エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※7月19日更新
2024/07/19 11:49
宮田レポート
[日経平均]
【当面の想定レンジ】 35,000~42,500円
[NYダウ]
【当面の想定レンジ】 32,000~41,000ドル
[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~18,350
[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~162.000円
[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~108.350
[日経平均]

【週足・エリオット波動分析】
6月下旬よりトライアングルから上放れた波動は、22年3月安値(24,681円)を起点とするインターミディエイト級第(3)波における、マイナー級第5波に位置付けられます。
この第5波は42,426円(7/11高値)を以て完了したとみられます。
水準面では、第1波と第5波はほぼ1:236のフィボナッチ比率関係[42,470円]となっていました。さらにチャートは、21年2月高値から引いたレジスタンスラインへの到達もはたしています。
同じ日のTOPIX終値は2929となり(ザラバ高値は2946)、第1波と第5波が等しく上がる水準[2931]を達成しています。
さらにトライアングルからの上放れ(第5波)はごく短期にとどまりました。「とても強いが、短期で終了する」という(トライアングル後の)第5波の特徴を表しています。
週足ローソク足をみると、先週(7月2週)出現した長大な上ヒゲを持つ「流星」に続き、今週はおそらく「包み(大)陰線」が見込まれます。これらは日経平均の重要な天井打ちを示唆しています。
22年3月以来の➂波-(3)波「サード・オブ・サード」は、2年4カ月かけて完成したとみられます。
この見方が正しければ、今は➂波-(4)波調整の序盤にあります。この調整は9~11月まで続き、それを以て日経平均は4年サイクル底を付けることでしょう。
今月のマンスリー・フォーカス(No.42)に書いたように、日経平均は高値から15%~20%調整する可能性があります。7月高値42,426円から15%~20%の調整は3万6000円~3万4000円であり、4年サイクル底のターゲットレンジとして注目です。

【日経平均 日足・エリオット波動分析】
37,950円(6/17安値)以来の上昇・マイナー級第5波は、42,426円(7/11高値)を以て完成し、そこからはインターミディエイト級第(4)波の調整とみられます。
7月12日、アイランド・ギャップを空けて1033円もの急落(3年3カ月ぶり下げ幅)。さらに18日には二つ目のギャップを空け、971円安となりました。
7月17日にはパラボリックSARが、翌18日はMACDが、各々売り転換しています。18日終値は一目均衡表の基準線(40,188円)を下回りました。弱気の動きは次のステージを迎えたようです。
日経平均は目先、4万円大台~25日MA(※)の攻防と思われます。
25日MAを終値で下抜くと、第5波の上昇に対する61.8%押し水準・[39,660円]を試す局面を迎えるでしょう。

[NYダウ]

【NYダウ日足・エリオット波動分析】
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)以来、プライマリー級➃波展開中とみられます。22年10月からの上昇は➃波における(B)波であり、それは「不規則天井(イレギュラー・トップ)」です。(B)波の後に続く(C)波の下落スケールは、(A)波の下落(22年1月~22年10月)に匹敵するか、あるいは、より大きなものになるでしょう。
22年10月安値(28,660ドル)を起点とする➃波中(B)波は、ダブル・ジグザグ[W-X-Y]を形成しており、23年10月安値(32,327ドル)からの上昇はY波ジグザグ[(a)-(b)-(c)]に当たります。
あるいは、22年10月安値以来の上昇はプライマリー級の第➄波かもしれません(後述)。
NYダウは[トライアングル]から上放れていますが、それは「最後の上昇」とみられます。
なお今週は半導体株が急落する一方でNYダウや小型株が逆行高となっており、この先は出遅れ株を物色する動きが強まる展開に期待する声が高まっています。
もっとも、筆者はそのような潮流は一時的なものとみています。
00年のドットコム・バブル崩壊のときは、ナスダックは高値から78%下落し、S&P500は50%下げました。それらに比べると「オールドエコノミー銘柄」で構成されるNYダウの下げは限られましたが、それでも高値からの調整は38%を超えました。
ここ2年程度の米株高はナスダックが主導しましたし、S&P500もその恩恵を享受してきました。今後は逆の動きが、つまり想定している米株安はナスダックがけん引すると思われます。
この先、ナスダックやSOX指数などが大きく下げる中で、NYダウが「相対的に」下げない可能性はあるでしょう。しかし、絶対水準での上昇が持続するかは疑問です。

