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豪ドルが堅調、対円で16年7カ月ぶりの高値

2024/06/27 09:20

【ポイント】
・豪CPIRBA(豪中銀)の利上げ観測が強まる
・米ドル/円が160円超え、本邦当局は為替介入に踏み切るか
・政策会合でメキシコ中銀の利下げ観測が後退するか

(欧米市場レビュー)

26日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。米ドル/円は一時160.824円へと上昇し、86年12月以来37年6カ月ぶりの高値を記録。米ドル/カナダドルは1.37030カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.06643ドル、英ポンド/米ドルは1.26137ドルへと下落しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料となりました。

豪ドル
も堅調。豪ドル/円は一時106.897円へと上昇し、07年11月以来16年7カ月ぶりの高値を記録。豪ドル/NZドルは一時1.09384NZドルへと上昇し、5月15日以来およそ1カ月半ぶりの高値をつけました。

豪州の5月CPI(消費者物価指数)が前年比4.0%と市場予想の3.8%を上回ったことで、市場ではRBA(豪中銀)の利上げ観測が強まり、そのことが豪ドルの上昇要因となりました。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込むRBAが利上げを行う確率は、次回8月5-6日の政策会合で40%程度、9月23-24日までで50%強、11月4-5日までで60%程度です(日本時間27日09:15時点)。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の経済指標が多く発表されます。その結果が材料になりそうです。

米経済指標の市場予想は、以下の通りです。
・1-3月期GDP(国内総生産)確定値:前期比年率1.3%
・5月耐久財受注:前月比マイナス0.1%
・先週分の新規失業保険申請件数:23.6万件

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うとの観測があります。市場が織り込むFRBが利下げを行う確率は、次回7月30-31日のFOMCで10%程度、その次の9月17-18日までで63%程度です(日本時間27日09:10時点)。

米経済指標が市場予想よりも全般的に強い結果になれば、FRBの利下げ観測が後退する可能性があります。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になりそうです。

神田財務官は26日、円安(米ドル/円の上昇)について「足もとの動きは急激であるとみている」、「最近の急激な円安の進行に関しては深刻な懸念を有している」、「行き過ぎた動きには必要な対応をとっていく」などと述べ、市場をけん制しました。米ドル/円が上昇基調を強めるなか、本邦当局の対応(米ドル売り・円買いの為替介入が実施されるか)に注目です。

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本日、ハウザーRBA(豪中銀)副総裁が経済フォーラムで講演する予定です(日本時間18:30)。講演によってRBAの利上げ観測が市場で強まる場合、豪ドルが堅調に推移して、豪ドル/円や豪ドル/NZドルは一段と上昇する可能性があります。

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本日は、BOM(メキシコ中銀)TCMB(トルコ中銀)の政策会合が開かれます。

<TCMB日本時間20時に結果発表
TCMB(トルコ中銀)は3月に利上げを実施した後、4月・5月と2会合連続で政策金利を据え置きました。

トルコの5月CPI(消費者物価指数)は前年比75.45%と、上昇率は4月の69.80%から高まったものの、TCMBは“CPI上昇率は5月にピークに達する”との見通しを示しています。本日の会合で政策金利は50.00%に据え置かれそうです。

その通りの結果になれば、TCMBの声明に注目です。

前回5月会合時の声明では、「インフレリスクに引き続き細心の注意を払う」、「月次のインフレ(率)の基調的なトレンドが大幅かつ持続的に低下するまで、金融引き締めスタンスを維持する」、「今年下半期にはディスインフレが確立される」、「インフレの大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合には、金融政策を(さらに)引き締める」などとされました。

前回から声明の内容に大きな変化がなければ、トルコリラに大きな反応はみられないかもしれません。

<BOM日本時間28日午前4時に結果発表
BOMは3月の政策会合で0.25%の利下げを実施した後、前回5月の会合では政策金利を据え置きました(4月は会合なし)。

本日の会合では政策金利は11.00%に据え置かれそうです。メキシコの6月前半CPI(消費者物価指数)は前年比4.78%と、上昇率は5月前半と同じとなり、BOMのインフレ目標である3%(2~4%が許容レンジ)を引き続き上回りました。また、6月に入ってから、メキシコ政治をめぐる懸念からメキシコペソは対米ドルで大きく下落しました。メキシコペソ安はインフレの上振れリスクを高めることにつながります。

政策金利が据え置かれた場合、BOMの声明やインフレ率見通し、会合における政策メンバーの投票行動に注目です。

前回会合時は、以下のような内容でした。声明などがタカ派的な内容になれば、市場ではBOMの利下げ観測が後退するとともに、メキシコペソの支援材料になりそうです。

【声明】
・「ディスインフレのプロセスは続くと予想される」
・「金融政策は慎重に運営される必要がある」
・「インフレの軌道に対するリスクバランスは、上向きに傾いている」
・「政策金利の調整について議論するためにインフレ環境を評価していく」
など

【インフレ率見通し】
CPI上昇率がBOMの目標の3%に低下するのは25年10-12月期

【政策メンバーの投票行動】
5人のメンバー全員が政策金利の据え置きに賛成

※BOMの政策会合については、26日収録の『M2TV 資源・新興国マーケットView』[中銀はタカ派? メキシコペソは反発!?]もご覧ください。

※メキシコペソ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[メキシコペソ/円、BOM会合結果が相場動意となりそう]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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