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欧州政治情勢:ドイツ総選挙とフランス格下げ

2024/12/17 08:19

【ポイント】
・ドイツではショルツ首相不信任で25年2月に総選挙へ
・中道右派のCDU・CSUが第一党に?
・フランスではバイル新首相が政治を安定させるか
・予算の成立が喫緊の課題

欧州政治が揺れています。ドイツは25年2月に総選挙実施の見込み。フランスもバルニエ政権が崩壊し、財政見通しの悪化から国債の格下げがありました。欧州政治の不安定化はユーロ相場の変動要因となりうるため、要注目でしょう。

ドイツはショルツ首相不信任で総選挙へ
16日、ドイツ連邦議会でショルツ首相に対する信任案が否決されました。そして、事前の取り決め通り、大統領が議会を解散し、25年2月23日に総選挙が実施される見通しです。

SPD(社会民主党)のショルツ首相は、21年の総選挙後にグリーン(緑の党)、FDP(自由民主党)と連立政権を樹立しました。しかし、今年11月に財政保守派のFDPリントナー財務相が政府借入上限の停止を拒否したため、ショルツ首相が財務相を解任して連立政権が崩壊しました。

12月6日に発表された世論調査によると、中道右派のCDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)の支持率が32%、極右のAfD(ドイツの選択肢)が18%、SPDが16%、グリーンが13%などとなっています。単独で過半数の議席を獲得する政党はなさそうです。

CDU・CSUが第1党となれば、CDUのメルツ氏を中心に連立政権の樹立が模索されそうです。CDUは05-21年に首相を務めたメルケル氏の政党です(18-21年はCDUとSPDによる大連立)。CDU・CSUは親EU(欧州連合)、財政保守派であり、ウクライナ支援に積極的。フランスとの関係改善を志向しているようです。

ただ、仮にCDU・CSUが第1党となっても、どの政党との連立を模索し、どのような政策を目指すのか、政治は安定するのか、など不透明です。

フランスは国債格下げ
フランスでも、予算案に絡んで不信任決議が成立してバルニエ首相が退陣。マクロン大統領は長年の朋友で中道派のバイル氏を新首相に指名しました。バイル氏は懸案の予算案を作成して少なくとも野党の一部から支持を取り付ける必要があります。最大野党RN(国民連合)がどこまで協力する姿勢をみせるのかが最大の焦点となりそうです。

大手格付け機関のムーディーズは14日、フランス国債の格付けをAa2(最高Aaaの2つ下)からAa3へ1段階引き下げました。同社は、「今後数年にわたりフランスの財政が大幅に悪化するとの見通しを反映した」と説明し、「次期内閣が財政赤字を縮小させる可能性は現在のところ非常に低い」と指摘しました。

バイル新首相が安定した内閣を樹立することができるのか、今のところ不透明です。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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