米ドルが対円で7月下旬以来、対カナダドルで8月上旬以来の高値
2024/10/22 08:44
【ポイント】
・米長期金利がさらに上昇するか
・本邦当局は“円安”をより強くけん制するか
・BOE総裁は次回会合についてのヒントを示すか
(欧米市場レビュー)
21日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は150.843円、米ドル/カナダドルは1.38449カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.08093ドル、英ポンド/米ドルは1.29780ドル、豪ドル/米ドルは0.66530米ドルへと下落。米ドル/円は7月31日以来、米ドル/カナダドルは8月6日以来の高値を記録し、ユーロ/米ドルは8月2日以来の安値をつけました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドル高材料となりました。
(本日の相場見通し)
米国の長期金利は21日に4.19%へと上昇し(10/18のNY終値は4.08%)、7月下旬以来の高い水準をつけました。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げペースが緩やかになるとの観測のほか、米国の財政赤字が拡大するとの懸念が、米長期金利の上昇圧力となりました。
※米財政赤字については、本日の『ファンダメ・ポイント』[米大統領選挙:「トランプ大統領」なら財政赤字は大幅増?]をご覧ください。
本日は、米長期金利の動向に注目です。米長期金利がさらに上昇する場合、米ドル高圧力が一段と強まるとともに、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上昇し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下落しそう。米ドル/円は、200日移動平均線(21日時点で151.316円)に接近するかもしれません。
“円安(米ドル/円の上昇)”に対する本邦当局の反応にも注目です。三村財務官は18日、外為市場の動向について「足もとでやや一方向に、あるいは急速な動きもみられる」、「投機的な動きも含め、高い緊張感をもって注視する」と述べ、“円安”をけん制しました。加藤財務相や三村財務官が“円安”をより強くけん制すれば、米ドル/円はいったん下落するかもしれません。
中東情勢には引き続き注意が必要です。中東情勢が一段と緊迫化する場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まるとともに、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円が下押しする可能性があります。
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BOE(英中銀)は8月の政策会合で0.25%の利下げを実施し、前回9月の会合では政策金利を据え置きました。
本日、BOEのベイリー総裁がニューヨークで講演します。講演では、次回11月7日の会合について何らかのヒントが示されるかどうかに注目です。
ベイリー総裁は10月3日に配信された英ガーディアン紙のインタビューで、「消費者物価の上昇圧力は懸念したほど執拗ではなかったことに安堵した」、「インフレの鈍化が続けば、(BOEは)利下げに関してもう少し積極的になれる」などと述べました。
市場では、BOEは次回会合で0.25%の利下げを行うとの観測があります。ベイリー総裁の講演によって利下げ観測が補強されれば、英ポンドが軟調に推移して、ユーロ/英ポンドは上昇しそうです。
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