ゴールドが再び最高値更新、「押し目」は小さめ 原油は軟調
2024/10/18 10:05
<金は堅調、円建ても最高値更新>
今週(10/14─)の米ドル建て金先物は堅調な展開となりました。17日に2,712ドルを付け、取引時間中の過去最高値を3週間ぶりに更新。米金利はやや高いものの、地政学リスクへの警戒感が強く、「安全資産」としての需要が再び強まっています。円建て価格も円安効果が加わり過去最高値を更新しました。
米ドル建て金先物価格の1週間予想レンジ:2,600─2,750ドル
円建て金先物価格の1週間予想レンジ:12,200─13,500円
*「押し目」は小幅で終了、ETFが下支えか
金価格の調整は小幅に終わりました。米ドル建て価格は2,600ドル台を割り込むことなく切り返し。「押し目」を待つ投資家にとっては物足りない調整だったかもしれません。
需要面の支えはETF(上場投資信託)だとみられています。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、9月は世界のETFに14億米ドルが流入。5カ月連続での資金流入となりました。年前半は4月まで流出が続いていましたが、年初来の累計でもついに資金流入に転じました。
地域別でみると、北米が資金流入の中心となっています。米連邦準備理事会(FRB)が9月に0.50%の大幅利下げを決定。その後、米長期金利は上昇したのですが、先行きの金利低下観測や地政学リスクの高まりで金価格が上昇。コールオプションの行使も進み、資金が金ETFに流入したとみられています。
欧州は8月まで4カ月連続で資金流入が続いていましたが、9月は資金流出。主に英国から資金が流出しました。イングランド銀行(BOE)が9月に金利を5.0%に据え置いたことなどが要因とみられています。
アジアではインドなどで資金流入が続きました。中国は景気刺激策への期待から株価が持ち直したことで、金ETFへの資金流入は限定的でした。なお中国人民銀行の金購入は9月まで5カ月連続でゼロですが、その他新興国の中銀による金購入には、依然として期待感が強い状況です。
*米ドル建て金先物の日足(期間:2023/12/27~2024/10/17)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
<原油は軟調>
今週のWTI原油先物価格は軟調な展開となりました。複数の主要機関が原油需要見通しを引き下げたほか、イスラエルがイランに対する報復攻撃で石油や核関連の施設を標的にしないとの一部報道で売りが強まり、一時70ドルの大台を割り込みました。イスラエル軍が17日、イスラム組織ハマスの最高指導者を殺害したと発表するなど中東情勢は依然として緊張感が高いものの、反発力は弱く低位で推移しています。
WTI原油先物価格の1週間予想レンジ:1バレル68─73ドル
*相次ぐ需要見通しの下方修正
石油輸出国機構(OPEC)と国際エネルギー機関(IEA)が今週、相次いで石油需要見通しを引き下げました。
OPECは14日に発表した月報で、2024年の需要増加分を従来の日量203万バレルから193万バレルに、25年も174万バレルから164万バレルにそれぞれ下方修正しました。見通しの引き下げは3カ月連続。中国は景気対策が需要を支えるものの、経済的課題やクリーンエネルギーへの移行によって消費が抑えられると予想しています。
またIEAは16日に、化石燃料の需要が2030年にピークに達すると予測したレポートを公表。先行きの不透明感は強いものの、再生可能なグリーンエネルギーへの投資が増える可能性があるとの見通しを示しています。ただ、世界の原油余剰生産能力が拡大するほか、液化天然ガス(LNG)の世界生産能力も余剰になると予測。20年代後半は石油価格が低位で安定するとみています。
一方、米エネルギー情報局(EIA)が17日に発表した10月11日時点の週間石油在庫統計では、原油在庫が前週比219.1万バレル減少しました。ガソリン在庫は220.1万バレルの減少、留出油も353.4万バレルの減少となりました。9月の米小売売上高が市場予想を上回る強さとなったことも加わり、需給が引き締まる可能性を意識させました。
*WTI原油先物の日足(期間:2023/12/28~2024/10/17)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
◆本レポートは、執筆者が信頼に値すると判断した情報に基づいて作成されたものです。あくまで情報提供が目的であり、投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。
