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カナダドル:カナダCPIに注目! 利下げ観測に変化は!?

2024/08/20 08:50

【ポイント】
CPIでBOC(カナダ中銀)の大幅な利下げ観測が浮上するか
・主要国株価が堅調に推移すれば、クロス円が上値を試す可能性あり
・トルコ中銀はタカ派的な姿勢を維持するか否か

(欧米市場レビュー)

19日、欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移しました。ユーロ/米ドルは一時1.10809ドルへと上昇し、23年12月29日以来の高値を記録。英ポンド/米ドルは1.29949ドル、豪ドル/米ドルは0.67281米ドルへと上昇し、米ドル/カナダドルは1.36284カナダドルへと下落する場面がありました。米国の7月景気先行指数が前月比マイナス0.6%と、市場予想のマイナス0.3%を下回ったことや、米長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが、米ドル安圧力となりました。

米ドル/は東京時間に一時145.177円へと下落しました。その後、欧米の主要株価指数が堅調に推移するなか、米ドル/円は下げ幅を縮小し、欧米時間はおおむね146円台前半で推移しました。

(本日の相場見通し)

カナダの7月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:30)。その結果にカナダドルが反応しそうです。

CPIの市場予想は総合指数が前年比2.5%と、上昇率は6月の2.7%から鈍化するとみられています。BOC(カナダ中銀)はコアインフレ指標としてCPIトリム平均値とCPI加重中央値を注視しており、これらの結果にも注目です。市場予想はトリム平均値が前年比2.8%、加重中央値が同2.5%と、上昇率はいずれも6月(2.9%と2.6%)から鈍化するとみられています。

市場では、BOCは次回9月4日の政策会合で3会合連続の利下げを行うとの見方が大勢。利下げ幅については0.25%になるとの見方が有力です。CPIが市場予想を下回る結果になれば、より大幅な0.50%の利下げ観測が浮上する可能性があり、その場合にはカナダドル安圧力が加わりそうです。

※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、200日MAで下値サポートされるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

カナダのCPI(前年比)

カナダのCPI(前年比)

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米国株が堅調に推移しています。19日の米株式市場ではダウ・ナスダック・S&P500のいずれも上昇。ダウは前営業日比236.77ドル高(0.58%)の40,896.53ドル、ナスダックは同245.05ポイント高(1.39%)の17,876.77ポイント、S&P500は同54.00ポイント高(0.97%)の5,608.25ポイントで取引を終了。ダウは5営業日連続、ナスダックとS&P500は8営業日連続の上昇となりました。米景気の先行きをめぐる懸念が後退していることが、米国株の支援材料となっているようです。

本日は、主要国の株価動向が材料になる可能性があります。日米欧の主要株価指数が上昇すれば、リスクオフ(リスク回避)の動きが後退するとともに、円が軟調に推移して、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円が上値を試す展開になるかもしれません。

本日、ボスティック・アトランタ連銀総裁がフォーラムに出席します。ボスティック総裁は13日に「最近のインフレデータは、インフレ率を(目標とする)2%に戻せるとの確信を深めるものだ」としつつも、「利下げを支持する前にもう少しデータを確認したい」と述べ、「米経済が予想通りに進展すれば、年内に利下げが行われるだろう」などと語りました。ボスティック総裁がFRBの金融政策の先行きについて新たなヒントを示せば、市場が反応しそうです。

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本日、TCMB(トルコ中銀)が政策会合を開きます。会合の結果は日本時間20時に発表されます。

TCMBは3月に利上げを実施した後、前回7月の会合まで4回連続で政策金利を50.00%に据え置きました。トルコの7月CPI(消費者物価指数)は前年比61.78%と、依然として高水準ではあるものの、6月の71.60%から上昇率が鈍化しました。政策金利は今回も50.00%に据え置かれそうです。

TCMBの声明にも注目です。前回会合時の声明では、「インフレリスクに引き続き細心の注意を払う」、「月次のインフレ(率)の基調的なトレンドが大幅かつ持続的に低下するまで、金融引き締めスタンスを維持する」、「インフレの大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合には、金融政策を(さらに)引き締める」などと、タカ派的な姿勢が示されました。今回もタカ派的な姿勢に大きな変化はなさそうです。その場合、トルコリラに大きな反応はみられないかもしれません。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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