マネースクエア マーケット情報

エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※6月14日更新

2024/06/14 13:00

宮田レポート

[日経平均]
【当面の想定レンジ】 35,600~40,000円

[NYダウ] 
【当面の想定レンジ】 36,000~39,600ドル

[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~17,700

[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~161.350円

[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~108.350


[日経平均]

【週足・エリオット波動分析】
4月19日安値(36,733円)は、インターミディエイト級第(3)波における、マイナー級第4波(ジグザグ)の終点であり、そこからの上昇はマイナー級第5波とカウントされます。

このマイナー級第5波の上昇完成を以て、22年3月安値(24,681円)以来の(インターミディエイト級)第(3)波は終わります。その後はインターミディエイト級第(4)波による調整局面に移ることになります。

今月(6月)は現行4年サイクル底の注目月ですが、今月中に第5波と第(4)波を完成するには到底時間が足りません。おそらく4年サイクル底を付けるのは、7月~11月※のことでしょう。

※4年サイクル(48カ月)の伸びしろ(オーブ)は8カ月(48カ月の六分の一)です。20年3月から4年8カ月が経過する時点が今年11月です。

もう一つの見方は、3月高値から既に第(4)波に入っている、というものです。

なお現行4年サイクルの終わりと第(4)波の終わりは、必ずしも一致しません。

日経平均の第(2)波(21年9月~22年3月)は半年間にわたる[ジグザグ]でした。
[オルタネーション]に基づくと、第(4)波には[フラット]や[トライアングル]など、第(2)波に現れたジグザグとは異なるパターンが現れやすい、といえます。

例えば第(4)波がフラット(A-B-C)と仮定した場合、A波安値と4年サイクル安値が重なり、第(4)波自体の完了は25年以降になる、ということが考えられます。

出来高の減少が株安に先行?
ここ2カ月ほどは、日本株全体に対し戻り売り圧力の強さが目立ちます。企業業績のモメンタム減速に伴い、日本株の上昇には急ブレーキがかかっています。

今年1~3月の日本株強気局面では、出来高と売買代金がリンクして急増していました(これは教科書的な強気相場です)が、3月下旬以降の市場エネルギーは減少傾向にあります。

今月3日にはTOPIXが一時2809と、3月高値(2820)に接近する場面がみられました。
しかし売買代金が大きく増えない中では、TOPIXの高値更新は難しいか、あるいは高値更新があっても短命に終わりそうです。

「出来高は株価の先行指標」といわれます。この経験則に基づけば、株価の本格調整はむしろこれからかもしれません。

【日経平均 日足・エリオット波動分析】
36,733円(4/19安値)から、マイナー級の第5波による上昇が進行中とみられます。

現行第5波の内部構造は、波の重なりが多いチョッピー(choppy)なものであり、典型的な(すっきりとした)衝撃波ではありません。このことは、第5波が「エンディング・ダイアゴナル」編成で上昇している、という示唆となっています(次の時間足チャートをご覧ください)。

なおTOPIXコア30、TOPIXバリュー株指数、JPX日経インデックス400などは、3月高値を一時上抜いていますが(6/3)、日経平均の(3)-5波の終点高値は3月高値(41,087円)には届かない[フェイラー]の可能性もありそうです。

[オルタナティブ・カウント]
現在の調整はインターミディエイト級の第(4)波です。
36,733円を下抜くとこの見方が有力となり、もっとも厳しいケースでは、日経平均は3万1000円処へ下押す可能性があります。

【日経平均 時間足・エリオット波動分析】
36,733円(4/19安値)以来、マイナー級第5波による上昇が展開中です。
この第5波は[エンディング・ダイアゴナル]とみられますが、そのうちマルⅰ波は39,437円(5/20高値)で、マルⅱ波は37,617円(5/30安値)で終わり、そこからはマルⅲ波による上昇とみられます。

この見方が正しければ、マルiii波は39,437円(5/20高値)をいったん上抜きます。その後はマルiv波の下げ(39,437円と重なるでしょう)があり、そして最終的にはマルv波の上昇へ続くでしょう。

