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NOK/SEKの変動要因:政策金利と原油価格

2024/09/17 07:59

【ポイント】
・NOK/SEKは両国の政策金利差より原油価格との相関が強い!?
・過去3カ月のNOK/SEKとWTI原油価格には強い正の相関
・世界経済の減速により原油価格が一段と下落しないか要注意

ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(Nクローネ/Sクローナ。以下、NOK/SEK)は過去10年間、20年3月のコロナ・ショックによる急落を除いて、0.95000Sクローナ~1.10000Sクローナを中心としたレンジ相場が続いています。

NOK/SEKの変動要因は、ノルウェー銀行(中銀)リクスバンク(スウェーデン中銀)の政策金利の差や、ノルウェーの主要産品である原油価格などが考えられます。ノルウェーとスウェーデンの金融政策は比較的類似していることもあって、NOK/SEKは政策金利差よりも原油価格との相関の方がやや強いようにみえます。

ノルウェーとスウェーデンの政策金利

政策金利差<原油価格?
月足でみた14年以降のNOK/SEKと政策金利差の相関係数は0.587。同様にNOK/SEKとWTI原油価格の相関係数は0.352。ただし、NOK/SEKと原油価格の関係をコロナ・ショックのあった20年3月を境に分けると、前半(14年~20年3月)の相関係数は0.655、後半(20年4月~24年8月)は同0.718です。コロナ・ショックによってNOK/SEKと原油価格の位置関係に変化はあったものの、高い相関は維持されていると解釈することも可能でしょう。

NOKSEKと政策金利差

NOKSEKと原油価格

政策金利差の行方
ノルウェー銀行もリクスバンクも利下げ方向にあるようです。今後数カ月、利下げのペースは「ノルウェー銀行<リクスバンク」と予想されています。Bloombergが集計する金融機関約20社程度の予想によれば、政策金利差は現在の1.00%(ノルウェー銀行4.5%、リクスバンク3.5%)から25年3月末には1.45%まで拡大し、その後に縮小する見込みです。政策金利面からしばらくはNOK/SEKに上昇圧力が加わりそうです。

ノルウェーとスウェーデンの政策金利予想

原油価格の動向に注意
一方で、WTI原油価格は9月上旬に1バレル=65ドル近辺まで下落し、23年5月にザラ場でつけた安値(63.64ドル)に接近しました(終値ベースでは23年3月につけた66.74ドルを下回りました)。足もとで、原油価格は反発して70ドル台に乗せていますが、メキシコ湾へのハリケーン襲来による原油生産の縮小が背景にありそうです。世界経済は今後一段と減速する可能性もあり、原油需給の悪化が原油価格の低下を通じてNOK/SEKの下押し圧力になる場面もあるかもしれません。

NOK/SEKとWTI原油価格の過去3カ月(日足)の相関係数は0.89と、両者の非常に高い正の相関を示しています。NOK/SEKの短期の変動に関しては、原油価格の動きを注視する必要がありそうです。

NOKSEKと原油価格 日足
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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