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米国のPPIが材料になりそう、メキシコペソ/円は6カ月ぶり安値

2024/06/13 09:20

【ポイント】
・与党が憲法改正を進めるとの懸念からメキシコペソには引き続き下押し圧力
・米PPIなどを受けて市場の米金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

12日、欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は155.674円、米ドル/カナダドルは1.36787カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.08467ドル、英ポンド/米ドルは1.28549ドルへと上昇しました。米国の5月CPI(消費者物価指数)が総合指数が前年比3.3%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が3.4%と、いずれも市場予想(3.4%と3.5%)を下回ったことが、米ドルに対する下押し圧力となりました。

その後、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されて、FOMC参加者による政策金利見通し(ドット・プロット)が公表されると、米ドルは反発。米ドル/円や米ドル/カナダドルは下げ幅を、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上げ幅を縮小しました。

※FOMCと米CPIの結果については、本日13日の『ファンダメ・ポイント』[米利下げ観測はCPIで高まり、FOMCで後退!?]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。

メキシコペソは続落。メキシコペソ/円は一時8.185円へと下落して、約6カ月ぶりの安値をつけました。与党連合が憲法改正を進めるとの懸念が引き続き、メキシコペソに対する下押し圧力となりました。ロペスオブラドール大統領は2月に議会に憲法改正案を提出し、その中の一つに司法制度改革がありました。ロペスオブラドール大統領はこのところ、司法制度改革を最も優先する意向を繰り返し示しています。“司法制度改革が実現すれば、司法の独立性が損なわれるのでは?”と市場は懸念しています。

ロドリゲスBOM(メキシコ中銀)総裁は「外為市場を含めて金融市場の動向を極めて注意深く監視する」と表明。「市場に異常な動きや過度な変動がみられる場合には、(BOMは)市場の秩序を回復するために行動する可能性がある」と述べ、「BOMが独自に行動することも、外為委員会など他の機関と連携して行動することも可能だ」と語りました。

ロドリゲス総裁はまた、「ペソ安がインフレに与える影響を注視している」としつつ、「ペソ安がインフレ率に反映されるまでには、しばらく時間がかかる可能性がある」との認識を示しました。

ロドリゲス総裁の発言に対してメキシコペソは反応薄でした。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の5月PPI(生産者物価指数)や先週分の新規失業保険申請件数が発表されます(いずれも日本時間21:30)。市場予想は、PPIの総合指数が前年比2.5%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同2.4%、新規失業保険申請件数は22.5万件です。

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月に利下げを行うとの見方が有力です。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げの確率は、次回7月30-31日のFOMCで8%程度、その次の9月17-18日までで62%程度です(日本時間13日08:01時点)。

昨日12日の5月CPIに続いてPPIや新規失業保険申請件数が市場予想よりも弱い結果になれば、FRBの9月の利下げ観測が強まる可能性があります。その場合、米ドルが軟調に推移して、米ドルや米ドル/カナダドルは下値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上値を試す展開になりそうです。米ドル/カナダドルの下値メドとして、200日移動平均線(13日時点で1.35792カナダドル)が挙げられます。

※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、当面の“主戦場”は?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

ウィリアムズNY連銀総裁が討論会に参加する予定です。FRBの金融政策の先行きについて新たな手掛かりをウィリアムズ総裁が提供すれば、材料になりそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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