそれぞれ22.1万件と48.3でした。
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは一時0.98001スウェーデンクローナへと上昇し、24年12月16日以来の高値をつけました。原油価格の上昇がノルウェークローネの支援材料になったと考えられます。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物の2月物は前営業日比1.41ドル高(1.97%)の1バレル=73.13ドルで取引を終了。中心限月の清算値(終値に相当)としては24年10月14日以来およそ2カ月半ぶりの高値をつけました。中国の国営メディアが12月31日に「習近平国家主席は、中国の24年の経済成長率が政府目標の5%前後になるとの見通しを示した」と報じたことで中国景気をめぐる懸念が後退し、原油価格の上昇要因となりました。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の12月ISM製造業景況指数が発表されます(日本時間24:00)。この結果が材料になる可能性があります。
ISM製造業景況指数の市場予想は48.4と、前月と同じとなり、業況判断の分れ目である50を引き続き下回るとみられています。
FRB(米連邦準備制度理事会)は前回12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)まで3会合連続で利下げを実施しました。市場ではFRBの利下げペースは今後鈍化するとの観測があり、CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げの確率は、次回1月28-29日のFOMCで12%程度、次々回の3月18-19日のFOMCまでで50%程度です(日本時間3日08:06時点)。
ISM製造業景況指数が市場予想を上回る結果になれば、FRBの追加利下げ観測が後退する可能性があります。追加利下げ観測が後退する場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になりそう。英ポンド/米ドルは24年4月安値の1.22991ドルが下値メドです。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、もう一段の上値トライとなるポイントは?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
FOMC参加者の中でタカ派とされるバーキン・リッチモンド連銀総裁の発言機会があります。バーキン総裁が市場のFRBの金融政策見通しを変えるような発言をすれば、材料になりそうです。
本日はまた、ECB(欧州中銀)のレーン専務理事の発言機会もあります。市場ではECBは今後も利下げを継続すると予想されています。レーン専務理事がECBの今後の利下げペースについてのヒントを提供すれば、ユーロが反応する可能性があります。
本日は日本が休日のため外為市場では参加者が減少して流動性が低下します。突発的なニュースや仕掛け的な動きが出てきた場合には、値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。
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