なお当面のサポートは37,617円ですが、それを下抜くと36,733円を維持できるかが、次の焦点になります。仮に36,733円をも下抜くようであれば、既に第(4)波の調整に入った可能性が高いでしょう。


[NYダウ] 

【NYダウ日足・エリオット波動分析】 
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)から、プライマリー級➃波を展開中とみています。22年10月からの上昇は➃波における(B)波であり、それは「不規則天井(イレギュラー・トップ)」です。(B)波の後に続く(C)波の下落スケールは、(A)波の下落(22年1月~22年10月)に匹敵するか、あるいは、より大きなものになるでしょう。

22年10月安値(28,660ドル)を起点とする➃波中(B)波の上昇は、ダブル・ジグザグ[W-X-Y]。そのうち、23年10月安値(32,327ドル)からの上昇はY波ジグザグ[(a)-(b)-(c)]です。

そして、このY波は40,077ドル(5/20高値)で天井を打ち、➃-(C)波による下落が始まったかもしれません。この見方は37,611ドル(4/18安値)を下抜くことにより強められ、NYダウは当面、200日MA※を目指し下落していく展開が想定されます。
※200日MA…36,978ドル(6/13)

採用銘柄にエヌビディアを持たないNYダウ(ダウ工業株30種平均)は景気に敏感です。ナスダックやS&P500に先行して高値を付けたNYダウは、米景気後退入りのリスクを敏感に嗅ぎ取り始めたのかもしれません。


【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
40,077ドル(5/20高値)から38,000ドル(5/30安値)までは第(ⅰ)波による下落、そこから第(ⅱ)波によるリバウンドと位置付けられます。

39,120ドル(6/12高値)は想定レンジ[39,039ドル-39,284ドル]内にあります。さらに、その後の弱い動きは第(ⅲ)波入りとの見方を強めています。

38,000ドルを下抜くと、ヘッド・アンド・ショルダーズから下放れ開始となり、次は37,611ドル(4/18安値)を試すでしょう。

一方37,611ドルが維持される限り、上値追いのチャンスは引き続き残っています。
仮に3月高値からの(b)波を「ランニング・トライアングル」とみれば、38,000ドル(5/30安値)からはトライアングル中d波に位置付けられます。この場合、来るe波の下げによっても38,000ドルは維持され、40,077ドルを上抜くような、「最後の上昇」があるでしょう。


[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。

➃-(B)波による上昇はこれまで、[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]を形成しています。今年4月安値(15,222)からの上昇は、Y波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)中ⓒ波に位置付けられます。

そしてⓒ波完了に必要な、(ⅰ)波~(ⅴ)波の五つの波動は、足元までにすべて揃っています。上昇トレンド終了は時間の問題とみられます。

6月13日高値(17,741)は、フィボナッチ比率からのチャート節目[17,692]を満たし、23年10月からのチャネル上限にも達しています。

[17,691]…ⓐ波(23年10月安値12,543→24年3月高値16,538と、ⓒ波(24年4月安値15,222~)が、上昇幅において黄金比(1 : 0.618)になる水準

6月11日~12日のギャップ(17,345-17,490)を早々に埋める動きがあると、上昇トレンド終了が示唆され、まずは16,500処への調整リスクがあります。

【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・エリオット波動分析】
22年1月高値(4068)以来のパターンは[エクスパンディッド・フラット]、あるいは[ランニング・フラット]と想定されます。どちらのパターンも内部構造は(A)↘-(B)↗-(C)↘です。

[エクスパンディッド・フラット]の場合、 (C)波の下落により、SOX指数は22年10月安値(2089)を大きく下回るでしょう。
[ランニング・フラット]だと、(C)波の下落によっても22年10月安値は維持されます。それでも(C)波のスケールは、22年の下落(A)波に匹敵する大きなものになると思われます。

22年10月安値(2089)以来の上昇は、[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]編成となっています。そして今年4月安値(4287)からの上昇は、Y波中ⓒ波の上昇に位置付けられます。

