マネースクエア マーケット情報

米ドル/円が155円台へ上昇、本邦当局による“円安”けん制は?

2024/11/14 09:19

【ポイント】
・米長期金利が一段と上昇するか
・米FRB議長は金融政策の先行きについて新たなヒントを示すか
・本邦当局は“円安”けん制のトーンを強めるか
・メキシコ中銀は12月会合でも利下げする可能性を示すか

(欧米市場レビュー)

13日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は155.575円、米ドル/カナダドルは1.39983カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.05543ドル、英ポンド/米ドルは1.26870ドル、豪ドル/米ドルは0.64792米ドルへと下落。米ドル/円は7月24日以来、米ドル/カナダドルは20年5月以来の高値を記録し、ユーロ/米ドルは23年11月以来の安値をつけました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドル高要因となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の長期金利の動向が引き続き材料になりそうです。トランプ次期大統領の公約が米国のインフレ高進や財政赤字の拡大につながるとの懸念から、米長期金利には上昇圧力が加わりやすい地合いになっています。

米長期金利がさらに上昇すれば、米ドル高が一段と進みそうです。その場合には、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開が考えられます。米ドル/カナダドルは、1.40000カナダドル(大台であり心理的節目)より上の水準に定着する場合、1.41730カナダドル(20年5月高値)が次の上値メドになりそうです。

パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が本日講演します(日本時間15日05:00)。講演でFRBの金融政策について言及されるとすれば、おおむね7日のFOMC後の会見に沿った内容になると考えられますが、仮にFRBの金融政策の先行きについて新たなヒントが提供されれば、材料になりそうです。

※FOMC後のパウエル議長の会見について詳しくは、8日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCは「ハト派」的利下げ、英MPCは「タカ派」的利下げ!?]をご覧ください。

“円安(米ドル/円の上昇)”に対する本邦当局の反応にも注目です。三村財務官は7日に、加藤財務相は8日に、「足もとでは一方向で急激な動きがみられる」、「投機的な動向も含め、極めて高い緊張感を持って注視する」、「行き過ぎた動きには適切な対応をとっていく」と述べました。加藤財務相や三村財務官が“円安”をけん制するトーンを強めれば、市場では本邦当局による為替介入(米ドル売り・円買い介入)への警戒感が高まるかもしれません。その場合、米ドル/はいったん下落する可能性があります。

***

本日は、BOM(メキシコ中銀)の政策会合が開かれます。会合の結果は日本時間15日午前4時に発表され、その結果にメキシコペソが反応する可能性があります。

BOMは3月・8月・9月の会合でそれぞれ0.25%の利下げを実施。現在の政策金利は10.50%です。

メキシコの10月CPI(消費者物価指数)は前年比4.76%と、9月の4.58%から上昇率は高まりました。一方で、食品・エネルギー・農畜産物などを除いたコア指数は同3.80%と、10月の3.91%から上昇率が鈍化。コア指数の上昇率が鈍化したのは20カ月連続です。BOMはCPIにおいてコア指数をより重視していることから、本日の会合では追加利下げが決定されそう。利下げ幅は過去3回と同じく0.25%になると考えられます。

BOMの声明にも注目です。前回9月会合時の声明では、先行きの金融政策について「政策金利のさらなる調整が可能になると予想している」とされ、追加利下げが示唆されました。この文言に変更がないなど、声明の内容が次回12月19日の会合でも利下げする可能性を示すものになれば、メキシコペソが軟調に推移する可能性があります。

※メキシコペソ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[メキシコペソ/円、BOM会合が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