マネースクエア マーケット情報

【株価指数】主要株価指数は高値更新をうかがうか

2024/08/19 07:15

【ポイント】
・主要株価指数は「令和のブラックマンデー」からの戻り基調
・主要中銀の金融政策見通しが重要なカギを握りそう
・ジャクソンホール会議や閉会中審査に注目

先週(8/12- )のレビュー

主要株価指数は、先々週5日の相場急落から順調に値を戻す展開でした。日経平均は8月5日(令和のブラックマンデー)の暴落分を回復。7月の高値から8月5日の安値の61.8%を戻して週を終えました。NYダウS&P500は同じく7月の高値から8月5日の安値の76.4%を回復。ナスダック100も61.8%を回復。FTSE100は5月の高値からの下落分の76.4%戻しを15日に達成した後、16日は小幅に下落しました。

株式投資家のリスクオフを示すVIX指数(S&P500の予想変動率)、別名「恐怖指数」は5日に20年3月のコロナ・ショック以来となる65超を示現しましたが、16日にはほぼ平常並みの水準と言える14.80まで低下しました。

株価急落の背景は米景気に対する懸念であり、日経平均の場合はそれに加えて日銀の追加利上げ観測に伴う「円高」の進行が大きな重石となりました。先週発表された米国の7月PPI(生産者物価指数)やCPI(消費者物価指数)はインフレの落ち着きを示す一方で、小売売上高や前週の新規失業保険申請件数は米景気の底堅さを示しました。また、7日には日銀の内田副総裁が「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける」と明言。それらが株価の回復に寄与しました。

市場では9月FOMCで米FRBが利下げすることが依然として確実視されています。0.50%ではなく0.25%の幅が有力視され、長期金利(10年物国債利回り)がやや上昇し、米ドルを押し上げました。米ドル/円は5日に一時141円台まで急落しましたが、15日に149円近辺まで上昇、147円台の半ばで週を終えました。

■米国D30(株価指数CFD)のテクニカル分析は、「米国D30、V字回復! このあと7月高値を更新するか」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。


今週(8/19- )の注目材料

主要株価指数は戻り基調を継続して、7月(FTSE100は5月)につけた高値を目指すでしょうか。重要なカギを握るのが、主要中銀の金融政策見通しであり、日経平均の場合はそれに加えて為替相場(米ドル/円)だと思われます。

最も注目されるのが、22-24日に米ワイオミング州で開催されるジャクソンホール経済シンポジウム。23日にはパウエルFRB議長が経済見通しについて講演します。同シンポジウムにはFRB関係者のみならず、世界中から中銀関係者や有力エコノミスト、投資家らが参加します。公式プログラム以外でもメディアへの発言機会は多く、主要中銀の金融政策見通しに大きな影響を与える可能性があります。今年のテーマは「金融政策の効率性と伝播の再検証」。

21日にはFOMC議事録(7/30-31開催分)の公表。パウエル議長はFOMC後の会見で9月の利下げの地ならしとも受け取れる発言を行っており、FOMCでの議論がどれだけ利下げに積極的な「ハト派」的トーンだったのか、興味深いところです。

利下げ観測は原則として株価にとってプラスですが、インフレの落ち着きだけでなく、景気への懸念から大幅利下げが予想されるケースでは、株価の重石となる可能性があります。

23日には衆参財政金融委員会の閉会中審査が実施され、鈴木財務相と植田日銀総裁が参考人として出席する予定です。鈴木財務相や植田総裁は、世界的な株価の乱高下、円安、インフレ、金融政策などに関連して説明を求められるでしょう。内田副総裁の「当面、金融緩和を続ける」がいつ頃までを指すのか、ヒントが得られるかもしれません。23日には日本の8月CPI(消費者物価指数)の発表もあります。

19-22日には民主党大会がシカゴで開催されます。大統領候補のハリス氏や副大統領候補のワルツ氏がそれぞれの指名受諾演説で何を語るか。大統領選挙の行方を占ううえで有権者の反応が気になります。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