このⓒ波を構成する必要な5つの波はすべて揃っています。SOX指数の天井が近い、と思われます。

6月11日~12日のギャップ(5374-5452)は、上昇トレンド最後の”exhaustion gap”として注目できます。早々にギャップ埋めがあると上昇トレンド終了が暗示され、当面5000処への下振れリスクがあります。


[米ドル/円]

2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。直近の34年ぶりドル高・円安も基本的には、レンジ相場内の値動きの一環です。

【月足・エリオット波動分析】 
22年10月(151.899円)以来、長期円安トレンドにおける中間波・Ⓧ波が進行中です。
このⓍ波は2028年頃まで大きなレンジ相場(トライアングル、フラットなど)を形成するとみています。

ドル/円は4月29日の160.135円を以て、8年サイクル高値※を付けた可能性があります。
日柄面ではちょうど34年ぶり(フィボナッチ数)に90年4月高値(160.360円)に「里帰り」を果たし、水準面では第(Ⅲ)波中レッサー・ディグリー第Ⅳ波の高値に一致しています。

※およそ8年間隔でドル/円高値が巡る『8年サイクル』を振り返ると、過去もっとも長いサイクル期間は106カ月(98年8月~07年6月)でした。前回サイクル高値(15年6月)から106カ月経過時点が24年4月です。

【週足・エリオット波動分析】 
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。

160.135円をB波終点とみなすと、B波の長さはA波に対し1.333倍になります。B波はA波の1倍超~1.382倍の範囲内で通常は決まりますが、今回のB波もノーマルな範囲内に収まっています。ちなみにA波の1.382倍ならB波トップの目標値は161.350円です。

160.135円(4/29)からC波による下落局面(ドル安・円高)が進行中とみられます。
このC波は今後140円~135円を試す可能性がある、と筆者はみています。

【日足・エリオット波動分析】
23年1月以来のB波によるドル/円上昇は、[ダブル・ジグザグ]編成で160.135円(4/29)を以て完了したとみられます。

4月に入ってからの急激なドル/円上昇(152円⇒160円)は、日米実質金利差を反映しておらず、専ら投機によってもたらされました。『円安プチバブル』とも呼べる過剰な円安ですが、それも今後は修正されていくと思われます。

[日米実質金利差による推計値]…148.896円

筆者は、米長期金利の大幅な低下≒大幅な米ドル安を見込んでおり、そうなれば日米実質金利差の縮小に沿ってドル/円は150円を下回っていくでしょう。

そのような局面においては、投機筋による過剰な円売りポジションも解消され、ドル/円の下げは一段と大きくなることが想定されます。

【時間足・エリオット波動分析】
160.135円(4/29)から151.844円(5/3)までの下落(円高)は、「リーディング・ダイアゴナル」による第i波とみています。

本日6月14日の日銀決定会合声明を受けて、午後12時24分からドル/円は強含みました。5月29日の157.154円を一時上回り、1カ月半ぶりドル高・円安となりました。

この動きにより、第ii波は続いていることが明らかとなりました。

154.500円(6/4)からはc波によるドル高・円安とみられ、その動きを以て第ⅱ波は完成し、第ⅲ波のドル/円下落となるでしょう。


[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足・エリオット波動分析】 
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中であり、足元はⓓ波のドル安局面が進行中です。

おそらく今後の数週間~1カ月以内にB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。

【日足・エリオット波動分析】 
104.080(5/16安値)以来の[フラット]は105.459(6/11高値)で完成し、そこからはⓓ-(c)波によるドル安に入ったとみられます。この見方は104.257(6/12安値)を下抜くことにより強められます。

ⓓ-(b)波がまだ続いている、という見方もあります。例えば(b)波は[フラット-x-ジグザグ]編成かもしれません。この場合は目先的にも105.459を一時的に上回るでしょう。



エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。

宮田直彦

執筆者プロフィール

宮田直彦(ミヤタナオヒコ)

チーフ・テクニカルアナリスト、マネースクエアアカデミア学長

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