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カナダドル:カナダCPIに注目!

2024/06/25 09:00

【ポイント】
FRB理事の講演などで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局は介入するか
・カナダCPIで市場のBOC利下げ観測が強まるか

(欧米市場レビュー)

24日、欧米時間の外為市場では、米ドルや円が軟調に推移。一時、ユーロ/米ドルは1.07411ドル、豪ドル/米ドルは0.66621米ドル、ユーロ/円は171.411円、豪ドル/円は106.324円へと上昇し、豪ドル/円は07年11月以来およそ16年7カ月ぶりの高値をつけました。欧州の主要株価指数が堅調に推移するなか、リスクオン(リスク選好)の動きが強まったことが、米ドルや円の重石となりました。特に材料がない中で米ドル/円が158.797円へと下落する場面がありましたが、下落は長続きせずに、その後159円台半ばへと反発しました。

マックレムBOC(カナダ中銀)総裁は24日に行った講演で、「インフレ率を目標に戻すために、失業率が大幅に上昇する必要はないと考えている」、「インフレ率が大幅に鈍化し、労働市場がバランスを取り戻したことで、賃金の伸びが緩やかになりつつあるという証拠が見られ始めている」、「賃金の伸びは今後さらに緩やかになると予想している」などと述べました。講演では、追加利下げのタイミングについての手掛かりは提供されませんでした。

(本日の相場見通し)

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うとの見方が有力です。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込むFRBの利下げの確率は、次回7月30-31日のFOMCで10%程度、その次の9月17-18日までで67%程度です(日本時間25日08:28時点)。

本日は、米国の6月消費者信頼感指数が発表されます(日本時間23:00)。消費者信頼感指数の市場予想は100.0です。また、FRBのボウマン理事とクック理事が講演します。それらを受けてFRBの利下げ観測が市場で後退すれば、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円は上値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。

米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局の対応(米ドル売り・円買い介入に踏み切るか)に引き続き注目です。神田財務官は24日、「投機などに基づいて過度な(為替)変動があった場合には、適切な行動をいつでも取る用意がある」などと述べて市場をけん制する一方で、最近の為替変動は過度か?との質問には「申し上げない」と答えました。

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カナダの5月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:30)。物価の動向は、BOC(カナダ中銀)の金融政策に大きな影響を与えるため注目です。

BOCは6月5日の政策会合で0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を5.00%から4.75%へと引き下げました。マックレムBOC総裁は会合後の会見で、「インフレ率が引き続き鈍化し、インフレ率が持続的に2%の目標に向かうとの確信が一段と強まるなら、追加利下げを予想するのが妥当だ」と述べ、追加利下げの可能性に言及。追加利下げのタイミングについては「データ次第」としました。

CPIの総合指数の市場予想は前年比2.6%と、上昇率は4月の2.7%から若干鈍化するとみられています。また、BOCはコアインフレ指標として、CPIのトリム平均値と加重中央値を注視しており、それらの結果にも注目です。市場予想は、トリム平均値が前年比2.8%、加重中央値が同2.6%です。BOCの目標は2%(1~3%のインフレ目標レンジの中間値)です。

市場では、BOCは次回7月24日の会合で追加利下げを行うとの見方が有力。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む7月会合での利下げの確率は70%程度です。

カナダのCPIが市場予想を下回る結果になれば、追加利下げ観測が強まる可能性があります。その場合にはカナダドルが軟調に推移して、米ドル/カナダドルは上昇しそうです。

カナダのCPI(前年比)

カナダのCPI(前年比)

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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