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ジェローム・パウエル議長がビットコインをデジタル版のゴールドと発言

2024/12/10 14:41

日銀の半年に1回の0.25%の利上げは1月か?

12月の利上げ観測が強まっていた中で、11月30日に日本経済新聞が夜中の2時に発表した植田日銀総裁のインタビューは、「利上げ時期近づいている、25年春闘の賃上げモメンタムをみたい。一段の円安はリスクが大きい、場合によっては対応が必要になる」と、何が言いたいのかわからない内容だった。円安による物価の暴騰だけは困るという気持ちは伝わってきた。だが、円安による資産バブルや物価の上昇で大幅利上げに追い込まれない限りは、2年くらいかけて半年に1回の0.25%の利上げを行うというのらくら路線である。

日本は過去数十年間、経済と社会の安定を維持するために驚くほど多額の赤字国債を発行してきたため、政府の財政は非常に脆弱であり、わずかな金利上昇でさえ破滅的な事態を招きかねない。日銀の金融政策は、海外では「狂気の最高の展示物」と揶揄されている。日本の対GDP債務比率はおよそ250%である。日本は金利を上げることはできない。なぜなら、金利を上げると政府の予算が破綻し、低金利債務でいっぱいの年金基金のほとんどが破綻する可能性があるからだ。

そうしたなか、日銀は9日、氷見野良三副総裁が来年の1月14日に横浜市で金融経済懇談会に出席し、同日午後に記者会見に臨むと発表した。1月の金融政策決定会合(23日~24日)の直前のタイミングでの実施となることから、利上げは1月になりそうだ。

●ドル/円(4時間足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
ドル/円(4時間足)
出所:筆者作成


ビットコインが初の10万ドルを突破、ビットコインは金よりもはるかに大きな投資アイデア!?

トランプ次期米大統領は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、米SEC(証券取引委員会)の委員長にポール・アトキンスを指名することを明らかにした。トランプ氏は指名にあたり「投資家のニーズに応えるとともに、資本の提供を通じて米経済を世界最高のものにする強固で革新的な資本市場の将来を信じている。また米国をかつてないほど偉大な国にするためにデジタル資産やその他のイノベーションが不可欠であることも認識している」と投稿した。

●トランプ次期米国大統領の投稿
トランプ次期米国大統領の投稿
出所:トゥルース・ソーシャル

ブルームバーグの12月5日の記事「トランプ氏、SEC委員長にアトキンス氏指名-規制緩和に前向き」によると、アトキンスはブッシュ・ジュニア政権において、SECの共和党委員を務めるなど、金融規制・監督で豊富な経験を持つ。委員長への就任が承認されれば、アトキンスは規制緩和と違反に対する罰則軽減に重点的に取り組むとみられている。

トランプ次期政権がデジタル資産業界を支援するという期待があるなか、なんとパウエルFRB議長が「ビットコインはデジタル資産であること以外はゴールドと同じである」と発言し市場を驚かせた。

ビットコインは先週、初めて10万ドル(約1500万円)を突破した。同じく12月5日のブルームバーグの記事「ビットコイン、初の10万ドル突破-トランプ氏のSEC委員長好感」によると、トランプが先月5日の大統領選で勝利して以来、ビットコインの市場規模は約1兆4000億ドル上昇しており、支持者らは10万ドルの節目について、ビットコインが現代の価値貯蔵手段であり、インフレリスクに対するヘッジ手段だという主張を裏付けるものだとみていると指摘した。

●ビットコイン/ドル(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
ビットコイン/ドル(日足)
出所:トレーディングビュー

●ビットコイン/ドル(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
ビットコイン/ドル(週足)
出所:トレーディングビュー

10万ドルという歴史的な記録を達成する一方、仮想通貨市場の動きはまだ「初期段階」にあり、その未来は明るいとする見方をしめした市場関係者がいる。ARKインベストの創設者でありCEOのキャシー・ウッドだ。ウッドは、Xに「ビットコインと暗号資産にとって素晴らしい日だ! 次期 SEC 委員長のポール・アトキンスは、デジタル資産をゲイリー・ゲンスラーの締め付けから解放し、デジタル世界における私有財産権を保護する」と投稿した。

●キャシー・ウッドのXへの投稿
キャシー・ウッドのXへの投稿
出所:X

また、ウッドはFRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長がビットコインをデジタル版のゴールドと表現したことにも触れつつ、ビットコイン市場と現物のゴールド市場の規模を比較し、ゴールドが1オンス2700ドルで15兆ドルの市場であるのに対し、ビットコインは10万ドルに乗せても約2兆ドルの市場価値であるとし、ゴールド市場と比較して大きな潜在力を持つと指摘した。

