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米国とユーロ圏のインフレ指標に注目!

2024/08/30 08:55

【ポイント】
・米PCEデフレーターで0.50%の利下げ観測が強まるかどうか
・ユーロ圏CPIECBの利下げ観測が補強されるか

(欧米市場レビュー)

29日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は145.509円、米ドル/カナダドルは1.34819カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.10547ドル、英ポンド/米ドルは1.31435ドルへと下落しました。米国の4-6月期GDP(国内総生産)改定値が前期比年率3.0%と、市場予想の2.8%を上回り、速報値(2.8%)から上方修正されたことが米ドルの支援材料となりました。

ユーロ/英ポンドは0.84000ポンドへと下落し、7月25日以来およそ1カ月ぶりの安値をつけました。ドイツの8月CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことが、ユーロに対する下押し圧力となりました。CPIの結果は、EU(欧州連合)基準が前年比2.0%、国内基準が同1.9%。市場予想はそれぞれ2.3%と2.1%でした。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の7月PCE(個人消費支出)デフレーターに注目(日本時間21:30発表)。その結果が材料になりそうです。

PCEデフレーターの市場予想は、総合指数が前年比2.5%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同2.7%です。総合指数の上昇率は7月と同じになり、コア指数の上昇率は7月の2.6%から高まるとみられています。

パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は23日の講演で「金融政策を調整する時が来た」と述べ、次回9月17-18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うことを強く示唆しました。市場の関心は9月のFOMCで“どのくらいの利下げが行われるのか(利下げ幅)”に向いており、CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む9月FOMCの利下げ確率は、0.25%幅が66%、0.50%幅が34%です。

PCEデフレーターが市場予想を下回る結果になれば、0.50%幅の利下げ観測が強まりそうです。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、一方で英ポンド/米ドルは上昇すると考えられます。

***

ユーロ圏の8月CPI速報値が本日発表されます(日本時間18:00)。その結果にユーロが反応する可能性があります。

CPIの市場予想は総合指数が前年比2.2%、食品・エネルギー・アルコール・たばこを除いたコア指数が同2.8%と、上昇率はいずれも7月改定値の2.6%と2.9%から鈍化するとみられています。

上述の通り、昨日29日に発表されたドイツの9月CPI速報値は市場予想を下回りました。ユーロ圏のCPIも市場予想を下回る結果になれば、ECB(欧州中銀)の利下げ観測が補強されるとともに、ユーロが下押しする可能性があります。ユーロ/英ポンドは、0.83797ポンド(7/12安値)が目先の下値メドです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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