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エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※7月5日更新

2024/07/05 11:47

宮田レポ―ト

[日経平均]
【当面の想定レンジ】 35,000~41,500円

[NYダウ] 
【当面の想定レンジ】 32,000~41,000ドル

[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~18,500

[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~162.000円

[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~108.350



[日経平均]

【週足・エリオット波動分析】
3月高値(41,087円)からの調整は[トライアングル]による第4波です。それは、第2波(22年3月~6月)の調整[フラット]とは異なるパターン(交互・オルタネーション)となっていました。

日経平均は、マイナー級第5波による上昇が展開中とみられ、目先的にも最高値を更新するでしょう。
ちなみに、トライアングルに続いて起こる上昇(第5波)の特徴のひとつに、「とても強いが短期間で終了する」というものがあります。

例えば7月中にも41,500円~42,000円へ上伸する可能性がありますが、高値追いには細心の注意と慎重さが必要でしょう。従来の買いポジションを利確していくことも大切です。

22年3月安値(24,681円)から2年超も続いてきた、インターミディエイト級第(3)波は最終局面にあります。ひとたびインターミディエイト級第(4)波の調整に入れば、それは4年サイクル底※へ向けて数カ月の急落となるでしょう。

※4年サイクル底は今年11月までのどこかの時点とみています。

【TOPIX週足・エリオット波動分析】
7月4日のTOPIXは、89年12月18日のバブル高値(2886.50)を上抜き史上最高値を更新しました。この日は一時2900まで上昇しています。東証プライム市場の時価総額は、初めて1000兆円の大台に乗せました。

保ち合いから上放れた直近の波動は、マイナー級第5波とカウントされます。それを以て、22年3月安値(1755)以来続く、インターミディエイト級第(3)波は完成することになります。

2692(6/17安値)を維持する限り、第5波による上値試しの展開は続くとみています。

なおインターミディエイト級・第(3)波中マイナー級第3波「サード・オブ・サード」は延長(エクステンション)された、ダイナミックな上昇でした。したがって現在の第5波は延長せず、おそらく第1波と同程度の上昇にとどまることでしょう。この見方から導かれる、TOPIXの第5波目標値は[2931]です。

【日経平均 日足・エリオット波動分析】
3月高値からの第4波[トライアングル]は、37,950円(6/17安値)を以て完成し、そこからは第5波による上昇です。

第5波は目先的にも41,087円(3/22高値)を上回るでしょう。

37,950円(6/17安値)を下抜くと、次の下落局面・Y波スタートのシグナル点灯となります。
このY波により日経平均は、当面200日MA※を打診する展開となるでしょう。

※100日MA…38,958円
200日MA…36,104円 (ともに7/4大引け時点)



[NYダウ] 

【NYダウ日足・エリオット波動分析】 
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)から、プライマリー級➃波を展開中とみています。22年10月からの上昇は➃波における(B)波であり、それは「不規則天井(イレギュラー・トップ)」です。(B)波の後に続く(C)波の下落スケールは、(A)波の下落(22年1月~22年10月)に匹敵するか、あるいは、より大きなものになるでしょう。

22年10月安値(28,660ドル)を起点とする➃波中(B)波の上昇は、ダブル・ジグザグ[W-X-Y]。23年10月安値(32,327ドル)からの上昇はY波ジグザグ[(a)-(b)-(c)]です。

そしてY波は、40,077ドル(5/20高値)で天井を打ち、➃-(C)波による下落が始まったかもしれません。この見方は38,000ドル(5/30安値)を下抜くことで強められます。そうなると当面は、200日MA※を目指し下落していく展開が想定されます。

※200日MA…37,264ドル(7/3)

もう一つの波動解釈は、Y波の(b)波が[トライアングル]を形成中であり、「最後の上昇」(c)波によって高値更新がある、というものです。


【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
40,077ドル(5/20高値)から38,000ドル(5/30安値)までは第(ⅰ)波による下落、そこから第(ⅱ)波によるリバウンドと位置付けられます。

6月24日には一時39,571ドルまで上昇し、黄金比の節目[39,587ドル](5月高値からの下げに対する76.4%戻り)を達成しました。第(ii)波リバウンドは終わったか、終わりつつあるとみられます。
38,000ドルを下抜くと、第(iii)波の下げに入った可能性が高く、短期的にも37,611ドル(4/18安値)を試すでしょう。

一方、38,000ドルが維持される限り、3月高値からの(b)波を[トライアングル]と解釈できます。
この見方によれば、NYダウは─大きな調整に入る前の─「最後の上昇」により40,077ドルを上抜く展開が想定されます。


[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます(あるいはプライマリー級第➄波)。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。

