中銀ウィーク、NOK/SEK開始!
2024/09/17 12:57
※次週のウィークリー・アウトルックは24日配信予定です。
【今週のポイント】
・中銀ウィーク、FOMCの利下げ幅は? 日銀は利上げ地ならし?
・NOK/SEKは原油価格の動向に要注意!?
・トルコ中銀のタカ派的スタンスに変化はないか
今週は中央銀行ウィークです。18日に米FOMC、19日にBOE(英中銀)、20日に日銀の政策会合の結果が判明します。主要中銀以外でも、19日にTCMB(トルコ中銀)、SARB(南アフリカ中銀)、ノルウェー銀行(中銀)の会合もあります。
FOMCに関して、パウエル議長ら関係者が強く示唆しているため、利下げはほぼ確実。注目は利下げ幅で、0.25%が有力視されていましたが、先週末のインフレ期待の低下などを受けて0.50%との観測も強まっています。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchによれば、16日時点(シカゴ時間22:15)で市場が織り込む利下げ確率は0.25%が33%、0.50%が67%と、後者の見方が優勢になっています。
「ドット・プロット(FOMC参加者各個人の政策金利見通し)」の中央値が示唆する政策金利の軌道も重要。16日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、24年末まで3回のFOMCで0.25%×4.6回分、25年7月までの8回のFOMCで0.25%×9.6回分の利下げを市場は織り込んでいます。「ドット・プロット」も複数回の利下げを示唆するでしょうが、市場予想ほどのペースではないとみられます。「市場予想>ドット・プロット」の差がどのように修正されるのか、要注目です。
BOEは前回8月1日のMPC(金融政策委員会)で0.25%利下げを実施したため、今回は据え置きとの見方が有力です。注目はMPCの票決。8月は5対4の僅差で利下げが決定されました。4人は据え置き支持でした。今回、9人の委員のなかに利下げ支持はいるでしょうか。その数が多いほど次回11月のMPCに向けて利下げ観測が高まりそうです(英ポンドにマイナス!?)。
20日の日銀の金融政策決定会合も据え置きとなりそう。11日に中川審議委員が述べたように「金融市場は不安定な状況が続いている」ために、判断は金融緩和の継続に傾きそうです。ただし、日銀は早晩金融政策の正常化を進める意向です。10月以降の利下げに向けた地ならしが行われるようなら、円高圧力が加わりそう。<西田>
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今週の米ドル/カナダドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは17-18日の米FOMCの結果に大きな影響を受けそうです。FOMCで0.25%の利下げが決定されるなどして米ドルが全般的に堅調に推移すれば、米ドル/カナダドルには上昇圧力が、豪ドル/米ドルとNZドル/米ドルには下落圧力が加わると考えられます。
豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円は、19-20日の日銀金融政策決定会合が材料になりそうです。会合後に行われる植田日銀総裁の記者会見がタカ派的な内容になれば、クロス円は下押しする可能性があります。
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TCMB(トルコ中銀)の政策会合が19日に開かれます。政策金利は現行の50.00%に据え置かれるとみられます。その通りの結果になれば、焦点はTCMBのタカ派的な金融政策スタンスが変化するかどうか。前回8月会合時の声明では、「月次のインフレ(率)の基調的なトレンドが大幅かつ持続的に低下し、インフレ期待が(TCMBの)予測範囲に収束するまで、金融引き締めスタンスを維持する」、「インフレの大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合には、金融政策を(さらに)引き締める」とされました。タカ派的な金融政策スタンスに変化がなければ、トルコリラを下支えしそうです。
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SARB(南アフリカ中銀)は19日に政策会合を開きます。市場では、0.25%の利下げが行われると予想さています。その通りの結果になれば、SARBの声明やクガニャゴ総裁の記者会見で追加利下げのタイミングについてのヒントが示されるかどうかに注目です。次回11月の会合での追加利下げ観測が市場で強まる場合、南アフリカランドは軟調に推移する可能性があります。
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メキシコでは、司法の独立性を脅かすとして市場が懸念していた司法制度改革案が15日に発効しました(改革案は4日に下院で11日に上院で可決され、その後32の州議会の過半数で承認されました)。目先の材料出尽くし感からかメキシコペソはいったん下げ渋っているものの、メキシコで10月1日に大統領が交代します。新政権がメキシコ政治への懸念を強めるような政策を推進しないかどうか、注意が必要かもしれません。<八代>
