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2025年、波乱の幕開け!?

2025/01/03 07:13

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

【ポイント】
・25年の幕開けはリスクオフ!?
・米ドルや円が強く、ユーロや英ポンドが軟調
・「トランプ2.0」の世界はどうなる?

米国では1月1日に、ニューオリンズでの車暴走、ラスベガスでのトラック爆発炎上、ニューヨークでの銃乱射など事件が相次ぎました。

2日のマーケットでは、欧州株が総じて堅調だった一方で、上昇して始まったNYダウやS&P500は現地時間の午後(≒欧州取引終了後)に下落に転じました。24年の自動車販売台数が10年余りで初の減少となったテスラの株が軟調で、昨年12月中旬の高値から20%超の下落となりました。

米長期金利(10年物国債利回り)は24年5月以来となる4.60%近辺で揉み合い。

米ドル指数(実効レート)は一段と上昇し、22年11月以来の高値を更新。米ドルは、対円こそ157円台半ばでの揉み合いでしたが、対ユーロで22年11月以来の高値をつけ、対英ポンドでも1.2400ドルを割り込んで、24年4月以来の高値をつけました。欧州は景気低迷下で米国以上に利下げ期待が大きく(とりわけECB)、それぞれに政治が不安定です。また、トランプ政権が関税を引き上げれば大きな打撃になるでしょうし、安全保障面でも不安を抱えています。

2日の為替市場は、米ドル高円高であり、リスクオフの地合いだったと言えそうです。

■米ドル/円のテクニカル分析は、本日の「米ドル/円、もう一段の上値トライとなるポイントは?」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

米ドル指数

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25年が始まり、1月20日にスタートする「トランプ2.0」がどんな世界となるのかが市場の大きな関心事になっています。以下にBloombergがまとめた市場のコンセンサス(※)を概観しておきます。トランプ次期大統領の大胆な、時として唐突な政策変更によって、市場のコンセンサスがどう変化するかが重要な相場材料となりそうです。

(※)1月2日付け記事「ウォール街が2025年に予想する全て(筆者訳)」より一部抜粋

ベースシナリオ:アメリカ第一主義
低金利と成長戦略により米国が世界経済の緩やかな拡大をけん引。トランプ政権が予測不能であるなどリスクは多いものの、ものすごく良いわけではないが(主に株式の)相応のリターンが期待できる、慎重な楽観。

成長:米国vs世界
米政府がトリプルレッドとなり、企業寄り政策や規制緩和が米経済を押し上げ。一方で、欧州は自信を喪失しており、中国では景気鈍化に歯止めがかかっていない。

インフレ:抑制されるが鎮圧はできず
トランプ政権の政策はインフレ圧力を高め、FRBのインフレ目標達成を困難にする。ただ、米国やその他の国でもインフレは(上昇した過去数年と異なり)レンジ内での動きとなる。

金融政策:米FRBの利下げは小幅
FRBの利下げ回数は予想を下回り、ターミナルレート(最終的な政策金利)は予想以上となる。BOE(英中銀)もインフレ圧力の大きさにより利下げが小幅になる。ECBはハト派寄りとなり複数回の利下げを実施。日銀が主要中銀で唯一利上げ(複数回?)を行う。

財政政策:減税と歳出削減
歳出の増大は世界的な懸念事項ながら、抑制できる国は見当たらない。トランプ政権の減税に関する懸念は経済成長に対する期待で相殺される。

関税:戦術的利用
関税は間違いなく引き上げられるだろう。しかし、トランプ次期大統領の強硬姿勢は交渉戦術であり、実際には対象が限定され、恐れるほど高率ではないかもしれない。関税引き上げの影響は中国に大きく出る。

株価:裾野の広がり
大型ハイテク株の上昇が広がりをみせる。米国の中小型株がアウトパフォームするが、近年のような大幅上昇は期待薄。割安に放置されたグローバル企業に投資妙味がありそう。

債券:利回りは魅力的
金利の変動は大きくなりそうだし、国債利回りは上昇(債券価格は下落)するかも。それでも、利回りは魅力的であり、キャッシュよりは良いはず。

商品市況:引き続き金が良さそう
金については見方が分かれる。ただ、トランプ政権の不透明性に対するヘッジになるし、需要は相応にありそう。原油に強気の見方は聞こえてこない。

通貨:米ドルが支配的
米ドルは高くみえるが、「トランプ2.0」ではさらに上昇する可能性がある。対ユーロでパリティ(1ユーロ=1米ドル)を予想する向きも。

リスク:貿易戦争
AIバブルの破裂、(財政赤字を懸念した)金利急騰などのリスクもあるが、最大のリスクはトランプ次期大統領による関税の大幅引き上げと報復措置がもたらす貿易戦争だろう。世界経済が落ち込むことになりかねない。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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