●キャシー・ウッドのXへの投稿
キャシー・ウッドのXへの投稿
出所:X

そして、「ビットコインは金よりもはるかに大きな投資アイデア」だと投稿した。

●キャシー・ウッドのXへの投稿
キャシー・ウッドのXへの投稿
出所:X


マイクロストラテジーがマイクロソフトにビットコインの購入を提案

ビットコインの上昇を受け、民間で最もビットコインを保有している企業、米マイクロストラテジー(MSTR)の株価も大きく値上がりしている。マイクロストラテジーの株価はここ1ヶ月で約5割、年初来では470%以上上昇している。6日終値時点で時価総額は約920億ドルを超え、マイクロストラテジーが保有するビットコイン評価額(約251億ドル)の4倍近くに膨らんでいる。

●マイクロストラテジー(日足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
マイクロストラテジー(日足)
出所:トレーディングビュー

●マイクロストラテジー(週足)(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
マイクロストラテジー(週足)
出所:トレーディングビュー

マイクロストラテジーはビジネス上の意思決定を行うために社内外のデータを分析するソフトウェアやモバイルソフトウェア、クラウドベースのサービスを提供する企業だ。1989年に現在、会長を務めるマイケル・J・セイラーらによって設立された。主な競合企業には、独のSAPやIBM(IBM)、オラクル(ORCL)などがある。

上場企業の中でビットコインを最も多く保有する企業で、継続的にビットコインを買い増ししている。2020年8月から大規模なビットコイン購入を開始し、その後、社債などを発行して資金調達をしつつ、大規模なビットコイン買い増し戦略を続けてきた。暗号通貨を大量に保有していることから、規制の多いビットコイン投資の代替と捉えられている。

現在、ビットコインの保有者の上位10位は、

1.ETF
2.サトシ・ナカモト
3.バイナンス
4.マイクロストラテジー
5.米国政府
6.中国政府
7.ビットフィネックス
8.クラーケン
9.ブロックワン
10.ロビンフッド

の順となっている。

●ビットコインの保有者
ビットコインの保有者
出所:Michael Saylor

直近では12月1日までの1週間で、1万5400ビットコインを平均価格9万5976ドルで購入したことを明らかにした。マイクロストラテジーが保有するビットコインをリアルタイムで追跡するサイトMSTR Trackerによると、保有するトークンは合計40万2100枚に拡大、これは想定される総供給量の約2%に相当する。

●マイクロストラテジーによるビットコイン保有(12月6日時点)
マイクロストラテジーによるビットコイン保有(12月6日時点)
出所:MSTR Tracker

先週、セイラーはマイクロソフト(MSFT)の取締役会にもビットコイン購入を提案し、財務資産としての利点を強調したという。その提案の内容がYouTubeで公開されている。セイラーの主張は企業価値の向上と株主リスクの低減を目的としており、他のテクノロジー企業がこの動きに続く可能性があるのか注目されている。アマゾンも株主の要請により、ビットコインをアマゾンの財務に追加するように提案されたという。

インフレが高止まりするなか、企業が代替資産としてビットコインを保有する動きが広がってきている。一方で投資家は、企業がビットコインを保有する戦略を株式市場における新たな評価軸として認識し始めている。9月18日、YouTube動画に登場したセイラーは、「ビットコインが価値の保存手段として機能する可能性がある」と語った。株式市場に上場する企業の株式を保有するという伝統的な金融市場の枠組みにおいて、仮想通貨市場への間接的なエクスポージャーを得ることができるからである。

著名投資家のポール・チューダー・ジョーンズは10月22日、米CNBCの番組に出演し、「米国の政府支出の増加と減税の見通しから、FRBが目標としている2%(現在:2.4%ほど)の達成は劇的な政策変更がない限りは事実上不可能だ」と指摘、「米国はインフレを起こし、債務負担を成長で乗り越える必要がある」と述べた。

ジョーンズは、「(米国は)支出問題に真剣に取り組まない限り、すぐに破産するだろう」と述べるとともに、「すべての道はインフレに通じる」として、ビットコイン(BTC)とゴールドを含むコモディティをロング、ナスダックのバスケットを保有する一方、利回りのある金融商品からは離れるよう推奨した。

ジョーンズが指摘するように、投資家がインフレ対策としてビットコインを投資ポートフォリオに取り入れようとする動きがまだ小さな波ではあるものの、確実に世界に広まりつつある。


注目のチャート(メガトレンドフォローの売買シグナル 赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)

●ドル/円(日足)
ドル/円(日足)
出所:筆者作成

●ユーロ/ドル(日足)
ユーロ/ドル(日足)
出所:筆者作成

●ポンド/ドル(日足)
ポンド/ドル(日足)
出所:筆者作成

●ポンド/円(日足)
ポンド/円(日足)
出所:筆者作成

●豪ドル/NZドル(日足)
豪ドル/NZドル(日足)
出所:筆者作成

●ドル/カナダドル(日足)
ドル/カナダドル(日足)
出所:筆者作成

●S&P500CFD(日足)
S&P500CFD(日足)
出所:筆者作成

●日経平均CFD(日足)
日経平均CFD(日足)
出所:筆者作成


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