日銀の利上げ見送り観測で円が軟調
2024/12/16 09:07
【ポイント】
・日銀は18-19日の会合での利上げ見送りを検討しているとの報道
・米経済指標で1月の米利下げ見送り観測が強まるか
・ユーロ圏やドイツのPMIでECBの利下げ観測が強まるか
(欧米市場レビュー)
13日、欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移。一時、米ドル/円は153.751円、ユーロ/円は161.494円、豪ドル/円は97.895円、NZドル/円は88.610円へと上昇し、米ドル/円とユーロ/円は11月26日以来の高値をつけました。一部の通信社が「日銀は18-19日の金融政策決定会合で利上げを見送ることを検討している」と報じたことが、円安圧力となりました。
英ポンドも軟調。一時、英ポンド/米ドルは1.26071ドルへと下落し、ユーロ/英ポンドは0.83157ポンドへと上昇しました。英国の10月GDP(国内総生産)が前月比マイナス0.1%と、市場予想のプラス0.1%を下回ったことが、英ポンドの重石となりました。
(本日の相場見通し)
先週は11日に「日銀は追加利上げを急いでいない」との観測報道があり、13日には「日銀は18-19日の金融政策決定会合で利上げを見送ることを検討している」と報じられました。
日銀の金融政策に関するニュースが新たに出てくれば、市場が反応するかもしれません。市場では18-19日の会合での利上げ見送りが高い確率で織り込まれているものの、それでも新たなニュースによってこの観測が補強される場合、円安圧力が強まる可能性があります。
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本日は、米国の12月NY連銀製造業景況指数や12月PMI(購買担当者景気指数)速報値が発表されます。
市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・NY連銀製造業景気指数:12.0(31.2)
・製造業PMI: 49.8(49.7)
・サービス部門PMI: 55.7(56.1)
市場では、次回17-18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げが行われると予想されています。ただ、次々回25年1月28-29日のFOMCについては追加利下げが見送られるとの観測があります。CMEのFedWatchツールによると、13日時点で市場が織り込む次回FOMCで利下げが行われる確率は96%、25年1月のFOMCで追加利下げが行われる確率は2割程度です。
NY連銀製造業景気指数やPMIが市場予想を上回る結果になれば、25年1月のFOMCでは追加利下げが見送られるとの観測が強まる可能性があります。その場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が、英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルには下落圧力が加わりそうです。英ポンド/米ドルの下値メドとして、11月22日安値の1.24869ドルが挙げられます。
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ユーロ圏やドイツの12月PMI速報値が本日発表されます。これらの結果にユーロが反応する可能性があります。
PMIの市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
<ユーロ圏>
・総合:48.2(48.3)
・製造業:45.3(45.2)
・サービス部門:49.5(49.5)
<ドイツ>
・総合:47.5(47.2)
・製造業:43.1(43.0)
・サービス部門:49.3(49.3)
ECB(欧州中銀)は12日の理事会で0.25%利下げすることを決定しました。市場では、次回25年1月30日の理事会で追加利下げが行われるとの見方が有力です。ユーロ圏やドイツのPMIが市場予想を下回る結果になれば、追加利下げ観測が補強されるとともに、ユーロが軟調に推移する可能性があります。ユーロ/米ドルは、11月22日安値の1.03330ドルが下値メドです。
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BOC(カナダ中銀)のマックレム総裁がバンクーバーで講演します。
BOCは11日の会合で0.50%利下げすることを決定しました。BOCはその時の声明で「政策金利のさらなる引き下げの必要性を会合ごとに判断していく」と表明し、マックレム総裁は会合後の会見で「経済がおおむね予測通りに推移すれば、金融政策へのアプローチはより緩やかになると予想している」と述べました。
本日のマックレム総裁の講演では、金融政策の先行きについて新たなヒントが提供されるかどうかに注目。ヒントが提供されればカナダドルが反応しそうです。
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