米GDPやADP雇用統計に注目!
2024/10/30 08:59
【ポイント】
・米GDPなどで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・本邦当局による“円安”けん制のトーンが強まるか
(欧米市場レビュー)
29日、欧米時間の外為市場では、米ドルが強含み。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが米ドルの支援材料となり、一時米ドル/円は153.849円、米ドル/カナダドルは1.39249カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.07681ドル、豪ドル/米ドルは0.65437米ドル、NZドル/米ドルは0.59514米ドルへと下落。米ドル/カナダドルは8月5日以来の高値をつけ、豪ドル/米ドルは8月8日以来、NZドル/米ドルは8月7日以来の安値を記録しました。
その後、米長期金利が低下に転じると、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上げ幅を、ユーロ/米ドルは豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは下げ幅を縮小しました。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の7-9月期GDP(国内総生産)速報値や10月ADP雇用統計が発表されます。これらの結果が材料になりそうです。
GDPとADP雇用統計の市場予想は、以下の通り。( )は前回の実績です。GDPは日本時間21時30分、ADP雇用統計は同21時15分に結果が発表されます。
・GDP(前期比年率換算):3.0%(3.0%)
・コアPCE(個人所費支出。前期比年率換算):2.1%(2.8%)
・ADP雇用統計(前月比):11.4万人増(14.3万人増)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回11月6-7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%利下げを行うと予想されています。また、次々回の12月17-18日のFOMCでも0.25%の利下げが行われるとの見方が市場では有力です。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む11月FOMCでの0.25%の利下げ確率は98.8%、12月FOMCで0.25%の追加利下げが行われる確率は78.3%です(日本時間07:44時点)。
GDPやADP雇用統計が市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が後退しそうです。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには下落圧力が加わると考えられます。
本邦当局から“円安(米ドル/円の上昇)”についての発言が出てくれば、材料になる可能性があります。三村財務官は日本時間25日に“円安”について「一方向で急速な動き」との認識を示しました。加藤財務相は29日に「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」、「投機的な動向を含め、為替市場を緊張感をさらに高めて注視していく」と述べました。本邦当局が“円安”をけん制するトーンを強めれば、米ドル/円はいったん下落する可能性があります。
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ユーロ圏やドイツ、フランスの7-9月期GDP速報値が本日発表されます。GDPの結果が発表される時間は、フランスが日本時間15時30分、ドイツが18時、ユーロ圏が19時です。
GDPの市場予想は以下の通り。( )は4-6月期の実績です。ドイツは2四半期連続でマイナス成長になるとみられています。
・ユーロ圏(前期比):0.2%(0.2%)
・ドイツ(同):マイナス0.1%(マイナス0.1%)
・フランス(同):0.3%(0.2%)
ユーロ圏などのGDPが市場予想と比べて弱い結果になれば、ユーロ圏景気をめぐる懸念が強まるとともに、次回12月12日のECB(欧州中銀)理事会での利下げ観測が一段と強まる可能性があります。ユーロ圏景気への懸念やECBの利下げ観測が強まる場合、ユーロ安圧力が加わりそうです。ユーロ/英ポンドの下値メドとして、22年3月安値の0.81979ポンドが挙げられます。
※ユーロ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/円、200日MAを上抜けブレーク!もう一段の上値トライとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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