エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※8月2日更新
2024/08/02 13:03
宮田レポートpdf
[日経平均]
【当面の想定レンジ】 34,000~39,000円
[NYダウ]
【当面の想定レンジ】 32,000~40,600ドル
[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~17,850
[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~158.000円
[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~108.350
[日経平均]
【週足・エリオット波動分析】
42,426円(7/11高値)以来、インターミディエイト級の第(4)波による調整が進行中とみています。
この波動カウントに基づくと、第(4)波の大きさを測る上で比較対象となるのは、インターミディエイト級の第(2)波です。第(2)波と第(4)波は同じディグリー(段階)に属しており、調整規模が近しくなると考えることができます。
インターミディエイト級第(2)波の内容
始点高値30,795円(21年9月14日)⇒終点安値24,681円(22年3月9日)
下げ幅(6114円)、下げ率(19.85%)、期間(6カ月)、パターン(ジグザグ)
これらから、インターミディエイト級第(4)波の下値メドとして以下の水準が得られます。
第(4)波ターゲット(参考値)…[36,312円](7月高値から6114円安)~[34,005円](同19.85%安)
このレンジは、第(3)波の上昇幅の38.2%押し水準[35,648円]を内包します。
8月2日(前場)に日経平均は一時2000円超も急落し、36,107円の安値を付けました。これにより、第(4)波ターゲットレンジへの突入をはたしました。最終的なものでないにせよ、いったんの底入れは近いかもしれません。
もっとも、高値からの下げ率が20%を超える、「弱気相場」に突入した場合は、[33,772円-30,583円](※)が下値レンジとして適当です。それは、第(3)波中のレッサー・ディグリーマルⅳ波が動いた領域のことです。
第(4)波はジグザグ以外の、フラットやトライアングルなど、保ち合いパターンになる可能性が高いでしょう。筆者は今秋に日経平均が4年サイクル底を付ける可能性をみていますが、そのときの安値はおそらく、保ち合いパターンにおけるA波終点に相当するでしょう。
(※) 第1波高値と第4波安値は通常、重なることはありません。今回でいえば、第(4)波安値が第(1)波高値(30,795円)を下回ることはない、といえます。今回想定される保ち合いでは、パターン終点の安値が第(1)波を下抜くことは決してありません。しかしパターン中A波の安値が、第(1)波の高値と(瞬時)重なることはあり得ます。
【日経平均 日足・エリオット波動分析】
7月11日高値(42,426円)から8月1日(前場)安値(36,107円)までの下げ幅(6319円)と下げ率(14.90%)はおよそ2年ぶりの大きさです。7月からの調整がインターミディエイト級であるのは明白です。
【日経平均 時間足・エリオット波動分析】
42,426円(7/11高値)から37,611円(7/26安値)まで、日経平均は10営業日で4815円下げました。この部分を暫定的にⓐ波、そこから39,188円(7/31高値)までをⓑ波とし、以来ⓒ波による下落とみることができます。
ⓒ波の長さがⓐ波の0.618倍と仮定すると、[36,211円]が得られます。これは8月2日前場安値(36,107円)に近似です。
次にⓒ波とⓐ波が等しく下げるとみた場合、[34,373円]が導かれます。これは第(4)波の参考下値レンジ[36,312円-34,005円]の下限に近いものです。
足元の日経平均は極端に下がり過ぎの状態です。
例えば8月2日前引け時点で、25日MAから9%下方にかい離しています。
最終底を付けたかは不明ですが、遠からず日経平均は本格的リバウンドを迎えると思われます。
[NYダウ]
【NYダウ日足・エリオット波動分析】
22年10月(28,660ドル)からの上昇は、プライマリー級➃波中(B)波に当たります。あるいは、それをプライマリー級➄波の上昇とみることもできます。いずれにしても、現行の上昇後には大きなスケールの下落となり、いずれ22年10月安値を窺う展開が想定されます。
今のところ、41,376ドル(7/18高値)を以て(B)波or ➄波が完了したかを見定める局面です(時間足分析を参照)。NYダウの天井打ちが確認されてからは、当面は200日MA※へ向けた下げとなるでしょう。
※200日MA…37,914ドル(8/1)
【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
3月下旬からのトライアングルから上放れ、「最後の上昇」に入ったNY ダウは、41,376ドル(7/18高値)を以て(B)波or ➄波が完了した可能性があります。
目先では39,807ドル(8/1安値)を終値で下抜くかに注目しています。そうなれば、NYダウが重要な天井を付けたことの最初の感触が得られます。
39,807ドル割れによって7月高値と8月高値の[ダブル・トップ]が確認され、さらに6月中旬からの上昇サポートラインからの下放れとなります。
