米ISM製造業景況指数やJOLTSに市場が反応しそう
2024/10/01 09:03
【ポイント】
・米経済指標でFRBの大幅利下げ観測がどう変化するか
・ユーロ圏CPIでECBの利下げ観測が補強されるか
(欧米市場レビュー)
9月30日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は143.864円、米ドル/カナダドルは1.35331カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.11121ドル、英ポンド/米ドルは1.33479ドルへと下落しました。
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は講演で、「FOMC(米連邦公開市場委員会)は利下げを急いでいない」、「米経済が想定通りに進展すれば、年内にさらに2回、合計0.50%の追加利下げが行われることになる」などと述べました。これらの発言を受けて次回11月のFOMCでの0.50%の利下げ観測が市場で後退し、それが米ドルの支援材料となりました。
(本日の相場見通し)
本日、米国の9月ISM製造業景況指数と8月JOLTS(労働動態調査)が発表されます(いずれも日本時間23:00)。これらの結果に市場が反応しそうです。
市場予想は以下の通り。( )は前月の実績です。
・ISM製造業景況指数:47.5(47.2)
・JOLTS求人件数:765.5万件(767.3万件)
ISM製造業景況指数は8月から改善するものの、業況判断の分かれ目である50を引き続き下回るとみられています。JOLTS求人件数は7月から減少すると予想されています。
パウエルFRB議長の上述の発言を受け、市場では次回11月6-7日のFOMCでの0.50%の利下げ観測が後退。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む11月の0.50%の利下げ確率は9月27日時点の5割強から3割強へと低下しました。
ISM製造業景況指数やJOLTS求人件数が市場予想を下回る結果になれば、0.50%の利下げ観測が再び強まりそうです。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには下落圧力が、英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルには上昇圧力が加わると考えられます。
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ユーロ圏の9月CPI(消費者物価指数)速報値が本日発表されます(日本時間17:00)。
CPIの市場予想は総合指数が前年比1.8%、食品・エネルギー・アルコール・たばこを除いたコア指数は同2.8%です。コア指数の上昇率は8月と同じになると予想されている一方で、総合指数の上昇率は8月の2.2%から鈍化してECB(欧州中銀)の目標である2%を下回るとみられています。
ECBは今後も利下げを続けると市場は予想しています。CPIが市場予想を下回る結果になれば、この観測が補強されるとともに、ユーロが軟調に推移する可能性があります。ユーロ/英ポンドの下値メドとして、22年3月安値の0.81979ポンドが挙げられます。
ECBのデギンドス副総裁やシュナーベル専務理事、ナーゲル・ドイツ連銀総裁、レーン・フィンランド連銀総裁が講演します。デギンドス副総裁らECB理事会メンバーの講演でECBの利下げペースについてのヒントが示されれば、ユーロが反応しそうです。
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ウォルズ氏(民主党)とバンス氏(共和党)の米副大統領候補による討論会が行われます(日本時間2日午前10時)。両副大統領候補の発言が為替相場の材料になる可能性があります。
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