米長期金利の動向に注目、RBA議事録に豪ドルが反応も!?
2024/12/24 08:54
【ポイント】
・米長期金利が一段と上昇するか
・加藤財務相や三村財務官は円安をけん制するか
・RBA(豪中銀)議事録で金融政策の先行きについて新たな手掛かりが提供されるか
(欧米市場レビュー)
23日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は157.221円、米ドル/カナダドルは1.44287カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.03837ドル、英ポンド/米ドルは1.25106ドル、豪ドル/米ドルは0.62176米ドルへと下落しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料となりました。
米国の12月消費者信頼感指数や11月耐久財受注、11月新築住宅販売件数はいずれも市場予想と比べて弱い結果だったものの、市場は反応薄でした。
米経済指標の結果は以下の通り。( )は市場予想です。
・消費者信頼感指数:104.7(113.0)
・耐久財受注:前月比マイナス1.1%(マイナス0.3%)
・新築住宅販売件数:年率換算66.4万件(66.5万件)
(本日の相場見通し)
米国の長期金利(10年物国債利回り)は23日に一時4.59%へと上昇し、5月以来およそ7カ月ぶりの高い水準をつけました。
足もとの米長期金利上昇の主な要因として、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げペースが今後鈍化するとの観測があります。米長期金利の上昇は米ドル高要因のため、米長期金利が一段と上昇する場合、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になりそうです。なお、米債券市場は本日短縮取引です(米株式市場も短縮取引)。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、7月17日以来の高値を示現!当面のコアレンジは?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
加藤財務相や三村財務官の円安けん制には注意が必要かもしれません。加藤財務相は20日、足もとの“円安”について「一方的で急激な動きがみられる」、「投機的な動向も含め、為替の動向を憂慮している」、「行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取っていく」と発言。三村財務官も同じく20日に「投機的な動きも含め、為替の動向を憂慮している」、「行き過ぎた動きに対しては適切な対応をとりたい」と述べました。加藤財務相や三村財務官の円安をけん制するトーンが強まれば、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)がいったん下落する可能性があります。
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RBA(豪中銀)議事録が日本時間午前9時30分に公表されます。今回の議事録は、政策金利を4.35%に据え置くことを決定した12月9-10日の政策会合のものです。
議事録では、金融政策の先行きについて9-10日の会合時の声明やブロック総裁会見以上の手掛かりが提供されるかどうかに注目です。
声明やブロック総裁の会見は、主に以下のようなものでした。
<声明>
・「基調的なインフレ率(CPIトリム平均値)は依然として高過ぎる」
・「インフレに対する上振れリスクは一部緩和したようだ」
・「経済活動に関する最近のデータはマチマチだが、全体としては11月に示した予測よりも弱い」
・「(RBAの)理事会はインフレ率が目標レンジに向かって持続的に推移しているという、ある程度の確信を得つつある」←従来の「何も決定しておらず、何も排除していない(利上げする可能性もある)」「政策は十分に(景気)抑制的である必要」を削除
<ブロック総裁>
・「会合では利下げと利上げのいずれも議論しなかった」
・「(金融)政策については慎重に考える必要がある」
・「基調的なインフレについてさらなる進展が必要だ」
・「いくらかのインフレ圧力は依然として残っている」
・「2月に利下げするかどうかは分からない」
市場では、RBAは早ければ次回25年2月17-18日の会合で利下げを行うとの観測があります。議事録がこの観測を後退させるような内容になれば、豪ドルが堅調に推移しそうです。
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今週はクリスマスで外為市場では参加者が減少して流動性が低下します。突発的なニュースや仕掛け的な動きが出てきた場合には、値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。
■「『大予想』 2025年の為替・株」が公開されています。ぜひご覧ください。
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