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英国の10月CPIは上振れ、BOEの利下げ観測は一段と後退

2024/11/21 08:46

※今週のファンダメポイントは、不定期あるいは掲載時間が遅くなる可能性があります。予めご了承ください。

【ポイント】

・英国の10月CPIは予想比上振れして、前月から加速
・BOE(英中銀)の利下げ観測は後退
・予算案の物価押し上げ効果は英ポンドにマイナス?

英国の10月CPI(消費者物価指数)前年比は、総合が2.3%、食料やエネルギー等を除くコアが3.3%、サービスが5.0%と、いずれも市場予想を上回って前月から加速しました。

英CPI

10月CPIの加速は、エネルギー価格の上限引き上げの影響もありましたが、レストランやホテル、航空運賃などのサービス価格上昇の影響も大きかった模様です。BOE(英中銀)は国内のインフレ圧力を測るうえでサービス価格を重視しているとされています。

BOEが追加利下げに慎重になる理由は他にもあります。10月末に発表された英労働党政権の予算案はインフレ率を最大0.5%近く押し上げるとBOEは分析しています。また、トランプ次期大統領が公約した関税引き上げも報復合戦に発展すれば、世界的なインフレ圧力になりうるでしょう。

20日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、BOEの12月19日のMPC(金融政策委員会)での利下げ確率を市場は1割程度しか織り込んでいません。25年11月までみても、市場が織り込む利下げは0.25%×2.5回分程度です。

BOE金融政策見通し

金融政策の面からみれば、英ポンドは他の主要通貨に対して有利かもしれません。ただし、景気低迷にもかかわらず、上述した労働党政権の予算案のために追加利下げが困難になるとすれば、中期的にみて必ずしも英ポンドにプラスとは限らないでしょう。

■20日配信のM2TV(YouTube)グローバルView「ユーロ/英ポンドの行方 ユーロ圏・英国の事情」もご覧ください。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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