【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
3月高値からの(b)波は[トライアングル]と解釈できます。それは38,937ドル(6/28安値)で完成し、以来、(c)波による上昇とみられます。
もう一つの波動カウントとしては、現在進行中の上昇は第➄波であり、その完成を以て22年10月安値(28,660ドル)からの5波構成による強気相場はすべて終わります。
ちなみに、上記二つの見方の間に大きな差はなく、重要な天井が接近しているという点で共通しています。
[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます(あるいはプライマリー級第➄波)。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。
➃-(B)波による上昇は[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]編成です。今年4月安値(15,222)からは、Y波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)中ⓒ波による上昇とみられます。
7月11日には一時18,671まで上昇し、フィボナッチ比率の節目に達しました。
[18,551]…➃-(B)波の上昇幅が、➃-(A)波(21年11月~22年1月)の下落幅に対し1.382倍
加えてこの日のローソク足「包み大陰線」は、ナスダックのピークアウトを暗示するものでした。
7月17日にナスダックは大きなギャップを空けて急落しましたが、それは上昇トレンド終了を意味する[Breakaway Gap]の可能性が高いでしょう。このギャップが埋められない限り、ナスダックが弱気トレンドに転じたというシナリオは支持されます。

【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・長期エリオット波動分析】
[基本シナリオ(プリファード・カウント)]
SOX指数は、08年11月安値(167)以来の第➂波による上昇を22年1月高値(4068)で完了し、そこからは第➃波の調整が展開している、とみています。
これまで書いてきたように、この第➃波は[エクスパンディッド・フラット]か[ランニング・フラット]を形成するとみられ、22年10月安値(2089)からは(B)波の上昇に位置付けられます。
(B)波が終わった後には(C)波による下落トレンドが続きます。
それは➃-(A)波(22年1月~22年10月)の下落率(48.63%安)に匹敵するか、あるいはそれを超えるスケールでの下落が見込まれます。
[代替シナリオ(オルタナティブ・カウント)]
上記の基本観に代わる見方として、「22年10月安値から足元までの上昇が第➄波」をあげられます。このケースだと、第➄波完成後の調整は(基本観に比べ)より深く、より長期にわたるものになるでしょう。


[米ドル/円]

2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。
【月足・エリオット波動分析】
161.938円(7/3)を以て、8年サイクル高値を付けた可能性が高い、とみています。
足元、メディアやSNSを通じて「円買い介入でも円安は止められない」「1ドル=200円説」などという極端なフレーズが飛び交い、「円安は構造的なもの」と永久に円安が続くかのようにいわれてきました。しかし相場は循環論で語るべきものであり、誰もが納得しやすい相場の理屈や構造論が持ち込まれたとき、その相場は大抵終わりに近いものです。今回でいえば、誰もが円安継続を信じて疑わないからこそ、円安バブルの終わりが近いことが暗示されていました。
月足は、長期上昇チャネルの上側から大きく逸脱していますが─今月のチャネル上限は153.750円に位置します─このように「極端に上がり過ぎ」の状態は長続きせず、いずれチャネル内に回帰する公算が大きいと思われます。
7月11日の日本時間21時半に米CPI(予想を下回る結果)が発表されると、円相場は円高に大きく振れました。政府・日銀が3兆円超の規模で、ドル売り・円買い介入を実施との観測があります。
また翌12日には、ユーロ/円に対するレートチェック報道もあり、ユーロに対しても円買い介入が入るのではと警戒され始めました。
これら政府・日銀による一連のアクションにより大きなトレンドが劇的に変わるとはいえませんが、少なくとも「円安パニック」「円安バブル」終息への、最初のきっかけにはなり得るでしょう。
今回は特に、円安から円高への基調転換は対米ドルだけでなく、他の主要通貨に対しても広がり始めた点に注目しています(名目実効円レートは円高に動き始めています)。