その反面39,807ドルを維持する限りにおいて、引き続き7月高値を窺う「最終最後の上昇」の目は残ります。ただ仮にNYダウが7月高値を上抜くことがあっても、それは大型テック株から景気敏感株へのローテーションを意味するものとはならず、ナスダックやSOX指数などと「未確認」(天井パターン)を形成するにとどまるでしょう。
[ナスダック]
【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます(あるいはプライマリー級第➄波)。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。
18,671(7/11高値)を以て(B)波は完了し、そこから(C)波の下落がスタートした可能性があります。
17,033(7/25)は第(i)波終点(7月高値から連続する5波構成がみてとれます)、そこからの第(ii)波は[エクスパンディッド・フラット]を形成し、17,791(8/1高値)を以て終了した可能性があります。
17,015(7/30安値)を下抜くと、第(iii)波による下落トレンドが始まった可能性が高まります。まず100日MA※が試されるでしょうが、下げ渋っても一時的でしょう。
現行波動カウントが正しければ、次はダイナミックな下げが想定されます。
※100日MA…16,870(8/1)
【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・日足エリオット波動分析】
5931(7/11高値)を以て、22年10月からの(B)波による上昇は完了した可能性があります。
8月1日にSOX指数は急落しました。7月高値(5931)からこの日の安値(4801)まで下げ率は19.04%に広がりました(ザラバベース)。今年3月~4月の下げ率(17.82%)を上回り、「弱気相場」入り(20%超の下げ)が目前です。
SOX指数は5240(7/31高値)から、第(iii)波による急落局面に入った可能性があります。そうであれば短期的にも、200日MA※を試す下振れがありそうです。
※200日MA…4561(8/1)
[米ドル/円]
2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。
【月足・エリオット波動分析】
7月11日、政府・日銀は3兆5000億円程度のドル売り・円買い介入(今年3回目)を行なったとされています(注1)。さらに7月31日の決定会合で日銀は、短期金利を0.1%⇒0.25%に引き上げました。
このような「介入+金融政策の変更」というポリシーミックス効果は絶大でした。ドル/円は一気に下落し、長期上昇チャネルからの極端な上振れ状態(スローオーバー)は完全に解消されました。
22年秋の経験から、筆者は2回目の円買い介入を侮ってはいけない、と注意喚起をしていました(注2)。今回の介入+追加利上げは─それだけでなく植田日銀総裁は年内さらなる利上げの可能性にも言及しています─円売りポジションを大きく膨らませていた投機筋を一瞬で沈黙させることに成功し、今後は迂闊に円を売りづらい雰囲気をも高めた、といえそうです。
なお今回の円相場の急変によって、『161.938円(7/3)は8年サイクル高値である』という見方は、ほぼ固まったといえます。
(注1) 7月31日、財務省は6月27日~7月29日の間に5兆5,348億円の円買いドル売りの為替介入を行った、と発表しました。
(注2) YouTube エリオットView (7月1日収録)「円安バブル、崩壊へ?」など
【週足・エリオット波動分析】
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。
B波は161.938円(7/3)を以て完成したと思われます。それはB波の目標値[161.350円]を満たすものでした。この見方が正しければ、足元はC波(ドル安・円高)の序盤に当たります。
C波の長さについては、A波が有効な「ものさし」になります。
A波の長さは24.741円(およそ25円)でしたから、C波の長さも同様と考えると、137円辺りがC波のターゲットになります。
一方、足元ドル/円水準は23年1月からのサポートラインに達しており、ここからはリバウンドもありそうです。
【日足・エリオット波動分析】
『円安バブル』は崩壊し、本来あるべき水準への回帰が進んでいます。
筆者の見立て通り、米長期金利は大幅に低下しています。8月1日に米10年長期金利は4%を下回り、日米金利差は一段と縮小しました。
[日米実質金利差による推計値]…144.779円
中期的に金利差は一段と縮小し、この先もドル/円は水準を大きく切り下げるでしょう。
もっとも短期的には、ドル/円の底入れ・リバウンドはあるかもしれません。8月1日には一時148.495円と、フィボナッチ比率からの節目[148.652円]に達しています。
[148.652円]…23年1月から今年7月までのドル/円上昇に対する38.2%押し水準
[ドルインデックス(ドル指数)]
【週足・エリオット波動分析】
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中です。
足元はⓔ波のドル高局面とみられます。この見方通りなら、まもなくB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。
派生的な見方として、「トライアングルは105.915(6/21)を以て既に完成しており、そこからはC波によるドル安が始まっている」というものがあります。
いずれにしても、今後の大幅なドル安が想定されます。
ただし106.517(4/16)を上抜く動きとなったときは、短期的なドル安見通しはいったん撤回され、別のオプションが必要になります。
エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。
[日経平均]
【当面の想定レンジ】 34,000~39,000円
[NYダウ]
【当面の想定レンジ】 32,000~40,600ドル
[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~17,850
[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~158.000円
[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~108.350
[日経平均]
【週足・エリオット波動分析】
42,426円(7/11高値)以来、インターミディエイト級の第(4)波による調整が進行中とみています。
この波動カウントに基づくと、第(4)波の大きさを測る上で比較対象となるのは、インターミディエイト級の第(2)波です。第(2)波と第(4)波は同じディグリー(段階)に属しており、調整規模が近しくなると考えることができます。
インターミディエイト級第(2)波の内容
始点高値30,795円(21年9月14日)⇒終点安値24,681円(22年3月9日)
下げ幅(6114円)、下げ率(19.85%)、期間(6カ月)、パターン(ジグザグ)
これらから、インターミディエイト級第(4)波の下値メドとして以下の水準が得られます。
第(4)波ターゲット(参考値)…[36,312円](7月高値から6114円安)~[34,005円](同19.85%安)
このレンジは、第(3)波の上昇幅の38.2%押し水準[35,648円]を内包します。
8月2日(前場)に日経平均は一時2000円超も急落し、36,107円の安値を付けました。これにより、第(4)波ターゲットレンジへの突入をはたしました。最終的なものでないにせよ、いったんの底入れは近いかもしれません。
もっとも、高値からの下げ率が20%を超える、「弱気相場」に突入した場合は、[33,772円-30,583円](※)が下値レンジとして適当です。それは、第(3)波中のレッサー・ディグリーマルⅳ波が動いた領域のことです。
第(4)波はジグザグ以外の、フラットやトライアングルなど、保ち合いパターンになる可能性が高いでしょう。筆者は今秋に日経平均が4年サイクル底を付ける可能性をみていますが、そのときの安値はおそらく、保ち合いパターンにおけるA波終点に相当するでしょう。
(※) 第1波高値と第4波安値は通常、重なることはありません。今回でいえば、第(4)波安値が第(1)波高値(30,795円)を下回ることはない、といえます。今回想定される保ち合いでは、パターン終点の安値が第(1)波を下抜くことは決してありません。しかしパターン中A波の安値が、第(1)波の高値と(瞬時)重なることはあり得ます。
【日経平均 日足・エリオット波動分析】
7月11日高値(42,426円)から8月1日(前場)安値(36,107円)までの下げ幅(6319円)と下げ率(14.90%)はおよそ2年ぶりの大きさです。7月からの調整がインターミディエイト級であるのは明白です。
【日経平均 時間足・エリオット波動分析】
42,426円(7/11高値)から37,611円(7/26安値)まで、日経平均は10営業日で4815円下げました。この部分を暫定的にⓐ波、そこから39,188円(7/31高値)までをⓑ波とし、以来ⓒ波による下落とみることができます。
ⓒ波の長さがⓐ波の0.618倍と仮定すると、[36,211円]が得られます。これは8月2日前場安値(36,107円)に近似です。
次にⓒ波とⓐ波が等しく下げるとみた場合、[34,373円]が導かれます。これは第(4)波の参考下値レンジ[36,312円-34,005円]の下限に近いものです。
足元の日経平均は極端に下がり過ぎの状態です。
例えば8月2日前引け時点で、25日MAから9%下方にかい離しています。
最終底を付けたかは不明ですが、遠からず日経平均は本格的リバウンドを迎えると思われます。
[NYダウ]
【NYダウ日足・エリオット波動分析】
22年10月(28,660ドル)からの上昇は、プライマリー級➃波中(B)波に当たります。あるいは、それをプライマリー級➄波の上昇とみることもできます。いずれにしても、現行の上昇後には大きなスケールの下落となり、いずれ22年10月安値を窺う展開が想定されます。
今のところ、41,376ドル(7/18高値)を以て(B)波or ➄波が完了したかを見定める局面です(時間足分析を参照)。NYダウの天井打ちが確認されてからは、当面は200日MA※へ向けた下げとなるでしょう。
※200日MA…37,914ドル(8/1)
【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
3月下旬からのトライアングルから上放れ、「最後の上昇」に入ったNY ダウは、41,376ドル(7/18高値)を以て(B)波or ➄波が完了した可能性があります。
目先では39,807ドル(8/1安値)を終値で下抜くかに注目しています。そうなれば、NYダウが重要な天井を付けたことの最初の感触が得られます。
39,807ドル割れによって7月高値と8月高値の[ダブル・トップ]が確認され、さらに6月中旬からの上昇サポートラインからの下放れとなります。
その反面39,807ドルを維持する限りにおいて、引き続き7月高値を窺う「最終最後の上昇」の目は残ります。ただ仮にNYダウが7月高値を上抜くことがあっても、それは大型テック株から景気敏感株へのローテーションを意味するものとはならず、ナスダックやSOX指数などと「未確認」(天井パターン)を形成するにとどまるでしょう。
