ゴールド堅調、円建て最高値更新 原油は上昇継続
2024/07/05 11:00
<金はしっかり、米金利低下を好感>
今週(7/1─)の米ドル建て金先物は堅調な展開となっています。弱めの米経済指標を受けた米金利低下が好感され2,300ドル台後半まで上昇。日米金利差はやや縮小していますが、ドル円は足元で金利差との連動性を低下させており円安傾向は継続し、金の円建て価格は円安効果が加わることで過去最高値を更新しました。
米ドル建て金先物価格の1週間予想レンジ:2,300─2,450ドル
円建て金先物価格の1週間予想レンジ:11,700─12,700円
*相次ぐ弱めの米経済指標、それでも円安継続
今週の米経済指標ラッシュでは、景気減速を示唆するデータが多くみられました。
6月米ISM景気指数は製造業、非製造業とも節目の50を割り込み、6月ADP全米雇用報告でも民間部門雇用者数が市場予想を下回りました。5月米雇用動態調査(JOLTS)の求人件数は3カ月ぶりに増加に転じたものの、下方修正された4月と合わせてみれば、減少傾向に歯止めがかかったとはまだ言いにくい状況です。
パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長は2日に、最近の米指標が「ディスインフレの道に戻りつつあることを示唆している」という認識を示しています。確信を得るには、まだデータの積み重ねが必要との従来からの認識も示しましたが、市場は利下げ近しと受け止め、金利低下材料としました。
利息の付かない金にとって米金利低下は追い風。また米金利が低下したことで米ドル指数もやや下がりましたが、円安は止まりませんでした。投機的な円売りが増えているほか、相対的に低金利の円を調達資金として外貨で運用する円キャリートレード活発化の可能性もあるとみられています。
金の円建て先物価格は、ドル建て価格の堅調に円安が加わり、3日に1万2,300円台後半まで上昇し過去最高値を更新しました。
米ドル建ては1トロイオンスあたりの価格。円建ては1グラム当たりの価格です。1トロイオンスは31.1035グラム。円建て価格を算出するには、米ドル建て金価格を1グラムあたりの価格に直してから、ドル円を掛ける必要があります。
計算式:米ドル建て価格÷31.1035×ドル円=円建て価格
例:2,374ドル÷31.1035×161.5≒12,326円
この価格に手数料などが上乗せされ店頭で表示される国内小売価格になります。
*円建て金先物の日足(期間:2023/10/25~2024/7/4)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
<原油は上昇継続、需給改善期待や地政学リスクで>
今週のWTI原油先物価格は上昇基調が継続しました。一時84ドル台に乗せ、4月26日以来、約2カ月ぶりの高値を回復しています。弱めの米経済指標に対して、景気減速による需要減懸念よりも金利低下をポジティブ視。米原油在庫の大幅減少による需給改善期待や依然として高い地政学リスクなどもあり、買い優勢の展開となっています。
WTI原油先物価格の1週間予想レンジ:1バレル80─87ドル
*米原油在庫が大幅減
米エネルギー情報局(EIA)が3日に発表した6月28日時点の週間石油在庫統計で、原油在庫は前週比1215.7万バレルの大幅減少。市場予想を上回る2週ぶりの減少となりました。ガソリンも2週ぶり減少。留出油は2週連続で在庫が減少しました。
米原油在庫は増減を繰り返していましたが、前週は23年7月28日時点の1704.9万バレル以来の大幅減少となりました。昨年も夏場にかけて原油在庫は減少傾向を示しており、今年も夏のレジャーシーズンに向けて石油関連の需給がタイトになると期待されています。
地政学リスクも依然高い状態です。イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの侵攻は継続。またイスラエル軍は3日、レバノンのイスラム教シーア派勢力ヒズボラの部隊指揮官であるムハンマド・ナーマ・ナセル氏を殺害したと発表しました。
バイデン米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が4日、パレスチナ自治区ガザの新たな停戦案について電話協議したと伝えられていますが、予断を許しません。
ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原子力発電所がウクライナの無人機(ドローン)による攻撃を受けたとの一部報道もあります。
景気減速を示唆する弱めの米経済指標は、原油価格の下落材料とはならず、金利低下を好感する展開です。出てきた材料の中でポジティブ材料を優先する強気な(リスクオン的な)状況であり、需給改善や地政学リスクも加わる中で、強含みの地合いになっていると言えそうです。
*WTI原油先物の日足(期間:2023/10/24~2024/7/4)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
◆本レポートは、執筆者が信頼に値すると判断した情報に基づいて作成されたものです。あくまで情報提供が目的であり、投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。