【週足・エリオット波動分析】
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。
B波は161.938円(7/3)を以て完成したと思われます。それはB波の目標値[161.350円]を満たすものでした。この見方が正しければ、足元はC波(ドル安・円高)の序盤に当たります。
C波の長さについては、A波が有効な「ものさし」になります。
A波の長さは24.741円(およそ25円)でしたから、C波の長さも同様と考えると、137円辺りがC波のターゲットになります。

【日足・エリオット波動分析】
4月に入ってからの急激なドル/円上昇(152円⇒161円)は、日米実質金利差を反映しておらず、専ら投機によってもたらされました。『円安バブル』と呼べる過剰な円安は、今後はあるべき水準へ修正されていくと思われます。
[日米実質金利差による推計値]…147.402円

筆者は、米長期金利の大幅な低下≒大幅な米ドル安を見込んでいます(実際そうなってきました)。
今後は日米実質金利差の縮小に沿って、ドル/円は150円を下回っていくでしょう。
足元は100日MA(※)が下値として意識されやすく、目先は反発機運の高まりがみられるでしょう。もっとも反発は短期にとどまり、遠からず200日MAを打診する可能性が高いと考えます。
※100日MA…155.210円(7/19)、200日MA・・・151.440円(同)

【時間足・エリオット波動分析】
昨年末の140.244円からのドル高・円安は、161.938円(7/3)を以て終わり、トレンドは円安から円高へ転換したと思われます。
節目としていた158円を明確に下抜き、7月18日には1カ月半ぶり円高となりました(一時155.363円)。この水準は(前述のように)100日MAに近く、いったんはリバウンドの動きがありそうです。
38%-62%戻りでみれば、157.900円-159.450円が上値メドとなります。
目先リバウンド終了後に次のドル安・円高局面が想定されます。それは当面、153.594円(5/16)を打診することでしょう。

[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足・エリオット波動分析】
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中であり、足元はⓓ波のドル安局面が進行中です。
おそらく、まもなくB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。
派生的な見方として、「トライアングルは105.915(6/21)を以て既に完成しており、そこからはC波によるドル安が始まっている」というものがあります。
いずれにしても、今後の大幅なドル安を想定しています。
ただし106.517(4/16)を上抜く動きとなったときは、短期的なドル安見通しはいったん撤回され、別のオプションが必要になります。

エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。
[日経平均]
【当面の想定レンジ】 35,000~42,500円
[NYダウ]
【当面の想定レンジ】 32,000~41,000ドル
[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~18,350
[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~162.000円
[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~108.350
[日経平均]

【週足・エリオット波動分析】
6月下旬よりトライアングルから上放れた波動は、22年3月安値(24,681円)を起点とするインターミディエイト級第(3)波における、マイナー級第5波に位置付けられます。
この第5波は42,426円(7/11高値)を以て完了したとみられます。
水準面では、第1波と第5波はほぼ1:236のフィボナッチ比率関係[42,470円]となっていました。さらにチャートは、21年2月高値から引いたレジスタンスラインへの到達もはたしています。
同じ日のTOPIX終値は2929となり(ザラバ高値は2946)、第1波と第5波が等しく上がる水準[2931]を達成しています。
さらにトライアングルからの上放れ(第5波)はごく短期にとどまりました。「とても強いが、短期で終了する」という(トライアングル後の)第5波の特徴を表しています。
週足ローソク足をみると、先週(7月2週)出現した長大な上ヒゲを持つ「流星」に続き、今週はおそらく「包み(大)陰線」が見込まれます。これらは日経平均の重要な天井打ちを示唆しています。
22年3月以来の➂波-(3)波「サード・オブ・サード」は、2年4カ月かけて完成したとみられます。
この見方が正しければ、今は➂波-(4)波調整の序盤にあります。この調整は9~11月まで続き、それを以て日経平均は4年サイクル底を付けることでしょう。
今月のマンスリー・フォーカス(No.42)に書いたように、日経平均は高値から15%~20%調整する可能性があります。7月高値42,426円から15%~20%の調整は3万6000円~3万4000円であり、4年サイクル底のターゲットレンジとして注目です。

