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【株価指数】トランプ・トレードの巻き戻し!?

2024/11/18 08:45

※今週のファンダメポイントは、不定期あるいは掲載時間が遅くなる可能性があります。予めご了承ください。

【ポイント】
・トランプ・トレードの巻き戻しは続くか
・米FRBの利下げ観測、日銀の利上げ観測はどうなる?
・日米長期金利や米ドル/円の動向にも注目

先週(11/11- )のレビュー

主要株価指数は総じて軟調。NYダウ、S&P500、ナスダック100はいずれも週初に高値を更新しましたが、その後は下落。とりわけ、米利下げ観測が後退して、15日には大幅な下落となりました。トランプ・トレードが巻き戻ったとの指摘もあり、とりわけ、ハイテク株の下げが大きかったようです。一方で、ビットコインは週中に9万ドルを超えるなど、高値圏で推移しました。

15日の東京時間までは円安が進行したものの、日本の長期金利上昇もあって日経平均は週を通して軟調。FTSE100も、「トランプ政権」の対外強硬姿勢や英経済の軟調を嫌気する形で軟調が続きました。
  
米FRBのパウエル議長は14日(日本時間15日早朝)の講演で、「米経済は利下げを急ぐべきだという、いかなるサインも発していない」と述べ、追加利下げに慎重な姿勢を示しました。米国で先週発表された10月CPI、小売売上高、11月NY連銀製造業景況指数などが景気の堅調やインフレ圧力の残存を示唆したことで、米利下げ観測が後退。12月17-18日のFOMCについて、市場の見方は「利下げ」から「据え置き」へと傾きつつあるようです。

BOE(英中銀)の利下げ観測もやや後退しています。12月のMPC(金融政策委員会)では「据え置き」が有力視されています。BOEは11月7日に0.25%利下げを実施しましたが、声明は追加利下げに慎重な内容でした。BOEは10月末に発表された英労働党の予算案がインフレを高めると懸念しています。英国の7-9月期GDPは前期比0.1%のわずかな伸びにとどまり、同期の失業率が上昇するなど景気は軟調です。景気が軟調ななかで利下げが行われないとの環境は株価にとってマイナスでしょう。


今週(11/18- )の注目材料

先週のトランプ・トレードの巻き戻しが今週も継続するのか。それともスピード調整が入った後に再び上昇に転じるでしょうか。

日米の金融政策見通しと長期金利の動向が重要なカギを握っていそうです。15日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、12月17-18日のFOMCで利下げが決定される確率を市場は4割程度とみています。差は小さいながら「追加利下げ」より「据え置き」の確率が高くなっており、それがどう変化するか。

今週は21日のフィラデルフィア連銀製造業景況指数と週次の新規失業保険申請件数を除けば、主要な米経済指標はありません。ただ、FOMC関係者の発言機会がいくつかあるため、市場はそれらに関心を向けそうです。

米長期金利は15日に今年5月末以来の4.50%にワンタッチしました。トランプ・トレードが復活した場合に、インフレ高進や財政赤字拡大の懸念から長期金利が一段と上昇しないか注目でしょう。そうした長期金利の上昇は株価の頭を抑える可能性があります。

日銀の植田総裁が本日18日に名古屋で、経済界代表者との懇談における挨拶を行う予定。その後に記者会見もあるようです。21日にも総裁の講演があります。総裁は、12月の金融政策決定会合や足もとの為替相場・長期金利に関してコメントするかもしれません。

日本の長期金利は今年7月につけた約14年ぶりの高値(1.108%)に接近しており、それを超えて上昇するでしょうか。12月会合での利上げ観測が高まれば、長期金利が上昇して株価の重石になりそうです。

決算発表では、米ウォルマート(19日)、米エヌビディア(20日)、中国バイドゥ(21日)など。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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