◆本レポート内の予想やその他の見解は、出所を明記しているものを除き、執筆者個人のものであり、当社のものではありません。したがって、その内容等について当社は責任を負いかねます。また、当社はこれに関するお問い合わせにはお応えいたしかねますのでご了承ください。
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今週(7/1─)の米ドル建て金先物は堅調な展開となっています。弱めの米経済指標を受けた米金利低下が好感され2,300ドル台後半まで上昇。日米金利差はやや縮小していますが、ドル円は足元で金利差との連動性を低下させており円安傾向は継続し、金の円建て価格は円安効果が加わることで過去最高値を更新しました。
米ドル建て金先物価格の1週間予想レンジ:2,300─2,450ドル
円建て金先物価格の1週間予想レンジ:11,700─12,700円
*相次ぐ弱めの米経済指標、それでも円安継続
今週の米経済指標ラッシュでは、景気減速を示唆するデータが多くみられました。
6月米ISM景気指数は製造業、非製造業とも節目の50を割り込み、6月ADP全米雇用報告でも民間部門雇用者数が市場予想を下回りました。5月米雇用動態調査(JOLTS)の求人件数は3カ月ぶりに増加に転じたものの、下方修正された4月と合わせてみれば、減少傾向に歯止めがかかったとはまだ言いにくい状況です。
パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長は2日に、最近の米指標が「ディスインフレの道に戻りつつあることを示唆している」という認識を示しています。確信を得るには、まだデータの積み重ねが必要との従来からの認識も示しましたが、市場は利下げ近しと受け止め、金利低下材料としました。
利息の付かない金にとって米金利低下は追い風。また米金利が低下したことで米ドル指数もやや下がりましたが、円安は止まりませんでした。投機的な円売りが増えているほか、相対的に低金利の円を調達資金として外貨で運用する円キャリートレード活発化の可能性もあるとみられています。
金の円建て先物価格は、ドル建て価格の堅調に円安が加わり、3日に1万2,300円台後半まで上昇し過去最高値を更新しました。
米ドル建ては1トロイオンスあたりの価格。円建ては1グラム当たりの価格です。1トロイオンスは31.1035グラム。円建て価格を算出するには、米ドル建て金価格を1グラムあたりの価格に直してから、ドル円を掛ける必要があります。
計算式:米ドル建て価格÷31.1035×ドル円=円建て価格
例:2,374ドル÷31.1035×161.5≒12,326円
この価格に手数料などが上乗せされ店頭で表示される国内小売価格になります。
*円建て金先物の日足(期間:2023/10/25~2024/7/4)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
<原油は上昇継続、需給改善期待や地政学リスクで>
今週のWTI原油先物価格は上昇基調が継続しました。一時84ドル台に乗せ、4月26日以来、約2カ月ぶりの高値を回復しています。弱めの米経済指標に対して、景気減速による需要減懸念よりも金利低下をポジティブ視。米原油在庫の大幅減少による需給改善期待や依然として高い地政学リスクなどもあり、買い優勢の展開となっています。
WTI原油先物価格の1週間予想レンジ:1バレル80─87ドル
*米原油在庫が大幅減
米エネルギー情報局(EIA)が3日に発表した6月28日時点の週間石油在庫統計で、原油在庫は前週比1215.7万バレルの大幅減少。市場予想を上回る2週ぶりの減少となりました。ガソリンも2週ぶり減少。留出油は2週連続で在庫が減少しました。
米原油在庫は増減を繰り返していましたが、前週は23年7月28日時点の1704.9万バレル以来の大幅減少となりました。昨年も夏場にかけて原油在庫は減少傾向を示しており、今年も夏のレジャーシーズンに向けて石油関連の需給がタイトになると期待されています。
地政学リスクも依然高い状態です。イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの侵攻は継続。またイスラエル軍は3日、レバノンのイスラム教シーア派勢力ヒズボラの部隊指揮官であるムハンマド・ナーマ・ナセル氏を殺害したと発表しました。
バイデン米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が4日、パレスチナ自治区ガザの新たな停戦案について電話協議したと伝えられていますが、予断を許しません。
ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原子力発電所がウクライナの無人機(ドローン)による攻撃を受けたとの一部報道もあります。
景気減速を示唆する弱めの米経済指標は、原油価格の下落材料とはならず、金利低下を好感する展開です。出てきた材料の中でポジティブ材料を優先する強気な(リスクオン的な)状況であり、需給改善や地政学リスクも加わる中で、強含みの地合いになっていると言えそうです。
*WTI原油先物の日足(期間:2023/10/24~2024/7/4)、青:25日移動平均線、黄:200日移動平均線

(出所:TradingView)
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