【日経平均 日足・エリオット波動分析】
37,950円(6/17安値)以来の上昇・マイナー級第5波は、42,426円(7/11高値)を以て完成し、そこからはインターミディエイト級第(4)波の調整とみられます。
7月12日、アイランド・ギャップを空けて1033円もの急落(3年3カ月ぶり下げ幅)。さらに18日には二つ目のギャップを空け、971円安となりました。
7月17日にはパラボリックSARが、翌18日はMACDが、各々売り転換しています。18日終値は一目均衡表の基準線(40,188円)を下回りました。弱気の動きは次のステージを迎えたようです。
日経平均は目先、4万円大台~25日MA(※)の攻防と思われます。
25日MAを終値で下抜くと、第5波の上昇に対する61.8%押し水準・[39,660円]を試す局面を迎えるでしょう。

[NYダウ]

【NYダウ日足・エリオット波動分析】
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)以来、プライマリー級➃波展開中とみられます。22年10月からの上昇は➃波における(B)波であり、それは「不規則天井(イレギュラー・トップ)」です。(B)波の後に続く(C)波の下落スケールは、(A)波の下落(22年1月~22年10月)に匹敵するか、あるいは、より大きなものになるでしょう。
22年10月安値(28,660ドル)を起点とする➃波中(B)波は、ダブル・ジグザグ[W-X-Y]を形成しており、23年10月安値(32,327ドル)からの上昇はY波ジグザグ[(a)-(b)-(c)]に当たります。
あるいは、22年10月安値以来の上昇はプライマリー級の第➄波かもしれません(後述)。
NYダウは[トライアングル]から上放れていますが、それは「最後の上昇」とみられます。
なお今週は半導体株が急落する一方でNYダウや小型株が逆行高となっており、この先は出遅れ株を物色する動きが強まる展開に期待する声が高まっています。
もっとも、筆者はそのような潮流は一時的なものとみています。
00年のドットコム・バブル崩壊のときは、ナスダックは高値から78%下落し、S&P500は50%下げました。それらに比べると「オールドエコノミー銘柄」で構成されるNYダウの下げは限られましたが、それでも高値からの調整は38%を超えました。
ここ2年程度の米株高はナスダックが主導しましたし、S&P500もその恩恵を享受してきました。今後は逆の動きが、つまり想定している米株安はナスダックがけん引すると思われます。
この先、ナスダックやSOX指数などが大きく下げる中で、NYダウが「相対的に」下げない可能性はあるでしょう。しかし、絶対水準での上昇が持続するかは疑問です。

【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
3月高値からの(b)波は[トライアングル]と解釈できます。それは38,937ドル(6/28安値)で完成し、以来、(c)波による上昇とみられます。
もう一つの波動カウントとしては、現在進行中の上昇は第➄波であり、その完成を以て22年10月安値(28,660ドル)からの5波構成による強気相場はすべて終わります。
ちなみに、上記二つの見方の間に大きな差はなく、重要な天井が接近しているという点で共通しています。
[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます(あるいはプライマリー級第➄波)。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。
➃-(B)波による上昇は[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]編成です。今年4月安値(15,222)からは、Y波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)中ⓒ波による上昇とみられます。
7月11日には一時18,671まで上昇し、フィボナッチ比率の節目に達しました。
[18,551]…➃-(B)波の上昇幅が、➃-(A)波(21年11月~22年1月)の下落幅に対し1.382倍
加えてこの日のローソク足「包み大陰線」は、ナスダックのピークアウトを暗示するものでした。
7月17日にナスダックは大きなギャップを空けて急落しましたが、それは上昇トレンド終了を意味する[Breakaway Gap]の可能性が高いでしょう。このギャップが埋められない限り、ナスダックが弱気トレンドに転じたというシナリオは支持されます。

【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・長期エリオット波動分析】
[基本シナリオ(プリファード・カウント)]
SOX指数は、08年11月安値(167)以来の第➂波による上昇を22年1月高値(4068)で完了し、そこからは第➃波の調整が展開している、とみています。
これまで書いてきたように、この第➃波は[エクスパンディッド・フラット]か[ランニング・フラット]を形成するとみられ、22年10月安値(2089)からは(B)波の上昇に位置付けられます。
(B)波が終わった後には(C)波による下落トレンドが続きます。
それは➃-(A)波(22年1月~22年10月)の下落率(48.63%安)に匹敵するか、あるいはそれを超えるスケールでの下落が見込まれます。
[代替シナリオ(オルタナティブ・カウント)]
上記の基本観に代わる見方として、「22年10月安値から足元までの上昇が第➄波」をあげられます。このケースだと、第➄波完成後の調整は(基本観に比べ)より深く、より長期にわたるものになるでしょう。