➃-(B)波による上昇は[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]編成です。今年4月安値(15,222)からは、Y波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)中ⓒ波による上昇とみられます。

7月3日には一時18,188まで上昇し、23年10月以来のチャネル上限に達しました。ナスダックの高値更新は、SOX指数によっては認証されない「未確認」(Non-confirmation)となっています。

さらにⓒ波完了に必要な、(ⅰ)波~(ⅴ)波の五つの波動がすべて揃っています。

引き続き注目ポイントは、6月11日~12日のギャップ(17,345-17,490)埋めです。ギャップ埋めは下落トレンド入りの証左となります。


【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・エリオット波動分析】
22年1月高値(4068)以来のパターンは[エクスパンディッド・フラット]、あるいは[ランニング・フラット]と想定されます。どちらのパターンも内部構造は(A)↘-(B)↗-(C)↘です。

SOX指数は、5792(6/18高値)から(C)波による下落トレンドに入った可能性があります。

短期的な下値メドとして妥当なのは [5343-4988]、レッサーディグリー第(ⅳ)波の領域です。

5000水準を下回った後、想定される下値レンジは[4400-3900]です。


[米ドル/円]

2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。

【月足・エリオット波動分析】 
ドル/円は7月初旬に162円近くへ上昇しました。4月の160.135円を8年サイクル高値※として有力視していましたが、そうではありませんでした。8年サイクル高値の着地点を探る局面は続いています。

いまメディアやSNSを通じて「円買い介入でも円安は止められない」「1ドル=200円説」などという極端なフレーズが飛び交い、「円安は構造的なもの」と永久に円安が続くかのようにいわれていますが、結局のところ相場は循環論であり、誰もが納得しやすい相場の理屈や構造論が持ち込まれたとき、その相場は大抵終わりに近いものです。今回でいえば円安の終わりが近い、ということです。

現在の月足は、長期上昇チャネルの上側から大きく逸脱していますが─今月のチャネル上限は153.750円に位置します─このように「極端に上がり過ぎ」の状態は長続きせず、いずれチャネル内に回帰する公算が大きいと思われます。

いまの「円安パニック」「円安バブル」は、遠からず収まる可能性が高い、と筆者は考えます。


【週足・エリオット波動分析】 
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。

A波の長さに対し、B波の長さが1.382倍になるとみた場合(これはノーマルな考え方です)、B波トップの目標値は161.350円です。この目標値は足元で達成されています(7月3日に一時161.938円)。
B波はいつトップアウトしておかしくありません。

なおB波の後に続くC波(ドル安・円高)の長さについては、A波が有効な「ものさし」になります。

A波の長さは24.741円(およそ25円)でした。ここから、C波の長さの標準は25円程度と思われます。


【日足・エリオット波動分析】
4月に入ってからの急激なドル/円上昇(152円⇒161円)は、日米実質金利差を反映しておらず、専ら投機によってもたらされました。『円安バブル』と呼べる過剰な円安ですが、それも今後は修正されていくと思われます。

[日米実質金利差による推計値]…148.140円

筆者は、米長期金利の大幅な低下≒大幅な米ドル安を見込んでおり、そうなれば日米実質金利差の縮小に沿ってドル/円は150円を下回っていくでしょう。


【時間足・エリオット波動分析】
昨年末の140.244円からのドル高・円安は、足元までに5つの波動がすべて揃っています。160.135円(4/29)は第ⅲ波トップ、そこからはトライアングルによる第ⅳ波を155.674円(6/12)まで形成し、そこからの上昇は第ⅴとカウントできます。

この第v波を以てドル/円がピークアウトした後には、大きなドル安・円高局面が続くことでしょう。
今後、第v波の上昇幅の61.8%が打ち消される動きが生じると、それを以てトレンド転換の最初のシグナル=「円高トリガー」が引かれます。

7月3日に一時161.938円まで上昇しましたが、それを暫定的に第v波終点とみなしますと、[158.066円]が第v波の61.8%戻し水準です。このことより、158円を下抜く動きが円高トリガーです。



[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足・エリオット波動分析】 
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中であり、足元はⓓ波のドル安局面が進行中です。

おそらく、今後の数週間以内にB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。

派生的な見方として、「トライアングルは105.915(6/21)を以て既に完成しており、そこからはC波によるドル安が始まっている」というものがあります。

いずれにしても、ここからは大幅なドル安を想定しています。

ただし106.517(4/16)を上抜く動きとなったときは、短期的なドル安見通しはいったん撤回され、別のオプションが必要になります。



エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。

宮田直彦

執筆者プロフィール

宮田直彦(ミヤタナオヒコ)

チーフ・テクニカルアナリスト、マネースクエアアカデミア学長

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