[ナスダック]
【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます(あるいはプライマリー級第➄波)。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。
18,671(7/11高値)を以て(B)波は完了し、そこから(C)波の下落がスタートした可能性があります。
17,033(7/25)は第(i)波終点(7月高値から連続する5波構成がみてとれます)、そこからの第(ii)波は[エクスパンディッド・フラット]を形成し、17,791(8/1高値)を以て終了した可能性があります。
17,015(7/30安値)を下抜くと、第(iii)波による下落トレンドが始まった可能性が高まります。まず100日MA※が試されるでしょうが、下げ渋っても一時的でしょう。
現行波動カウントが正しければ、次はダイナミックな下げが想定されます。
※100日MA…16,870(8/1)
【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・日足エリオット波動分析】
5931(7/11高値)を以て、22年10月からの(B)波による上昇は完了した可能性があります。
8月1日にSOX指数は急落しました。7月高値(5931)からこの日の安値(4801)まで下げ率は19.04%に広がりました(ザラバベース)。今年3月~4月の下げ率(17.82%)を上回り、「弱気相場」入り(20%超の下げ)が目前です。
SOX指数は5240(7/31高値)から、第(iii)波による急落局面に入った可能性があります。そうであれば短期的にも、200日MA※を試す下振れがありそうです。
※200日MA…4561(8/1)
[米ドル/円]
2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。
【月足・エリオット波動分析】
7月11日、政府・日銀は3兆5000億円程度のドル売り・円買い介入(今年3回目)を行なったとされています(注1)。さらに7月31日の決定会合で日銀は、短期金利を0.1%⇒0.25%に引き上げました。
このような「介入+金融政策の変更」というポリシーミックス効果は絶大でした。ドル/円は一気に下落し、長期上昇チャネルからの極端な上振れ状態(スローオーバー)は完全に解消されました。
22年秋の経験から、筆者は2回目の円買い介入を侮ってはいけない、と注意喚起をしていました(注2)。今回の介入+追加利上げは─それだけでなく植田日銀総裁は年内さらなる利上げの可能性にも言及しています─円売りポジションを大きく膨らませていた投機筋を一瞬で沈黙させることに成功し、今後は迂闊に円を売りづらい雰囲気をも高めた、といえそうです。
なお今回の円相場の急変によって、『161.938円(7/3)は8年サイクル高値である』という見方は、ほぼ固まったといえます。
(注1) 7月31日、財務省は6月27日~7月29日の間に5兆5,348億円の円買いドル売りの為替介入を行った、と発表しました。
(注2) YouTube エリオットView (7月1日収録)「円安バブル、崩壊へ?」など
【週足・エリオット波動分析】
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。
B波は161.938円(7/3)を以て完成したと思われます。それはB波の目標値[161.350円]を満たすものでした。この見方が正しければ、足元はC波(ドル安・円高)の序盤に当たります。
C波の長さについては、A波が有効な「ものさし」になります。
A波の長さは24.741円(およそ25円)でしたから、C波の長さも同様と考えると、137円辺りがC波のターゲットになります。
一方、足元ドル/円水準は23年1月からのサポートラインに達しており、ここからはリバウンドもありそうです。
【日足・エリオット波動分析】
『円安バブル』は崩壊し、本来あるべき水準への回帰が進んでいます。
筆者の見立て通り、米長期金利は大幅に低下しています。8月1日に米10年長期金利は4%を下回り、日米金利差は一段と縮小しました。
[日米実質金利差による推計値]…144.779円
中期的に金利差は一段と縮小し、この先もドル/円は水準を大きく切り下げるでしょう。
もっとも短期的には、ドル/円の底入れ・リバウンドはあるかもしれません。8月1日には一時148.495円と、フィボナッチ比率からの節目[148.652円]に達しています。
[148.652円]…23年1月から今年7月までのドル/円上昇に対する38.2%押し水準
[ドルインデックス(ドル指数)]
【週足・エリオット波動分析】
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中です。
足元はⓔ波のドル高局面とみられます。この見方通りなら、まもなくB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。
派生的な見方として、「トライアングルは105.915(6/21)を以て既に完成しており、そこからはC波によるドル安が始まっている」というものがあります。
いずれにしても、今後の大幅なドル安が想定されます。
ただし106.517(4/16)を上抜く動きとなったときは、短期的なドル安見通しはいったん撤回され、別のオプションが必要になります。
エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。