[米ドル/円]

2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。
【月足・エリオット波動分析】
161.938円(7/3)を以て、8年サイクル高値を付けた可能性が高い、とみています。
足元、メディアやSNSを通じて「円買い介入でも円安は止められない」「1ドル=200円説」などという極端なフレーズが飛び交い、「円安は構造的なもの」と永久に円安が続くかのようにいわれてきました。しかし相場は循環論で語るべきものであり、誰もが納得しやすい相場の理屈や構造論が持ち込まれたとき、その相場は大抵終わりに近いものです。今回でいえば、誰もが円安継続を信じて疑わないからこそ、円安バブルの終わりが近いことが暗示されていました。
月足は、長期上昇チャネルの上側から大きく逸脱していますが─今月のチャネル上限は153.750円に位置します─このように「極端に上がり過ぎ」の状態は長続きせず、いずれチャネル内に回帰する公算が大きいと思われます。
7月11日の日本時間21時半に米CPI(予想を下回る結果)が発表されると、円相場は円高に大きく振れました。政府・日銀が3兆円超の規模で、ドル売り・円買い介入を実施との観測があります。
また翌12日には、ユーロ/円に対するレートチェック報道もあり、ユーロに対しても円買い介入が入るのではと警戒され始めました。
これら政府・日銀による一連のアクションにより大きなトレンドが劇的に変わるとはいえませんが、少なくとも「円安パニック」「円安バブル」終息への、最初のきっかけにはなり得るでしょう。
今回は特に、円安から円高への基調転換は対米ドルだけでなく、他の主要通貨に対しても広がり始めた点に注目しています(名目実効円レートは円高に動き始めています)。

【週足・エリオット波動分析】
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。
B波は161.938円(7/3)を以て完成したと思われます。それはB波の目標値[161.350円]を満たすものでした。この見方が正しければ、足元はC波(ドル安・円高)の序盤に当たります。
C波の長さについては、A波が有効な「ものさし」になります。
A波の長さは24.741円(およそ25円)でしたから、C波の長さも同様と考えると、137円辺りがC波のターゲットになります。

【日足・エリオット波動分析】
4月に入ってからの急激なドル/円上昇(152円⇒161円)は、日米実質金利差を反映しておらず、専ら投機によってもたらされました。『円安バブル』と呼べる過剰な円安は、今後はあるべき水準へ修正されていくと思われます。
[日米実質金利差による推計値]…147.402円

筆者は、米長期金利の大幅な低下≒大幅な米ドル安を見込んでいます(実際そうなってきました)。
今後は日米実質金利差の縮小に沿って、ドル/円は150円を下回っていくでしょう。
足元は100日MA(※)が下値として意識されやすく、目先は反発機運の高まりがみられるでしょう。もっとも反発は短期にとどまり、遠からず200日MAを打診する可能性が高いと考えます。
※100日MA…155.210円(7/19)、200日MA・・・151.440円(同)

【時間足・エリオット波動分析】
昨年末の140.244円からのドル高・円安は、161.938円(7/3)を以て終わり、トレンドは円安から円高へ転換したと思われます。
節目としていた158円を明確に下抜き、7月18日には1カ月半ぶり円高となりました(一時155.363円)。この水準は(前述のように)100日MAに近く、いったんはリバウンドの動きがありそうです。
38%-62%戻りでみれば、157.900円-159.450円が上値メドとなります。
目先リバウンド終了後に次のドル安・円高局面が想定されます。それは当面、153.594円(5/16)を打診することでしょう。

[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足・エリオット波動分析】
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中であり、足元はⓓ波のドル安局面が進行中です。
おそらく、まもなくB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。
派生的な見方として、「トライアングルは105.915(6/21)を以て既に完成しており、そこからはC波によるドル安が始まっている」というものがあります。
いずれにしても、今後の大幅なドル安を想定しています。
ただし106.517(4/16)を上抜く動きとなったときは、短期的なドル安見通しはいったん撤回され、別のオプションが必要になります。

エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
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