米シャットダウン回避の顛末とデットシーリング問題
2024/12/25 08:08
【ポイント】
・12月20日につなぎ予算が成立してシャットダウンは回避
・トランプ次期大統領が求めたデットシーリング引き上げは否決
・デットシーリングは25年早々に復活し、議会の重要課題に
・トランプ氏の共和党支配にヒビ?
今年10月に始まった25年度の継続予算(=つなぎ予算)が期限切れとなる12月20日に、ギリギリで新たな継続予算が可決され(※)、政府機関の一部閉鎖、いわゆるシャットダウンは回避されました。
※実際には、継続予算が期限切れとなった21日午前0時の約2時間後に議会が継続予算を可決。バイデン大統領が署名して成立したのがさらに9時間後でした。
これまでも、シャットダウンは土壇場で回避されたか、あるいは発生しても比較的短期間で終わったため、経済や金融市場に影響が出ることは稀(まれ)でした。ただ、今回の回避劇にはやや捻(ひね)りが入りました。
議会の共和党と民主党は18日までに新たな継続予算(第1案)で合意しました。それに対して、トランプ次期大統領や、DOGE(政府効率化省)トップに指名されたマスク氏が反対を表明。トランプ次期大統領は25年1月1日(あるいは2日)に復活するデットシーリング(債務上限=連邦政府債務の法定上限)の引き上げ、あるいは無効化を含むように要求。
トランプ次期大統領の要求を含む第2案は下院において174対235で否決されました。注目されたのは38人の共和党議員が反対したこと。トランプ次期大統領は第2案に反対する共和党議員には26年の中間選挙で刺客を送ると脅しをかけていました。しかし、政府債務の増大を極度に嫌う財政保守派はそれでも反対したようです。
そして、土壇場で第3案が下院において366対34で可決。その後は、上述の通り上院を無難に通過し、バイデン大統領が署名して成立しました。第3案は25年3月14日までの「つなぎ」で、デットシーリングの引き上げや無効化は含みません。第3案に対しても34人の共和党議員が反対票を投じました(=反対票全員)。
今回のドタバタ劇は今後について2つのことを示唆しています。
第1に、25年早々に問題化するデットシーリングに関して、26年度予算・税制改革等にも絡んで議会でバトルが繰り広げられる可能性が高い。
第2に、トランプ次期大統領が圧倒的に共和党を支配しているようにみえたが、大統領3選がないこともあって、そのグリップ力に限界がみえている。その点で予算以外の施策にも影響が出そう。
25年1月の主な米政治スケジュールは以下の通りです。
1月1日(2日?)デットシーリング(債務上限)復活⇒財務省が「奥の手」発動
3日 米議会召集
6日 大統領選の結果確定(議会襲撃4年め)
20日 トランプ大統領就任(大統領令の発令?)
■「『大予想』 2025年の為替・株」が公開されています。ぜひご覧ください。
・12月20日につなぎ予算が成立してシャットダウンは回避
・トランプ次期大統領が求めたデットシーリング引き上げは否決
・デットシーリングは25年早々に復活し、議会の重要課題に
・トランプ氏の共和党支配にヒビ?
今年10月に始まった25年度の継続予算(=つなぎ予算)が期限切れとなる12月20日に、ギリギリで新たな継続予算が可決され(※)、政府機関の一部閉鎖、いわゆるシャットダウンは回避されました。
※実際には、継続予算が期限切れとなった21日午前0時の約2時間後に議会が継続予算を可決。バイデン大統領が署名して成立したのがさらに9時間後でした。
これまでも、シャットダウンは土壇場で回避されたか、あるいは発生しても比較的短期間で終わったため、経済や金融市場に影響が出ることは稀(まれ)でした。ただ、今回の回避劇にはやや捻(ひね)りが入りました。
議会の共和党と民主党は18日までに新たな継続予算(第1案)で合意しました。それに対して、トランプ次期大統領や、DOGE(政府効率化省)トップに指名されたマスク氏が反対を表明。トランプ次期大統領は25年1月1日(あるいは2日)に復活するデットシーリング(債務上限=連邦政府債務の法定上限)の引き上げ、あるいは無効化を含むように要求。
トランプ次期大統領の要求を含む第2案は下院において174対235で否決されました。注目されたのは38人の共和党議員が反対したこと。トランプ次期大統領は第2案に反対する共和党議員には26年の中間選挙で刺客を送ると脅しをかけていました。しかし、政府債務の増大を極度に嫌う財政保守派はそれでも反対したようです。
そして、土壇場で第3案が下院において366対34で可決。その後は、上述の通り上院を無難に通過し、バイデン大統領が署名して成立しました。第3案は25年3月14日までの「つなぎ」で、デットシーリングの引き上げや無効化は含みません。第3案に対しても34人の共和党議員が反対票を投じました(=反対票全員)。
今回のドタバタ劇は今後について2つのことを示唆しています。
第1に、25年早々に問題化するデットシーリングに関して、26年度予算・税制改革等にも絡んで議会でバトルが繰り広げられる可能性が高い。
第2に、トランプ次期大統領が圧倒的に共和党を支配しているようにみえたが、大統領3選がないこともあって、そのグリップ力に限界がみえている。その点で予算以外の施策にも影響が出そう。
25年1月の主な米政治スケジュールは以下の通りです。
1月1日(2日?)デットシーリング(債務上限)復活⇒財務省が「奥の手」発動
3日 米議会召集
6日 大統領選の結果確定(議会襲撃4年め)
20日 トランプ大統領就任(大統領令の発令?)
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