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フランス政治の混迷がユーロの重石に

2024/12/03 07:44

【ポイント】
・バルニエ首相は議会の反対を押し切って25年度予算を成立へ
・内閣不信任動議が成立すればバルニエ内閣は崩壊!?
・ドイツでも連立政権が事実上崩壊、25年2月に総選挙へ
・フランス(やドイツ)の政治不安はユーロの重石に

フランスのバルニエ内閣が崩壊の危機に立たされています。バルニエ首相が10月に公表した25年度予算案に対して野党が反対。バルニエ首相は一部で譲歩したものの、最大野党RN(国民連合)のルペン氏はさらなる譲歩を求めていました。

バルニエ首相は2日、議会の採決なしに予算を成立させるべく憲法の条項を発動すると宣言。これに対して、野党は内閣不信任動議を提出すると発表。ルペン氏はこれに賛成する意向を示しています。

不信任案が可決された場合、閣僚は留任して暫定政府として業務。その間に、マクロン大統領が新たに首相を任命し、新首相が組閣を行うことになるようです。

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フランス政治の混迷を受けて、フランスとドイツの長期金利(10年物国債利回り)の差(仏>独)が拡大し、欧州債務危機があった11-12年以来の水準まで広がっています。これはフランスの政府あるいは財政政策に対する信任が相対的に低下していることを示しています。

また、フランスの長期金利は財政規律の弱いギリシャのそれとほぼ同じ水準となっており、イタリアのそれとの差(仏<伊)は縮小しています。

ユーロ圏主要国の長期金利

フランスだけでなく、ドイツの政治も不安定化しています。SPD(社民党)のショルツ首相が率いるFDP(自由民主党)と緑の党との連立政権は11月に事実上崩壊。12月16日に形式的に首相信任投票が実施され、25年2月23日に総選挙が実施されるようです。

フランスやドイツの政治の不安定さは通貨ユーロの重石になっているようです。両国で新政権が誕生して政治が安定化するまでにはまだしばらく時間がかかりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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