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カナダ中銀は利下げ決定! 追加利下げにも言及

2024/07/25 09:11

【ポイント】
BOC(カナダ中銀)総裁の会見はハト派的
BOCは次回9月の会合でも利下げする可能性あり
・米経済指標で市場のFRB利下げ観測が強まるか

(欧米市場レビュー)

24日、欧米時間の外為市場では、が全面高の展開。一時、米ドル/円は153.096円、ユーロ/円は166.104円、豪ドル/円は100.998円、NZドル/円は90.969円へと下落。いずれも、およそ2カ月半ぶりの安値をつけました。日銀が30-31日の金融政策決定会合で追加利上げを行うとの観測が、円の支援材料となりました。

カナダドルは軟調。米ドル/カナダドルは一時1.38117カナダドルへと上昇し、4月17日以来およそ3カ月ぶりの高値をつけました。BOC(カナダ中銀)は0.25%の利下げを行うことを決定。利下げは市場予想通りの結果だったものの、マックレムBOC総裁が会見で追加利下げの可能性に言及したことが、カナダドルに対する下押し圧力となりました(BOC会合の詳細については後述)。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の4-6月期のGDP(国内総生産)速報値が発表されます(日本時間21:30)。その結果が材料になりそうです。

市場予想はGDPが前期比年率2.0%、コアPCE(個人消費支出)が同2.7%です。GDP成長率は1-3月期の1.4%から高まるとみられる一方で、コアPCEの上昇率は1-3月期の3.7%から鈍化するとみられています。

GDPやコアPCEが市場予想を下回る結果になれば、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が強まる可能性があります。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円には下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わりそうです。

日銀の金融政策に関するニュースにも注目です。昨日24日には「日銀は30-31日の金融政策決定会合で利上げを行うかどうかを議論する」と報じられました。日銀の金融政策について新たなニュースが出てくれば、材料になる可能性があります。

***

BOC(カナダ中銀)は24日に政策会合を開き、0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を4.75%から4.50%へと引き下げました。利下げは2会合連続です。BOCは利下げについて、「広範な物価上昇圧力が緩和を続け、インフレ率は(目標の)2%に近づくと予想されるため」と説明しました。

会合後に行われたマックレムBOC総裁の会見では、ハト派的な発言が目立ちました。

マックレム総裁は会見で、「(カナダ)経済における供給過剰が増えている」、「これ以上の供給過剰は必要ない。成長と雇用創出が回復し始める必要がある」、「家計支出は弱く、労働市場には緩みの兆候がある」、「インフレ率を目標に戻すための要素は揃っているとの確信を強めている」、「金融政策の討議において、インフレの下振れリスクが重視されるようになっている」などと述べました。

マックレム総裁はまた、「金融政策は依然として(景気)抑制的」との認識を示し、「(カナダ)経済を過度に軟化させて、インフレ率が2%の目標を下回ることを望んでいない」と強調。「インフレ率がおおむね(BOCの)想定通りに鈍化し続ければ、政策金利のさらなる引き下げを予想するのが妥当だ」と述べ、追加利下げの可能性に言及。追加利下げのタイミングについては、あらかじめ決められた道筋はなく「会合ごとに(是非を)判断していく」としました。

BOCの次回政策会合は9月4です。それまでにカナダの7月雇用統計(8/9)、7月CPI(消費者物価指数。8/20)、4-6月期GDP(国内総生産。8/30)が発表されます。それらが弱い結果になれば、BOCは9月の会合で追加利下げを行う確率が高まりそうです。今後、BOCの追加利下げ観測が強まる場合、カナダドルには下押し圧力が加わりそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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