今週の注目通貨ペア①:<ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ
予想レンジ:0.93000Sクローナ~1.02500Sクローナ>
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(Nクローネ/Sクローナ。以下、NOK/SEK)は過去10年間、20年3月のコロナショックによる急落を除いて、0.95000Sクローナ~1.10000Sクローナを中心としたレンジ相場が続いています。
NOK/SEKの変動要因は、ノルウェー銀行(中銀)とリクスバンク(スウェーデン中銀)の政策金利の差や、ノルウェーの主要産品である原油価格など。ノルウェーとスウェーデンの金融政策は比較的類似していることもあって、NOK/SEKは政策金利差よりも原油価格との相関の方がやや強いようにみえます。
■9月17日付けファンダメ・ポイント「NOK/SEKの変動要因:政策金利と原油価格」をご覧ください。
ノルウェー銀行もリクスバンクも利下げ方向にあるようです。ただ、今後数カ月、利下げのペースは「ノルウェー銀行<リクスバンク」と予想されています。政策金利面からしばらくはNOK/SEKに上昇圧力が加わりそうです。
一方で、WTI原油価格は9月上旬に1バレル=65ドル近辺まで下落しました。足もとで、原油価格は反発して70ドル台に乗せているものの、メキシコ湾へのハリケーン襲来による原油生産の縮小が背景にありそう。世界経済が一段と減速して原油価格が下落しれば、NOK/SEKの下押し圧力になる場面もあるかもしれません。NOK/SEKとWTI原油価格の過去3カ月(日足、9月16日まで)の相関係数は0.89と非常に高い正の相関を示しています。NOK/SEKの短期の変動に関しては、原油価格の動きを注視する必要がありそうです。<西田>
今週の注目通貨ペア②:<米ドル/円 予想レンジ:138.000円~145.000円>
FOMCの結果(日本時間19日03:00)とパウエルFRB議長の記者会見(同03:30開始)が最大の相場材料となりそうです。
第1のポイントは利下げ幅。0.25%なら米ドル/円の初期反応は上昇、0.50%なら同下落が想定されます。第2のポイントは「ドット・プロット」。市場が織り込むほどの利下げペースは示唆されない可能性が高そうです。それでも、6月時点より利下げペースの予想が顕著に速まっていれば、米ドル/円に下押し圧力が加わるかもしれません。第3に、パウエル議長の記者会見。先行きに関してどんなメッセージが出されるか。市場が織り込む大幅利下げをけん制するかどうか。
日銀の会合では、据え置きが予想され、当面は金融緩和継続の意向が示されるでしょう。ただ、FOMCの結果が「ハト派」的と判断された後に、日銀が少しでも「タカ派」的な姿勢をみせれば、米ドル/円の下落に拍車がかかるかもしれません。<西田>
今週の注目通貨ペア③:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000NZドル~1.09000NZドル>
今週の豪ドル/NZドルは、19日に発表される豪州の8月雇用統計とNZの4-6月期GDP(国内総生産)が材料になる可能性があります。
RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の金融政策スタンスには違いがあります。RBAは23年11月に利上げを実施した後、前回8月の政策会合まで6回連続で政策金利を4.35%に据え置きました。ただ、前回会合では利上げも議論されました。RBNZは前回8月の会合で0.25%の利下げを行ったうえ、追加利下げを示唆しました。
市場予想と比べて豪州の雇用統計が強い結果となり、NZのGDPが弱い結果になれば、RBAとRBNZの金融政策スタンスの違いが市場で改めて意識されるかもしれません。その場合、豪ドル/NZドルには上昇圧力が加わりそうです。<八代>
今週の注目通貨ペア④:<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.34500カナダドル~1.37500カナダドル>
BOC(カナダ中銀)は6月・7月・9月の3会合連続で0.25%の利下げを実施しました。市場では、次回10月23日の会合でも利下げが行われると予想されています。17日に発表されるカナダの8月CPI(消費者物価指数)の結果を受けて、次回会合ではこれまでよりも0.50%の利下げが行われるとの観測が市場で強まるかもしれません。
米FOMCにも注目です。BOCの0.50%の利下げ観測に加え、米FOMCの結果を受けて米ドル買い圧力が強まる場合、米ドル/カナダドルは1.37435カナダドル(8/9高値)に向かって上昇しそうです。<八代>
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