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米景気は堅調を維持、利下げは先送りも??

2024/12/24 07:39

【ポイント】
・米インフレはやや落ち着きも・・・
・足もと景気は個人消費にけん引されて堅調を持続
・25年1月は利下げ見送りへ、3月は微妙!?

先週20日に発表された11月PCE(個人消費支出)デフレーターは市場予想よりやや弱めでした。一方で、PCEは引き続き堅調で景気をけん引しているようです。25年1月のFOMCでは据え置きが予想されており、3月の利下げも微妙です。

23日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む25年1月のFOMCでの0.25%利下げの確率は1割未満、3月までで5割弱(=メインシナリオは据え置き)、5月までで7割弱(同利下げ)。

PCEを受けていったん低下した米長期金利(10年物国債利回り)は23日に反発し、今年5月以来の高水準となって4.60%に接近しました。長期金利の上昇は米ドル高要因です。クリスマス~年末年始にかけて、市場参加者が減少するなかで、米ドル/円が思わぬ上昇をみせ、本邦当局が為替介入へ・・・というシナリオも頭の片隅に置いておく方が良いかもしれません。

米長期金利

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米国の11月PCE(個人消費支出)デフレーターは、総合が前年比2.4%と、前月(2.3%)から小幅加速したものの、市場予想(2.5%)を下回りました。食料とエネルギーを除くコアは同2.8%と前月と同じで、市場予想(2.9%)を下回りました。市場はコアの前月比が0.1%と、9、10月と2カ月連続の0.3%から減速したことを好感したようです。

米PCE

もっとも、コアの前年比は厳密には2.82%と、前月の2.79%からわずかながら加速しました。楽観はできないことをFRBも十分に承知しているでしょう。労働コストを反映しやすいとしてFRBが注視しているとされるPCEコアサービス(住居費を除く)は、11月に前年比3.5%と、今年4月以来の高い伸びとなった前月と同じでした。

PCEコアサービス 住居費除く

11月の個人所得は前月比0.3%、個人消費(※)は同0.4%。実質個人消費は前月比0.3%と前月(0.1%)から伸びが高まりました。12月の実質個人消費が11月から横ばい(=伸び率ゼロ)としても、10-12月期の実質個人消費は前期比年率2.8%となります。これにより同期のGDPはおよそ2%分押し上げられる計算です(この2%を寄与度と呼びます)。
※個人消費支出=PCEのこと。PCEを名目⇒実質に変換するのがPCEデフレーター

PCE

なお、アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)は20日時点で、10-12月期の実質GDPを前期比年率3.1%と予測しています。同期の個人消費は同3.2%、GDP寄与度は2.2%との予測です。注目すべきは、GDPNowの予測が12月初めから常に3%を超えていること。都度発表される経済指標が総じて堅調だったためとみられ、景気がバランスよく拡大している証左かもしれません。

GDPNow


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西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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