◆本レポート内の予想やその他の見解は、出所を明記しているものを除き、執筆者個人のものであり、当社のものではありません。したがって、その内容等について当社は責任を負いかねます。また、当社はこれに関するお問い合わせにはお応えいたしかねますのでご了承ください。
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今週(10/14─)の米ドル建て金先物は堅調な展開となりました。17日に2,712ドルを付け、取引時間中の過去最高値を3週間ぶりに更新。米金利はやや高いものの、地政学リスクへの警戒感が強く、「安全資産」としての需要が再び強まっています。円建て価格も円安効果が加わり過去最高値を更新しました。
米ドル建て金先物価格の1週間予想レンジ:2,600─2,750ドル
円建て金先物価格の1週間予想レンジ:12,200─13,500円
*「押し目」は小幅で終了、ETFが下支えか
金価格の調整は小幅に終わりました。米ドル建て価格は2,600ドル台を割り込むことなく切り返し。「押し目」を待つ投資家にとっては物足りない調整だったかもしれません。
需要面の支えはETF(上場投資信託)だとみられています。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、9月は世界のETFに14億米ドルが流入。5カ月連続での資金流入となりました。年前半は4月まで流出が続いていましたが、年初来の累計でもついに資金流入に転じました。
地域別でみると、北米が資金流入の中心となっています。米連邦準備理事会(FRB)が9月に0.50%の大幅利下げを決定。その後、米長期金利は上昇したのですが、先行きの金利低下観測や地政学リスクの高まりで金価格が上昇。コールオプションの行使も進み、資金が金ETFに流入したとみられています。
欧州は8月まで4カ月連続で資金流入が続いていましたが、9月は資金流出。主に英国から資金が流出しました。イングランド銀行(BOE)が9月に金利を5.0%に据え置いたことなどが要因とみられています。
アジアではインドなどで資金流入が続きました。中国は景気刺激策への期待から株価が持ち直したことで、金ETFへの資金流入は限定的でした。なお中国人民銀行の金購入は9月まで5カ月連続でゼロですが、その他新興国の中銀による金購入には、依然として期待感が強い状況です。
*米ドル建て金先物の日足(期間:2023/12/27~2024/10/17)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
<原油は軟調>
今週のWTI原油先物価格は軟調な展開となりました。複数の主要機関が原油需要見通しを引き下げたほか、イスラエルがイランに対する報復攻撃で石油や核関連の施設を標的にしないとの一部報道で売りが強まり、一時70ドルの大台を割り込みました。イスラエル軍が17日、イスラム組織ハマスの最高指導者を殺害したと発表するなど中東情勢は依然として緊張感が高いものの、反発力は弱く低位で推移しています。
WTI原油先物価格の1週間予想レンジ:1バレル68─73ドル
*相次ぐ需要見通しの下方修正
石油輸出国機構(OPEC)と国際エネルギー機関(IEA)が今週、相次いで石油需要見通しを引き下げました。
OPECは14日に発表した月報で、2024年の需要増加分を従来の日量203万バレルから193万バレルに、25年も174万バレルから164万バレルにそれぞれ下方修正しました。見通しの引き下げは3カ月連続。中国は景気対策が需要を支えるものの、経済的課題やクリーンエネルギーへの移行によって消費が抑えられると予想しています。
またIEAは16日に、化石燃料の需要が2030年にピークに達すると予測したレポートを公表。先行きの不透明感は強いものの、再生可能なグリーンエネルギーへの投資が増える可能性があるとの見通しを示しています。ただ、世界の原油余剰生産能力が拡大するほか、液化天然ガス(LNG)の世界生産能力も余剰になると予測。20年代後半は石油価格が低位で安定するとみています。
一方、米エネルギー情報局(EIA)が17日に発表した10月11日時点の週間石油在庫統計では、原油在庫が前週比219.1万バレル減少しました。ガソリン在庫は220.1万バレルの減少、留出油も353.4万バレルの減少となりました。9月の米小売売上高が市場予想を上回る強さとなったことも加わり、需給が引き締まる可能性を意識させました。
*WTI原油先物の日足(期間:2023/12/28~2024/10/17)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
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