米PPIやアトランタ連銀総裁の講演に注目、中東情勢には注意
2024/08/13 09:09
【ポイント】
・アトランタ連銀総裁の発言などで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・英賃金統計でBOEの利下げ観測が強まるか
・中東情勢が緊迫化する場合、リスクオフが強まる可能性あり
(欧米市場レビュー)
12日、欧米時間の外為市場では、円が弱含み。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇するなか、米ドル/円は一時148.199円へと上昇。米ドル/円の上昇に支えられてユーロ/円や豪ドル/円などはそれぞれ、161.924円と97.798円へと上昇する場面がありました。その後、米長期金利が低下すると米ドル/円やユーロ/円などは上げ幅を縮小しました。
ハウザーRBA(豪中銀)副総裁は講演で、「経済見通しには大きな不確実性が伴う」、「経済の余剰生産能力が当初の予想よりも小さいことなどが原因で、インフレが粘着的になっている」、「失業率はゆっくりと上昇すると予想しているが、予想よりも速いペースで上昇するリスクもある」などと述べました。ハウザー副総裁の講演ではRBAの金融政策の先行きについて新たなヒントは提供されず、豪ドルに大きな反応はみられませんでした。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の7月PPI(生産者物価指数)が発表され(日本時間21:30)、ボスティック・アトランタ連銀総裁が経済見通しについて講演します。それらが材料になりそうです。
PPIの市場予想は以下の通り。( )は6月の実績です。
・総合(前月比):0.2%(0.2%)
・総合(前年比):2.3%(2.6%)
・コア指数(前月比):0.2%(0.4%)
・コア指数(前年比):2.7%(3.0%)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回9月17-18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うと予想しています。利下げ幅については市場の見方は分かれており、CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げの確率は、0.25%幅と0.50%幅でほぼ五分五分です。
PPIが市場予想を上回る、あるいはボスティック総裁の講演によって市場の0.50%の利下げ観測が後退すれば、米ドルが堅調に推移しそう。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す可能性があります。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、もう一段の上値トライとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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英国の4-6月の賃金上昇率が本日発表されます(日本時間15:00)。平均賃金は賞与を除くベースで前年比5.4%と、上昇率は3-5月の5.7%から鈍化するとみられています。
BOE(英中銀)は1日の政策会合で0.25%利下げすることを決定。政策金利を5.25%から5.00%へと引き下げました。
市場では、BOEは次回9月19日の会合で追加利下げを行うとの観測があります。平均賃金が市場予想を下回る結果になれば、9月会合での利下げ観測が強まるとともに、英ポンドが軟調に推移しそう。ユーロ/英ポンドは、0.86395ポンド(4/23高値)が上値メドです。
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中東情勢には注意が必要かもしれません。「イランが数日以内にイスラエルを攻撃する可能性がある」との報道があります。中東情勢が一段と緊迫化する場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まる可能性があります。
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